関数によるリスケール(Rescale by Function)で提供される変換関数
[関数によるリスケール(Rescale by Function)] ツールは、指定された変換関数に基づいて入力ラスタ値のスケールを変更します。さまざまな変換関数が存在し、それらは、計算やアプリケーションによって変わります。どの変換関数を使用するかは、どの関数がモデル化された現象を最もよく捉えるかによって決まります。さらに、一連の入力パラメータを介して、各関数の特性を調整することができます。
このセクションの情報を最大限に活用するには、このツールで使用される基本用語を十分に認識しておくことが役立ちます。変換関数の下限と上限がどのように出力値に影響を与えるかを理解するには、「出力値に対する最小閾値と最大閾値の相互関係」をご参照ください。
関数のリスト
各関数を、以下の表にまとめます。表の各関数のリンクをクリックすると、その関数の説明を参照できます。
入力値が増えるにとともに優先度が増加する場合に使用されます。入力値が大きくなるに従って、さらに急激に優先度が増加します。 |
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最高の優先度が、特定の入力値の周辺に存在する場合に使用されます。入力値がこの値から変動するに従って、優先度が減少します。 |
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入力値が大きいほど優先度が高くなることを示す場合に使用されます。 |
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線形関数を使用して入力値のスケールを変更します。 |
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入力値が低い場合は入力値が増えるに従って優先度が急激に増加し、入力値がさらに増えると増加する割合が減衰する場合に使用されます。 |
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最も小さい入力の優先度が最も高い場合に使用されます。入力値が増えるに従って優先度が急激に減少し、入力値がさらに増えると優先度が減少する割合が減衰します。 |
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最も大きい入力の優先度が最も高い場合に使用されます。入力値が増えるに従って優先度が急激に増加し、入力値がさらに増えると優先度が増加する割合が減衰します。 |
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平均と標準偏差に基づいて入力データのスケールを変更します。入力ラスタの値が大きいほど、優先度が高くなります。 |
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平均と標準偏差に基づいて入力データのスケールを変更します。入力ラスタの値が小さいほど、優先度が高くなります。 |
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中点に非常に近い入力値の優先度が高い場合に使用されます。 |
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入力値が増えるとともに入力値の優先度が急激に増加する場合に使用されます。 |
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入力ラスタの値が小さいほど優先度が高くなることを示す場合に使用されます。 |
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特定の入力値で最も優先度が高くなり、入力値がそのポイントから変動するに従って線形に優先度が減少する場合に使用されます。 |
関数の概要と説明
関数ごとに、概要、使用例、および関数曲線に対する特定の入力パラメータの効果の詳細について説明しています。
概要
概要では、各関数の基本的な特性と具体的な動作について説明します。
使用例
使用例では、特定の関数が適している、具体的な実際の例について説明します。
パラメータの効果
このセクションでは、形状制御パラメータが関数にどのような影響を与えるかについて説明します。パラメータの値を変更すると曲線にどう影響するかについて説明します。異なる複数のパラメータ値を使用してグラフをプロットし、その効果を示します。Python クラス式も含まれており、グラフで示した変換関数の作成方法を示します。
示された各グラフ例の入力は、0 ~ 500 の範囲の値を持つラスタです。この値を選択した理由は特にありませんが、比較を簡単にするために、すべてのグラフで一貫してこの値が使用されています。実際に使用される入力ラスタは、任意の範囲の入力値を持つことができます。
