到達圏解析
到達圏とは
ArcGIS Network Analyst エクステンションでは、ネットワーク上の任意の場所の周囲の到達圏を検索できます。ネットワーク到達圏は、アクセス可能なすべての道路(指定のインピーダンス内の道路)にまたがる領域です。たとえば、あるネットワーク上のポイントの 5 分間の到達圏には、そのポイントから 5 分以内に到達できるすべての道路が含まれます。
Network Analyst によって作成される到達圏は、アクセス性の評価にも役立ちます。同心状の到達圏は、インピーダンスによってアクセス性がどのように異なるかを示します。到達圏を設定すると、圏内の土地面積、住人の人数、その他の情報の確認に使用することができます。
ネットワークベースの到達圏の検索方法は、その他のネットワーク解析のワークフローと同様です。
到達圏解析レイヤ
到達圏解析レイヤには、到達圏解析のすべての入力、パラメータ、結果が格納されます。
到達圏解析レイヤの作成
到達圏解析レイヤを作成するには、[Network Analyst] ツールバーで [Network Analyst] → [新規到達圏] の順にクリックします。
新しい到達圏解析レイヤを作成すると、それはその 6 つのネットワーク解析クラス(施設、ライン、ポリゴン、ポイント バリア、ライン バリア、およびポリゴン バリア)とともに [Network Analyst] ウィンドウに表示されます。
到達圏解析レイヤは、コンテンツ ウィンドウにもコンポジット レイヤとして表示されます。これには [到達圏] という名前が付けられますが、マップ ドキュメントに同じ名前のレイヤがすでに存在する場合は [到達圏 1]、それがすでに存在する場合は [到達圏 2] などのように連番で名前が付けられます。フィーチャ レイヤには 6 種類あり、これらにはそれぞれの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスで変更できるデフォルト シンボルがあります。
到達圏解析のクラス
ここでは、各クラスの概要とそのプロパティについて説明します。
施設クラス
このネットワーク解析クラスには、到達圏解析で施設として使用されるネットワーク ロケーションが格納されます。施設フィーチャ レイヤには、「配置」、「未配置」、「エラー」という 3 つのデフォルト シンボルがあります。施設レイヤのシンボルは、[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスで変更できます。
新しい到達圏解析レイヤが作成されるとき、施設クラスは空です。これは、ネットワーク ロケーションの追加時に挿入されます。到達圏を作成するには、少なくとも 1 つの施設が必要です。
施設のプロパティ
入力フィールド |
説明 | |||
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ObjectID |
システムで管理される ID フィールド。 |
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シェープ |
ネットワーク解析オブジェクトの地理的な位置を示すジオメトリ フィールド。 |
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名前 |
ネットワーク解析オブジェクトの名前。 |
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Attr_[Impedance] (たとえば、Minutes 属性がネットワークのインピーダンスである場合は「Attr_Minutes」となります) |
このプロパティは、施設のインピーダンスの値を格納します。これは遅延インピーダンスと呼ばれることがあります。このプロパティに値を追加すると、到達圏の範囲が狭まります。 たとえば、DriveTime 属性をインピーダンスとして使用して 3 つの施設の到達圏を検索する場合、施設で消費する時間を Attr_DriveTime プロパティに格納します。 たとえば、消防署の応答時間を表す到達圏を計算するとき、Attr_DriveTime に各消防署の出動時間(消防署の職員が適切な防護装備を身に付けて消防署を出発するまでの時間)を格納できます。消防署 1 の出動時間が 2 分で、消防署 2 の出動時間が 3 分であるとします。両方の消防署の 5 分間の到達圏を計算する場合、消防署 1 の実際の到達圏は 3 分間となります(5 分間のうち 2 分間が出動時間として必要になるため)。同様に、消防署 2 の実際の到達圏は 2 分間となります。 |
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Breaks_[Impedance] (たとえば、DriveTime 属性がネットワークのインピーダンスである場合は「Breaks_DriveTime」となります) |
このプロパティには、各到達圏施設の異なるポリゴン閾値を格納します。つまり、2 つの施設がある場合、1 つの施設の 5 分間 と 10 分間の到達圏ポリゴンを生成し、もう一方の施設の 6 分間、9 分間、12 分間の到達圏ポリゴンを生成することができます。 Breaks_[Impedance] プロパティの値は、[デフォルトの閾値] 解析レイヤ設定を上書きします。Breaks_[Impedance] プロパティで値が指定されていない場合、施設の到達圏ポリゴンは、[デフォルトの閾値] 設定に基づいて生成されます。 |
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ネットワーク ロケーション フィールド
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これらの 4 つのプロパティを組み合わせて、オブジェクトが配置されているネットワーク上のポイントを表します。 |
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CurbApproach |
CurbApproach プロパティは、車両が施設に到着する方向および施設から出発する方向を指定します。アプローチが車両の片側のみに制限されると、到達圏の範囲がさらに限定されます。 CurbApproach 値には、4 つのオプションがあります。
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入力/出力フィールド |
説明 |
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Status |
このフィールドは、以下に示す値のドメインによって制約されます(それぞれのコード値は括弧内に示されています)。
解析後、次のいずれかの状態値を使用して状態を変更できます。
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ポリゴン クラス
ポリゴン ネットワーク解析クラスには、結果として得られた到達圏ポリゴンが格納されます。その他のフィーチャ レイヤと同様に、フィーチャ レイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスからシンボルにアクセスできます。
新しい到達圏解析レイヤが作成されるとき、ポリゴン クラスは空です。これは、解析レイヤが解析されるときに設定されます。到達圏の計算が完了すると、フィーチャ レイヤにポリゴンが格納され、[Network Analyst] ウィンドウにリスト表示されます。
ポリゴンのプロパティ
出力フィールド |
説明 |
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ObjectID |
システムで管理される ID フィールド。 |
シェープ |
内部で格納されるポリゴンのジオメトリ。 出力ポリゴンの形状を決める 1 つ要素は、解析時に [階層を使用] がオンになっているかどうかです。階層を使用する場合は、所定の距離、走行時間、またはその他のブレーク インピーダンス内で実際に到達できない、より低順序の道路にポリゴンが重なっている可能性があるため注意が必要です。 |
名前 |
到達圏ポリゴンの名前には、関連付けられた施設と閾値範囲を示す名前が使用されます。たとえば、「グラフィックス指定 1: 0.0 - 5.0」の場合は、グラフィックス指定 1 という施設から 5 分以内に通行可能なすべてのエッジを網羅したポリゴンを表すことになります。 |
FacilityID |
関連付けられた施設の一意の ID。 |
FromBreak |
ポリゴンの閾値範囲の下限値です。 |
ToBreak |
ポリゴンの閾値範囲の上限値です。 |
ライン クラス
ライン クラスには、結果として得られた到達圏がライン フィーチャとして格納されます。これは、特定のインピーダンス内で到達できるネットワーク エッジを表します。到達圏はネットワークに沿った測定値に基づいているため、ラインはポリゴンよりも到達圏をより忠実に表します。
到達圏のラインは到達圏解析においてデフォルトで生成されないため、生成するオプションを選択する必要があります。到達圏解析レイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [ラインの生成] タブで [ラインの生成] をオンにします。
到達圏のライン フィーチャは、その他のライン フィーチャ レイヤと同様にシンボル化できます。
ラインのプロパティ
出力フィールド |
説明 |
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ObjectID |
システムで管理される ID フィールド。 |
シェープ |
内部で格納されるラインのジオメトリ。 |