Exponential 関数
概要
[Exponential] 関数は、指定されたシフト ファクタとベース ファクタを使用して指数関数を適用し、入力データを変換します。適合性モデルでは、この関数は、低い入力値を持つ位置の優先度が最も低くなり、さらに大きな値を持つセルの位置では優先度が急激に増加する場合に使用するのが最も適しています。
使用例
カメの適合性モデルで、水からの距離のスケールを変更することを検討してください。カメは、移動性が限定されているため、水に近い場所を好みます。水から遠い場所の優先度は、距離が増えるに従って急速に減少します。
パラメータの効果
入力シフト
[入力シフト] は、入力値から引かれる値です。Exponential 関数は、シフトされた入力値に適用されて関数値を決定します。
ベース ファクタ
[ベース ファクタ] パラメータは、Exponential 関数が増加する傾きを制御します。ベース ファクタを増やすと、小さい入力値では値が増えたときの優先度の増加率が低くなり、大きい入力値では優先度が急激に増加するようになります。入力データの範囲が小さく(たとえば、0 〜 1)、最小値と最大値の間で指数曲線を維持したい場合に、このパラメータを変更すると役立ちます。
上のグラフで使用された関数:
- TfExponential(0.002651, BaseFactor, 0, 1, 500, 10)
ここで、BaseFactor に使用されている値は、0.001、0.04605、および 0.01 です。[シフト] の 0.002651 および [ベース ファクタ] の 0.04605 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合にデフォルトで計算されたパラメータ値です。
Gaussian 関数
概要
[Gaussian] 関数は、正規分布を使用して入力値を変換します。増加する評価スケールを適用した場合、正規分布の中点は最も優先度の高い値を定義します。中点が最小閾値と最大閾値の間にある場合、その中点に等しい入力値は、[終点スケール] 値に割り当てられます。残りの入力値の評価スケール上の値は、入力値が中点からいずれかの方向に変動するに従って、[起点スケール] 値に達するまで減少します(優先度の減少)。適合性モデルでは、この関数は、最高の優先度が既知の値の近くにあり、入力値がその値から変動するに従って優先度が減少する場合に最も役立ちます。
使用例
太陽電池パネルを設置する場合、出力を最大化するために、パネルの向きを正しく選択することが重要になります。北半球の場合は、南向きの角度(180°)の優先度が最も高くなります。パネルが東や西に向くに従って連続的に優先度が減少し、北を向いた時点で優先度が最低になります。
パラメータの効果
中点
[中点] パラメータは、ガウス曲線の中央を定義します。関数の中点をデータの中点からずらし、小さい値または大きい値の重要度を大きくまたは小さくしたい場合があります。中点を移動する別の理由は、データの範囲外の基準値に関数を合わせるためです。
中点によって、関数曲線が広がる入力値の範囲を制御できます。
上のグラフで使用された関数:
- TfGaussian(Midpoint, 0.000147, 0, 1, 500, 10)
ここで、Midpoint) に使用されている値は、200、250、および 300 です。[中点] の 250 および [拡散] の 0.0000147 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合にデフォルトで計算されたパラメータ値です。
拡散
[拡散] パラメータは、中点から減少する傾きを制御します。この値を大きくすると、中点の周辺の曲線が狭くなります(優先度がより急速に減少します)。
上のグラフで使用された関数:
- TfGaussian(250, Spread, 0, 1, 500, 10)
ここで、Spread に使用されている値は、0.00005、0.000147、および 0.01 です。[中点] の 250 および [拡散] の 0.0000147 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合にデフォルトで計算されたパラメータ値です。
Large 関数
概要
[Large] 変換関数は、入力値が大きいほど優先度が高くなる場合に使用されます。中点を定義することによって、関数の遷移点を指定します。値が中点よりも大きくなると優先度が増加し、値が中点よりも小さくなると優先度が減少します。中点から変動した際に優先度が増加または減少する割合は、[拡散] 形状制御パラメータによって決定されます。
使用例
商品取引の適合性モデルを作成する場合に、コーヒー生産量の基準のスケールを変更できます。生産量の大きい場所は、優先度が高くなります。この優先度は、生産量の増加とともに非線形に増加します。
パラメータの効果
中点