FacilityID |
関連付けられた施設の一意の ID。 |
FromCumul_[Impedance] (たとえば、FromCumul_Miles または FromCumul_Minutes) |
このフィールドには、施設からこのライン フィーチャの始点までのパスの累積コストが含まれます。この値には、ラインの始点での隣接ジャンクションのインピーダンスが取り込まれます。このフィールドは、インピーダンス属性および累積属性に対して生成されます。 |
ToCumul_[Impedance] (たとえば、ToCumul_Miles または ToCumul_Minutes) |
このフィールドには、施設からこのライン フィーチャの終点までのパスの累積コストが含まれます。ラインの終点での隣接ジャンクションのインピーダンスは、この値から除外されます。このフィールドは、インピーダンス属性および累積属性に対して生成されます。 |
SourceID |
各到達圏ラインは、ネットワーク ソース フィーチャクラスのフィーチャを通過します。このフィールドでは、通過対象のフィーチャが属する、ソース フィーチャクラスの一意の ID を指定します。SourceID フィールドは、解析の前に [ネットワーク ソースのフィールドを含める] をオンにした場合にのみ表示されます。[ネットワーク ソースのフィールドを含める] チェックボックスは、[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [ラインの生成] タブにあります。 |
SourceOID |
到達圏が通過する、基本となるソース フィーチャの ObjectID。SourceOID フィールドは、解析の前に [ネットワーク ソースのフィールドを含める] をオンにした場合にのみ表示されます。[ネットワーク ソースのフィールドを含める] チェックボックスは、[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [ラインの生成] タブにあります。 |
FromPosition |
基本となるソース フィーチャに沿って、到達圏ラインが始まる場所を指定します。
FromPosition フィールドは、解析の前に [ネットワーク ソースのフィールドを含める] をオンにした場合にのみ表示されます。このチェックボックスは、到達圏解析レイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [ラインの生成] タブにあります。 |
ToPosition |
基本となるソース フィーチャに沿って、到達圏ラインが終了する場所を指定します。
ToPosition フィールドは、解析の前に [ネットワーク ソースのフィールドを含める] をオンにした場合にのみ表示されます。このチェックボックスは、到達圏解析レイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [ラインの生成] タブにあります。 |
ポイント バリア、ライン バリア、ポリゴン バリア
バリアは一時的な制限として機能し、ネットワークの一部にインピーダンスを追加したり、インピーダンスの値を増減します。新しいネットワーク解析レイヤが作成されるとき、バリア クラスは空です。バリア クラスはオブジェクトを追加するときにだけ設定されます。ただし、バリアの追加は必須ではありません。
バリアはすべてのネットワーク解析レイヤで使用できます。したがって、これらについては別のトピックで説明します。
到達圏の解析パラメータ
解析パラメータは、解析レイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスで設定します。ダイアログ ボックスには複数の方法でアクセスできます。
ネットワーク解析レイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスを開く方法の詳細
解析の設定タブ
解析レイヤで設定できるパラメータを以下に示します。これらのパラメータは、解析レイヤの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [解析の設定] タブで設定できます。
インピーダンス
到達圏決定時に累積されるインピーダンスとして、任意のコスト属性を選択できます。たとえば、Minutes 属性を選択すると、時間に基づいて到達圏が出力されます。
交通量対応のコスト属性を選択し、到達圏を計算するときの時刻と日付を指定すると、その到達圏は移動時間の変動を考慮に入れたものになります。
規制
解析の実行中に適用する規制属性を選択できます。ほとんどの場合、規制により道路は通行禁止になりますが、回避または優先する道路に指定することもできます。一方通行(Oneway)などの規制属性は、一方通行に従う必要のある車両(たとえば、緊急車両以外)を対象とするソリューションの検索で使用します。その他の一般的な規制属性には、一部の車両に道路や橋の通行を禁止する高さ規制や重量規制、危険物運搬車両が迂回または少なくとも回避を試みる必要がある危険物規制、トラック運転手が従うべきトラックの指定ルートなどがあります。解析の実行中に、適用する規制を選択できます(さらに、[属性パラメータ] タブで、規制を使用するエレメントを通行禁止、回避、または優先のいずれにするかを指定できます)。
他の解析とは異なり、到達圏解析は、規制属性を使用してエレメントを回避または優先できないようにすることで、異常な結果が生成されないように設計されています。到達圏解析では、エレメントを回避する規制属性を一時的に変更し、エレメントを禁止するようにします。さらに、到達圏解析では、エレメントを優先する規制属性を一時的に無視して、エレメントに特別な優先順位が与えられないようにします。解析の際に、エレメントを回避または優先する規制属性を使用しようとすると、到達圏解析ではその規制がどのように解釈されたかを伝える警告メッセージが表示されます。
デフォルトの閾値
計算する到達圏の範囲は、[デフォルトの閾値] テキスト ボックスで指定します。たとえば、デフォルトの閾値を 10 に設定すると、施設から 10 単位(分、マイルなど)の到達圏が作成されます。この単位は、Impedance プロパティのコスト属性によって決定されます。
[デフォルトの閾値] プロパティは、施設の Breaks_[Impedance] 値が null であるときに使用されます。A、B という 2 つの施設があり、DriveTime をインピーダンスとして到達圏を検索すると仮定します。施設 A の Breaks_[Impedance] プロパティ(この場合は Breaks_DriveTime)の値は 3 で、施設 B の Breaks_DriveTime には値が設定されていません。デフォルトの閾値が 5 分間の場合、施設 B では 5 分間の到達圏が検索され、施設 A では 3 分間の到達圏が検索されます。
デフォルトの閾値のパラメータは、閾値が個別に割り当てられていない(Break_[Impedance] プロパティに値が設定されていない)施設に閾値を割り当てます。
複数のポリゴンの閾値を設定することで、同心状の到達圏を生成できます。たとえば、同一施設の 2 分間、3 分間、4 分間の到達圏を検索する場合は、[デフォルトの閾値] テキスト ボックスに「2 3 4」と入力します(2、3、4 の間は空白文字で区切ります)。
開始時間を使用
[時間を使用] を [時刻] および [曜日] または [特定の日付] プロパティと組み合わせて使用することで、施設で到達圏がいつ開始または終了するかを指定できます。
開始時間を指定するときに交通量対応のコスト属性は必要ありませんが、ネットワーク データセットに交通量データが含まれていると、時間依存の到達圏が作成されます。これにより、施設の到達圏がその日および週の間にどのように変化するかを確認し、解析することができます。たとえば、午前の方が午後よりも移動に時間がかかる場合には、ある施設の午前 8:30 の到達圏は午後 10:00 の到達圏よりも小さくなります。
時刻
ここに入力する値は、その施設で到達圏を開始または終了させたい時刻を表します(次に説明するように、移動方向プロパティに指定した値によって [時刻] が開始時間か終了時間かが決まります)。
[時刻] に指定する時刻は日付と関連付けられている必要があります。変動日([曜日])または暦日([特定の日付])のどちらかを入力できます。
特定の日付
暦日の場合は、[時刻] 値と関連付けられる日、月、および年を指定します。
曜日
変動日の場合は、[今日] または、現在の日付を基準にしたいずれかの曜日([日] から [土])を選択できます。変動日を指定できることにより、日付を変更することなく再利用できる解析レイヤを設定できます。
[曜日] を選択するときに、現在の日付から 6 日先までのソリューションを生成できます。
交通量データおよびタイム ゾーンとともに開始時間を使用
時間ベースのインピーダンス属性または累積属性を使用する場合、開始/終了時刻および日付は施設が配置されているエッジまたはジャンクションのタイム ゾーンを参照します。
つまり、異なるタイム ゾーンに施設が配置されている到達圏解析で開始/終了時間を設定した場合、各施設の到達圏は同じローカル タイムを使用して解析されますが、それらは異なる UTC(協定世界時)時間で解析されることになります。たとえば、施設が東部標準時ゾーンに 1 つ、中部標準時ゾーンに 1 つある場合に、今日の午前 8:00 の交通量データを使用して解析を行うと、どちらの施設の到達圏も現地時間の午前 8:00 で解析されます。ただし、タイム ゾーンに 1 時間の差があるため、東部標準時ゾーンの施設は中部標準時ゾーンの施設よりも 1 時間早く解析されます。