[中点] は、関数の遷移点を定義します。この値を入力データの中点よりも小さくなるようにシフトすると、遷移点が変更されます。その結果、中点の右側の値の大きい範囲で優先度が増加し、優先度が増加する割合が大きくなります。
上のグラフで使用された関数:
- TfLarge(Midpoint, 5, 0, 1, 500, 10)
ここで、Midpoint に使用されている値は、200、250、および 300 です。[中点] の 250 および [拡散] の 5 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
拡散
[拡散] パラメータは、優先度が増加または減少する割合を制御します。拡散の値を増やすと、中点よりも大きい入力値の優先度が最大閾値に向かって増加する割合が大きくなり、中点よりも小さい入力値の優先度が最小閾値に向かって減少する割合が大きくなります。
上のグラフで使用された関数:
- TfLarge(250, Spread, 0, 1, 500, 10)
ここで、Spread に使用されている値は、2.5、5.0、および 7.5 です。[拡散] の 5 および [中点] の 250 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
Linear 関数
概要
[Linear] 変換関数は、指定された最小値と最大値間で線形関数を適用します。[起点スケール] が [終点スケール] よりも大きい場合は、負の線形関係(負の傾き)が設定されます。
この関数は、値の優先度が一定の線形な割合で増加または減少する場合に使用するのが最も適しています。
使用例
野生生物生息地の気候変化の適合性モデルを作成する場合、野生生物が好む場所の評価値のスケールを変更する必要があります。分析範囲内では、評価値が大きいほど優先度が高くなります。
パラメータの効果
最小値
[最小値] パラメータで、Linear 関数が通過する最初の点を指定します。基準に対する現象の優先度に対応するように、パラメータ値を入力データの最小値から変更できます。
上のグラフで使用された関数:
- TfLinear(Minimum, 500, 0, 1, 500, 10)
ここで、Minimum に使用されている値は、0 および 50 です。[最小値] の 0 および [最大値] の 500 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
最大値
[最大値] パラメータで、Linear 関数が通過する 2 番目の点を指定します。基準に対する現象の優先度に対応するように、パラメータ値を入力データの最大値から変更できます。
上のグラフで使用された関数:
- TfLinear(0, Maximum, 0, 1, 500, 10)
ここで、Maximum に使用されている値は、450 および 500 です。[最小値] の 0 および [最大値] の 500 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
Logarithm 関数
概要
[Logarithm] 変換関数は、指定されたシフトとファクタを使用して、入力データに対数関数を適用します。適合性モデルでは、Logarithm 関数は、優先度が急激に増減し、その後で入力基準値が大きくなるとともに変化の割合が減少する場合に使用するのが最適です。
使用例
鳥の適合性モデルを作成する場合に、餌の量の基準のスケールを変更できます。鳥が生存できないほど餌の量が少ない場所の優先度は、最低になります。鳥が生存できるほど十分な量の餌がある場合、餌の量が増えるとともに、鳥の生息により適するようになるため、その場所の優先度が急激に増加します。ある点で、鳥の餌の量は十分になります。そのため、餌の量がそれより増えても、優先度は高くなりますが、増加する割合は非常に遅くなります。
パラメータの効果
シフト
[シフト] は、入力値から引かれる値です。これによって、対数計算を開始する入力値を制御できます。たとえば、鳥の使用例では、餌が 250 単位よりも少ない場所で鳥が生存できない場合、関数の始点を 250 にシフトできます。
上のグラフで使用された関数:
- TfLogarithm(Shift, 0.0046, 0, 1, 500, 10)
ここで、Shift に使用されている値は、-50.0、-0.059、および 50.0 です。[シフト] の -0.059 および [指数] の 0.0046 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合にデフォルトで計算されたパラメータ値です。
ファクタ
[ファクタ] は、対数関数値の増加を制御する乗数です。入力値の範囲が狭い場合(たとえば、0 〜 1)、最小値と最大値の間で対数曲線を維持するように、このパラメータを変更できます。
Logistic Decay 関数
概要