この一時的な不一致により、到達圏の解析では、重複しないポリゴン、マージされたポリゴン、または重複しないラインを生成するときに、施設が異なるタイム ゾーンに配置されている解析レイヤを解析することはできません。ただし、そうした条件下でも重複するラインを持つ到達圏の解析はサポートされています。
方向
インピーダンスを累積することで施設から出発する方向の到達圏を作成するか、または施設へ向かう方向の到達圏を作成するかを選択できます。一方通行の規制が適用されたネットワークで、進行方向により異なるインピーダンスを設定すると、異なる到達圏が検索されます。方向は、到達圏解析の目的に応じて選択する必要があります。たとえば、宅配ピザの到達圏の場合、ピザは店舗から顧客に配達されるため、施設からの方向で検索を行います。また、病院の到達圏の場合、搬送患者の緊急移動は病院に向かう方向だけであり、その後しばらくは自宅に戻ることはないので、施設に向かう方向で検索を行います。
[移動方向] の設定は、[時間を使用] プロパティに指定した時間と日付を Network Analyst がどのように解釈するかに影響します。
- [移動方向] を [施設から] に設定すると、時間と日付は到達圏がいつ施設から開始するかを示します。
- [移動方向] を [施設へ] に設定すると、時間と日付は到達圏がいつ施設で終了するかを示します。
施設にサービス時間が設定されている場合(つまり、施設の Attr_[Impedance] プロパティが正の値の場合)、移動方向が「施設へ」のときは終了時刻の直前に、移動方向が「施設から」のときは開始時刻の直後にサービス時間が結果に含められます。
ジャンクションでの U ターン
Network Analyst では、U ターンをすべての場所で許可、どの場所でも許可しない、行き止まり(袋小路)のみで許可、または交差点と行き止まりのみで許可するように設定できます。U ターンを許可するということは、車両がジャンクションで方向転換し、同じ道路を引き返すことができるということを意味します。
階層を使用
ネットワーク データセットが階層属性を持つ場合は、解析のときに階層を使用できます。階層解析の利点は、非階層解析に比べて到達圏ポリゴンが極めて高速に生成されることです。欠点は、正確性が低下する傾向があることです。
階層的な到達圏解析では、下位ランクのエッジよりも上位ランクのエッジが優先されます。つまり、施設が生活道路(階層の最下位ランク)沿いに存在する場合、ソルバはそのエリアの生活道路まで対象を広げますが、一般道路と幹線道路に向かって階層を上がろうとします。一般道路と幹線道路に戻ったら、残りの到達圏を通じて生活道路を無視します。主にこの階層方式のために、非階層到達圏は階層到達圏に比べて一般に品質が高くなります。
階層到達圏か非階層到達圏かを選択するときには、次の点も考慮に入れる必要があります。
- つまり、階層到達圏はポリゴンのみを生成し、ラインを生成しないという点です。
[ラインの生成] タブにある [ラインの生成] チェックボックスをオフにします。
- 階層到達圏は単純化ポリゴンのみを生成し、詳細ポリゴンは生成しません。
[ポリゴンの生成] タブの [ポリゴン タイプ] で、[単純化] を選択します。
- 階層到達圏の解析では、ポリゴンを切詰めません。
[ポリゴンの生成] タブの [ポリゴンの切詰め] チェックボックスをオンにしても、到達圏ポリゴンは切詰められません。
無効なロケーションを除外
このプロパティを使用すると、無効なネットワーク ロケーションを無視して、有効なネットワーク ロケーションだけを使用して解析レイヤを解決できます。このオプションがオフの場合は、未配置のネットワーク ロケーションがあると解析が失敗する可能性があります。いずれの場合でも、解析では無効なロケーションは無視されます。
[ポリゴンの生成] タブ
ポリゴンの生成
このオプションは、デフォルトでオンになっています。これを無効にすると、ポリゴンを生成することなく到達圏を計算できるようになります([ラインの生成] タブの [ラインの生成] チェックボックスをオンにすることで、ポリゴンの代わりに、またはポリゴンに加えて、到達圏を作成できます)。
ポリゴン タイプ
単純化されたポリゴンを高速に生成するか、詳細なポリゴンを生成するかを選択できます。
- [単純化ポリゴン] - 単純化されたポリゴンは高速に生成されます。末端部分以外では適度な精度もあります。ポリゴンを単純化すると、島状の未到達のエレメントがカバーされます。
- [詳細] - 詳細なポリゴンは、到達圏ラインを正確にモデリングします。未到達の領域が島状に残される場合があります。詳細ポリゴンは単純化ポリゴンより生成に時間がかかると考えてください。
- [ポリゴンの切詰め] - 到達圏ポリゴン内の外側にあるエッジから指定距離以内に収まるように、ポリゴンの外周を切詰めます。デフォルトでは、この値は 100 メートルです。
格子状の道路網を持つ市街地のデータであれば、単純化されたポリゴンと詳細なポリゴンの違いはあまりありません。山間部や地方の道路では、一般的に、単純化されたポリゴンよりも詳細なポリゴンのほうがはるかに高い精度を提供します。
複数の施設
複数の施設のポリゴンの生成に使用できるオプションには 3 つあります。
- [オーバーラップを許可] - このオプションを選択した場合、施設ごとに異なるポリゴンが生成されます。各ポリゴンは重なり合うことができます。
- [オーバーラップを許可しない] - このオプションを選択した場合、施設ごとに最寄りの異なるポリゴンが生成されます。各ポリゴンは重なり合うことはありません。
- [ブレークによりポリゴンをマージ] - このオプションを選択した場合、同じブレーク値を持つ複数の施設のポリゴンが結合されます。
オーバーラップ タイプ
同心状の到達圏ポリゴンのタイプを、「ディスク状」、「リング状」のいずれかにできます。
- [リング] - 小さなブレーク値の領域を除外します。連続するブレーク値間の領域のポリゴンが生成されます。
- [ディスク] - 施設からブレーク値までのポリゴンを作成します。5 分到達圏と 10 分到達圏を生成すると、10 分到達圏ポリゴンは 5 分到達圏ポリゴンの領域までもカバーします。
除外するソース
マルチモーダル ネットワークでの到達圏解析では、到達圏を生成するときにソース フィーチャクラスを除外するオプションを使用できます。除外するエッジ ネットワークに含まれるフィーチャのジオメトリは、すべての到達圏ポリゴンから削除されます。
たとえば、複合ネットワークでドライブタイムの到達圏を作成する場合、ポリゴン生成から線路を除外するように選択すると、車両が通行できるモデルが正確に生成されます(自動車は線路を通行できないため)。線路のソースを除外しない場合、通行できない線路のラインによって、到達圏ポリゴンに未到達の領域が生じる可能性があります。
到達圏ポリゴンからネットワーク ソースを除外しても、そのソースの通行が防止されるわけではありません。到達圏ポリゴンからソースを除外した場合、到達圏のポリゴンの形状のみに影響が生じます。特定のネットワーク ソースの通行を防止するには、ネットワーク データセットの定義時に適切な規制を設定する必要があります。
[ラインの生成] タブ
ラインの生成
[ラインの生成] チェックボックスをオンにすると、指定したインピーダンス内に到着できるフィーチャに基づいて到達圏ラインを生成できます。デフォルトで、このチェックボックスはオフになっています。
[階層を使用] がオンになっているときは、ラインを生成できません。解析プロセスの開始時に [階層を使用] と [ラインの生成] を両方ともオンにすると、エラーが返され、解析は失敗します。
メジャーの生成
このチェックボックスをオンにすると、到達圏ラインのメジャーが生成されます。これにより、イベントのダイナミック セグメンテーションなど、到達圏ラインの機能で使用できるリニア リファレンス情報が出力ラインに追加されます。
ブレークでラインをスプリット
このチェックボックスをオンにすると、ブレークと交差するすべてのラインが 2 つのラインにスプリットされます。
ネットワーク ソースのフィールドを含める
到達圏エッジが通過する入力フィーチャの SourceID、SourceOID、FromPosition、および ToPosition の値を追加します。これにより、到達圏ラインの結果を元のソース データに簡単に結合できます。
オーバーラップ オプション
ラインを重ねるかどうかを選択できます。
[オーバーラップを許可] を選択した場合、2 つの施設の到達圏ラインが一致しても、施設の到達圏ラインごとに、合計 2 つのフィーチャが存在します。[オーバーラップを許可しない] を選択した場合、到達圏ラインは 1 つだけとなり、最も近い(インピーダンスが低い)施設に関連付けられます。
[累積] タブ
[累積] タブでは、到達圏のライン オブジェクトに累積されるコスト属性をネットワーク データセットから選択できます。これらの累積属性は、参考情報としてのみ使用されます。解析は、解析レイヤの [インピーダンス] パラメータで指定されているコスト属性のみを使用して到達圏を計算します。
累積されるコスト属性ごとに、FromCumul_[Impedance] および ToCumul_[Impedance] の 2 つのフィールドが出力ラインに追加されます。この [Impedance] は累積コスト属性の名前に置き換わります。
距離ベースのインピーダンス属性を使用して解析を行い、時間ベースのコスト属性を累積することができます。この種の解析の結果は距離を基にしてますが、到達圏のある部分に到達するのにかかる時間も特定します。さらに、開始時間または終了時間を設定し、時間依存のコスト属性を累積して走行速度の変動を考慮に入れることによって、この一時的情報をより正確に判定することができます。
[ネットワーク ロケーション] タブ
[ネットワーク ロケーション] タブのパラメータは、ネットワーク ロケーションを検索して、それらのプロパティに値を設定するために使用されます。