[Logistic Decay] 変換関数は、定義された Y インターセプトの割合を使用して、ロジスティック減少関数を指定された最大値と最小値の範囲内に合わせます。適合性モデルでは、Logistic Decay 関数は、入力値が小さいほど優先度が高くなる場合に使用するのが最も適しています。入力値が増えるに従って、優先度が急激に減少し、優先度が最低になる点に達すると、その点よりも大きい入力値の優先度は一定になります。
使用例
住宅の適合性モデルを作成する場合、送電線からの距離に基づく電気のコストの基準のスケールを変更できます。既存の送電線に近い場所は、そこに電気を引くためのコストが少なくなるため、優先度が高くなります。ある距離を超えると、追加の変圧器を設置する必要があり、工事と機器のための追加コストが発生するため、優先度が急激に減少します。最も遠いセルは、その場所のコストがすでに大きすぎるため、優先度に対する追加コストの影響をあまり受けません。そのため、その場所では、優先度が一定になります。
パラメータの効果
最小値
[最小値] パラメータは、ロジスティック減少曲線の減少の始点を制御します。[最小値] が大きくなるほど、関数の主要な減少部分での優先度の減少が大きくなります(曲線の傾きが大きくなります)。
上のグラフで使用された関数:
- TfLogisticDecay(Minimum, 500, 99, 0, 1, 500, 10)
ここで、Minimum に使用されている値は、-50、0、および 50 です。[最小値] の 0、[最大値] の 500、および yInterceptPercent の 99 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
最大値
[最大値] パラメータは、ロジスティック減少曲線の減少の終点を制御します。[最大値] が小さいほど、関数の主要な減少部分での優先度の減少が大きくなります(曲線の傾きが大きくなります)。
上のグラフで使用された関数:
- TfLogisticDecay(0, Maximum, 99, 0, 1, 500, 10)
ここで、Maximum に使用されている値は、450、500、および 550 です。[最小値] の 0、[最大値] の 500、および yInterceptPercent の 99 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
Y インターセプトの割合
[Y インターセプトの割合] パラメータは、ロジスティック減少曲線の減少部分に含まれる値の範囲を決定します。概念的には、ロジスティック減少関数を、「S」字を反転した形状と考えることができます。「S」字の本体には、2 本の尾部が接続されています。この「S」字の本体は、曲線の減少部分と呼ばれます。このパラメータ値を大きくすると、曲線の減少部分に含まれる入力値の範囲が狭くなります(「S」字がより直立する)が、値の優先度が減少する割合が大きくなり、曲線がより顕著になります。
上のグラフで使用された関数:
- TfLogisticDecay(0, 500, YInterceptPercent, 0, 1, 500, 10)
ここで、[Y インターセプトの割合] に使用されている値は、75、90、および 99 です。[最小値] の 0、[最大値] の 500、および yInterceptPercent の 99 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
Logistic Growth 関数
概要
[Logistic Growth] 変換関数は、LogisticDecay 変換関数に類似していますが、Logistic Growth 関数の場合、優先度が減少するのではなく増加する点が異なります。
使用例
生息地の適合性モデルでは、動物の生息地の優先度は、利用できる餌が増えるとともにロジスティックに増加します。まず、餌の量は、生存ための最低限のレベルに達する必要があります。その後、餌が増えるとともに優先度が急激に増加し、最大摂取量に達すると、その点で優先度が一定になります。
パラメータの効果
最小値
[最小値] パラメータは、ロジスティック増加関数の増加の始点を制御します。[最小値] が大きくなるほど、関数の主要な増加部分での優先度の増加が大きくなります(曲線の傾きが大きくなります)。
上のグラフで使用された関数:
- TfLogisticGrowth(Minimum, 500, 1, 0, 1, 500, 10)
ここで、Minimum に使用されている値は、-50、0、および 50 です。[最小値] の 0、[最大値] の 500、および yInterceptPercent の 1 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
最大値
[最大値] パラメータは、ロジスティックな増加の終点を制御します。[最大値] が小さいほど、関数の主要な増加部分での優先度の増加が大きくなります(曲線の傾きが大きくなります)。
上のグラフで使用された関数:
- TfLogisticGrowth(0, Maximum, 1, 0, 1, 500, 10)
ここで、Maximum に使用されている値は、450、500、および 550 です。[最小値] の 0、[最大値] の 500、および yInterceptPercent の 1 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合にデフォルトで計算されるパラメータ値です。
Y インターセプトの割合
[Y インターセプトの割合] パラメータは、ロジスティック増加曲線の増加部分に含まれる値の範囲を決定します。概念的には、ロジスティック増加関数は、「S」字形状と考えることができます。「S」字の本体には、2 本の尾部が接続されています。この「S」字の本体は、曲線の増加部分と呼ばれます。yInterceptPercent の値を小さくすると、曲線の増加部分に含まれる入力値の範囲が狭くなります(「S」字がより直立する)が、値の優先度が増加する割合が大きくなり、曲線がより顕著になります。
上のグラフで使用された関数:
- TfLogisticGrowth(0, 500, YInterceptPercent, 0, 1, 500, 10)
ここで、[Y インターセプトの割合] に使用されている値は、1、10、および 25 です。[最小値] の 0、[最大値] の 500、および yInterceptPercent の 1 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
MSLarge 関数
概要
[MSLarge] 変換関数は Large 変換関数に類似していますが、関数の定義が、指定された平均と標準偏差の乗数に基づく点が異なります。一般に、これら 2 つの関数の違いは、非常に大きい値の優先度が高い場合に、MSLarge 関数の方が適している点です。
平均と標準偏差の乗数の特定の組み合わせを指定した場合、この関数の結果は Large 変換関数とほぼ同じになります。
使用例
Large 変換関数の使用例で説明した商品取引の適合性モデルに類似していますが、この場合はコーヒー生産量の大きい場所の優先度が非常に高くなる点が異なります。
パラメータの効果
平均乗数
[平均乗数] パラメータは、関数の曲線の傾きを制御します。この乗数を減らすと、大きい入力値では、優先度が高い部分の範囲が広がり、値が増えるとともに関数曲線が増加する割合が減少し、最大閾値に達します。
上のグラフで使用された関数:
- TfMSLarge(MeanMultiplier, 1, 0, 1, 500, 10)
ここで、[平均乗数] に使用されている値は、0.5、1.0、および 1.5 です。[平均乗数] の 1 および [標準偏差の乗数] の 1 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
標準偏差の乗数
[標準偏差の乗数] パラメータは、関数の曲線の傾きを制御します。この乗数を増やすと、関数曲線が増加する割合が減少します。
上のグラフで使用された関数:
- TfMSLarge(1, StandardDeviationMultiplier, 0, 1, 500, 10)
ここで、[標準偏差の乗数] に使用されている値は、0.5、1.0、および 1.5 です。[平均乗数] の 1 および [標準偏差の乗数] の 1 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
MSSmall 関数
概要
[MSSmall] 変換関数は Small 変換関数に類似していますが、関数の定義が、指定された平均と標準偏差の乗数に基づく点が異なります。一般に、これら 2 つの関数の違いは、非常に小さい値の優先度が高い場合に、MSSmall 関数の方が適している点です。
平均と標準偏差の乗数の特定の組み合わせを指定した場合、この関数の結果は Small 変換関数とほぼ同じになります。
使用例
Small 変換関数で説明した住宅の適合性モデルでの道路からの距離に基づく建築コストの基準のスケール変更に類似していますが、この場合はセルの位置が道路に近づくと優先度が非常に高くなる点が異なります。
パラメータの効果
平均乗数
平均乗数: 関数の曲線の傾きを制御します。この乗数を減らすと、小さい入力値では優先度の高い範囲が広がり、値が大きくなるとともに関数曲線が減少する割合が大きくなり、最大閾値に達します。
上のグラフで使用された関数:
- TfMSSmall(MeanMultiplier, 1, 0, 1, 500, 10)
ここで、[平均乗数] に使用されている値は、0.5、1.0、および 1.5 です。[平均乗数] の 1 および [標準偏差の乗数] の 1 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
標準偏差の乗数
[標準偏差の乗数] パラメータは、関数の曲線の傾きを制御します。この乗数を増やすと、関数曲線が減少する割合が減ります。
上のグラフで使用された関数:
- TfMSSmall(1, StandardDeviationMultiplier, 0, 1, 500, 10)
ここで、[標準偏差の乗数] に使用されている値は、0.5、1.0、および 1.5 です。[平均乗数] の 1 および [標準偏差の乗数] の 1 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
Near 関数
概要
[Near] 変換関数は、最高の優先度が特定の値に近接している場合に最も役立ちます。中点が最小閾値と最大閾値の間にある場合、その中点に等しい入力値は、[終点スケール] 値に割り当てられます。残りの入力値の評価スケール上の値は、入力値が中点からいずれかの方向に変動するに従って、[起点スケール] 値に達するまで減少します(優先度の減少)。
指定されたパラメータによっては、Near 変換関数と Gaussian 変換関数は、類似している場合があります。通常、Near 関数は、Gaussian 関数よりも狭い範囲に広がり、より大きく減少します。そのため、この関数は、中点に極めて近い値の優先度が高い場合に使用されます。
使用例
Gaussian 変換関数で説明した太陽電池パネルの適合性モデルと同様ですが、南向きの角度の優先度が非常に高い点が異なります。
パラメータの効果
中点
中点: Gaussian 関数の中点と同じく、関数曲線の中央を定義します。
上のグラフで使用された関数:
- TfNear(Midpoint, 0.000576, 0, 1, 500, 10)
ここで、Midpoint に使用されている値は、200、250、および 300 です。[中点] の 250 および [拡散] の 0.000576 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合にデフォルトで計算されたパラメータ値です。
拡散
[拡散] パラメータは、Gaussian 関数の場合と同様ですが、入力値が中点から変動すると、より劇的な効果がある点が異なります。
上のグラフで使用された関数:
- TfNear(250, Spread, 0, 1, 500, 10)
ここで、Spread に使用されている値は、0.0004、0.000576、および 0.008 です。[中点] の 250 および [拡散] の 0.000576 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合にデフォルトで計算されたパラメータ値です。
Power 関数
概要
[Power] 変換関数は、定義されたシフトを使用し、指定された指数で増加する累乗関数を入力データに適用します。適合性モデルでは、Power 関数は、最小の入力値の優先度が最も低いが、入力値が増えるに従って優先度が増加し、さらに入力値が増えると優先度が急激に増加する場合に使用するのが最も適しています(この動作は、指数の値によって変わります)。
使用例
原子力発電所の場所を決める場合に、断層からの距離に基づく安全基準のスケールを変更する適合性モデルに適用されます。場所が断層線から離れるに従って、累乗関数に基づいて連続的に優先度が増加します。つまり、断層線から離れた場所は、断層に近い場所と比較して、著しく優先度が高くなります。
パラメータの効果
シフト
[シフト] パラメータは、入力値から引かれる値です。これによって、累乗計算を開始する入力値を制御できます。たとえば、原子力発電所の使用例では、断層線から 10 キロメートルの範囲内に原子力発電所を建設しないことと定められました。Power 関数が 10 キロメートルから始まるように、関数をシフトできます。
上のグラフで使用された関数:
- TfPower(Shift, 0.3704, 0, 1, 500, 10)
ここで、Shift に使用されている値は、-50.0、-0.9973、および 50.0 です。[シフト] の -0.9973 および [指数] の 0.3704 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合にデフォルトで計算されたパラメータ値です。
指数
[指数] パラメータは、Power 関数が増加する傾きを制御します。指数を大きくすると、特に入力値が大きいところで、関数曲線の傾きが大きくなります。
上のグラフの入力パラメータ:
- TfPower(-0.9973, Exponent, 0, 1, 500, 10)
ここで、Exponent に使用されている値は、0.1、0.37、および 2.0 です。[シフト] の -0.9973 および [指数] の 0.3704 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合にデフォルトで計算されたパラメータ値です。
Small 関数
概要
[Small] 変換関数は、入力値が小さいほど優先度が高くなる場合に使用されます。中点を定義することによって、関数の遷移点を指定します。値が中点よりも大きくなると優先度が減少し、値が中点よりも小さくなると優先度が増加します。中点から変動した際に優先度が増加または減少する割合は、[拡散] 形状制御パラメータによって決定されます。
使用例
住宅の適合性モデルでは、道路データセットまでの距離に基づく建築コストの基準のスケールを変更できます。場所が道路に近づく(値が小さい)ほど、優先度が高く(コストが低く)なります。道路からの距離が増えるに従って、優先度が連続的に減少します。
パラメータの効果
中点
中点: 関数の遷移点を定義します。この中点を入力データの中点よりも大きくなるようにシフトすると、遷移点が変更されます。その結果、中点の左側の値の小さい範囲で優先度が増加し、優先度が減少する割合が小さくなります。
上のグラフで使用された関数:
- TfSmall(Midpoint, 5, 0, 1, 500, 10)
ここで、Midpoint に使用されている値は、200、250、および 300 です。[中点] の 250 および [拡散] の 5 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
拡散
拡散: 優先度が減少または増加する割合を制御します。拡散の値を増やすと、中点よりも小さい入力値の優先度が最小閾値に向かって増加する割合が大きくなり、中点よりも大きい入力値の優先度が最大閾値に向かって減少する割合が大きくなります。
上のグラフで使用された関数:
- TfSmall(250, Spread, 0, 1, 500, 10)
ここで、Spread に使用されている値は、2.5、5.0、および 7.5 です。[中点] の 250 および [拡散] の 5 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
Symmetric Linear 関数
概要
[Symmetric Linear] 変換関数は、指定された最小値と最大値の間で線形関数を適用します。この線形関数は、[最小値] と [最大値] の中点で反転します。反転する点に対応する入力値には、最も高い優先度が与えられます。入力値の優先度は、反転する点から変動するに従って線形に減少します。[最小値] を下回るが [最小閾値] を超えるすべての入力値、または [最大値] を超えるが [最大閾値] を下回るすべての入力値は、[起点スケール] に割り当てられます。
[最小値] が [最大値] よりも大きい場合は、負の線形関係(負の傾き)が設定されます。
Symmetric Linear 関数は、最も高い優先度が中点の値にあり、入力値が中点から変動するに従って優先度が線形に増加または減少する場合に使用するのが最も適しています。
使用例
特定の病気を媒介する、ある虫は、華氏 70度で最も活動しなくなります。分析範囲内の平均温度が、最低平均温度に向かって下がるか、最大平均温度に向かって上がるに従って、この虫はより活動的になり、人間の病気の症例が多くなります。地域のレクリエーション施設の場所を決める場合、平均温度が 70 度の領域が最も優先されます。分析範囲内の温度が 70 度から減少するに従って優先度が線形に減少して最小平均温度に達し、70 度から増加するに従って優先度が線形に減少して最大平均温度に達します。
パラメータの効果
最小値
[最小値] パラメータで、SymmetricLinear 関数が通過するの点のうちの 1 つを指定します。最大値を変更すると、関数が反転する場所である中点が変化します。基準に対する現象の優先度に対応するように、入力ラスタの最小値から設定された最小値を変更できます。
上のグラフで使用された関数:
- TfSymmetricLinear(Minimum, 500, 0, 1, 500, 10)
ここで、Minimum に使用されている値は、-50、0、および 50 です。[最小値] の 0 および [最大値] の 500 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。
最大値
最大値: SymmetricLinear 関数が通過する 2 番目の点を指定します。最大値を変更すると、関数が反転する場所である中点が変化します。基準に対する現象の優先度に対応するように、入力ラスタの最大値から設定された最大値を変更できます。
上のグラフで使用された関数:
- TfSymmetricLinear(0, Maximum, 0, 1, 500, 10)
ここで、Maximum に使用されている値は、450、500、および 550 です。[最小値] の 0 および [最大値] の 500 は、入力データセットの範囲が 0 〜 500 の場合のデフォルトのパラメータ値です。