ネットワーク解析のトラブルシューティング

ArcGIS Network Analyst エクステンション では、理解したり解決したりする必要のある特定のエラー メッセージや予期せぬ振舞いが発生することがあります。[Network Analyst オプション] ダイアログ ボックスでエラー メッセージと警告メッセージの表示を有効にすると便利です。

[Network Analyst オプション] ダイアログ ボックスは、[Network Analyst] ツールバーで [Network Analyst] [オプション] の順にクリックして開きます。

ネットワーク解析オプションの詳細

エラー メッセージと警告メッセージの設定

このトピックの「一般的な振舞い」セクションでは、Network Analyst がレポートするエラーのタイプとその理由を説明しています。

また、解析に固有の動作に関する説明では、たとえば、ネットワーク上の最初のストップを特定できない場合にルート解析を行うとどのような結果が生じるかなど、各種シナリオでの Network Analyst の解析動作について説明します。

一般的な動作

Network Analyst がレポートには、次の表のとおり 5 つのタイプがあります。エラーは次の優先順で検出されます。

  1. 定義に含まれるエラー
  2. 無効なロケーション
  3. 基数の問題
  4. 到達可能性の問題
  5. ユーザによる中断

問題の種類

説明

出力

定義に含まれるエラー

解析の問題の定義に誤りがあります。

  1. ルート解析時に、たとえば、名前が誤って定義されているためにインピーダンスとして使用される属性が見つからず、「Times 属性が見つかりません」などのエラーが返されます。
  2. ルート解析時に階層設定が無効であるため、たとえば「階層レベル 2 の最大値 2 は無効です。階層レベル 1 の階層値は 3 より大きい必要があります。」などのエラーが返されます。

エラー メッセージが出力されます。検索は行われません。

無効なロケーション

一部またはすべてのネットワーク ロケーションがネットワークに配置されていません。この場合、次のいずれかを行います。

  • 無効なロケーションを除外します。
  • 無効なロケーションを除外しません。

  1. ルート解析時に、一部のストップがネットワークに配置されていません。
  2. 両方向共規制されたエッジにストップが配置されています。
  3. バリアによって両端がブロックされたエッジにストップが配置されています。
  4. 特定されたストップが不正なタイム ウィンドウ属性を持っています。

無効なロケーションが無視されると、特定されたネットワーク ロケーションを使用して部分的な検索が行われます。また、無視された、特定できないネットワーク ロケーションに関する警告メッセージが出力されます。無効なロケーションを除外しない場合は検索は行われず、エラー メッセージが出力されます。

基数の問題

有効なロケーションの数が、解析に必要な最小ロケーション数を下回っています。

ルート解析時に、有効なネットワーク ロケーションが 1 つしかありません。

エラー メッセージが出力されます。検索は行われません。

到達可能性の問題

一部のネットワーク ロケーションに到達できません。

  1. ネットワークの一部が接続されていない、または残りのネットワークから分離されています。
  2. 階層が切断されている、または誤っています。
  3. 最寄り施設の解析時に、最寄の施設がカットオフ コスト以遠に存在します。

出力は解析の動作および設定によって異なります。場合によっては、部分的な検索が行われ、警告メッセージが示されます。それ以外の場合は検索は行われず、エラー メッセージが出力されます。

ユーザによる中断

ユーザが Esc キーを押すと、解析は中断されます。

ルート解析時に、[解析の実行] ボタン 解析の実行 をクリック後、解析が完了する前にユーザが Esc キーを押します。

中断メッセージが出力されます。

解析エラー テーブル

解析に固有の動作

それぞれの解析に次のルールが適用されます。

ルート解析

  • 解析には、ルートあたり少なくとも 2 つのストップが必要です。
  • ルートが見つからない場合、検索は行われません。
  • 無効なロケーションを除外するように設定している場合、無効なロケーション(ストップおよびバリア)はすべて除外されます。また、すべてのストップの連続番号は変更されません([ストップを並べ替えて最適ルートを検出] 解析レイヤ オプションを使用しない場合)。
  • 有効なストップの 1 つが到達不能な場合、どのストップも検索されません([ストップを並べ替えて最適ルートを検出] オプションを使用しない場合)。
  • 連続番号が有効である必要があります。つまり、連続番号はゼロより大きく、ストップ数を超えてはなりません。また、重複することも許されません。

[ストップを並べ替えて最適ルートを検出] オプションを使用したルート検索

  • 無効なロケーションを除外するように設定している場合、無効なロケーションはすべてスキップされます。ロケーションの順序は、無効なロケーションをリストの最後に位置づける形式で再設定されます。最初のストップが無効なロケーションである場合、2 番目のストップが最初のロケーションとなり、最初のストップはリストの最後に移動されます。
  • 有効なストップの 1 つが到達不能である場合、ストップの順序が変更され、到達不能なストップはリストの最後に移動されます。部分的な検索が行われます。つまり、到達可能な、有効なストップに基づいてルートが計算されます。
  • [最初のストップを維持] 解析レイヤ オプション(または [最後のストップを維持])をオンにした場合は、最初のストップ(または最後のストップ)は到達可能である必要があります。これが到達不可能である場合、ルートは検索されません。

最寄り施設の検出

  • 解析には、少なくとも 1 つの有効で到達可能なインシデントと、1 つの有効で到達可能な施設が必要です。
  • 有効または到達可能な施設がインシデントに存在しない場合、検索は行われません。
  • 一部のインシデントが有効、または到達可能な施設を持たない場合、少なくとも 1 つの有効で到達可能なインシデントと、1 つの有効で到達可能な施設が存在する限り、部分的な検索が行われます。
  • 無効なロケーションを除外するように設定している場合、無効なロケーション(施設、ストップ、バリア)はすべて除外されます。

到達圏解析

  • 解析には、少なくとも 1 つの有効で到達可能な施設が必要です。
  • 施設に通過可能なエッジが存在しない場合、検索は行われません。
  • 一部の施設が通過可能なエッジを持たない場合でも、少なくとも 1 つの施設が通過可能なエッジを持つ限り、部分的な検索が行われます。
  • 無効なロケーションを除外するように設定している場合、無効なロケーション(施設およびバリア)はすべて除外されます。

OD コスト マトリックス解析

  • 解析には、少なくとも 1 つの有効で到達可能な起点と、1 つの有効で到達可能な終点が必要です。
  • 有効または到達可能な終点が起点に存在しない場合、検索は行われません。
  • 一部の起点が有効または到達可能な終点を持たない場合でも、少なくとも 1 つの有効で到達可能な起点に、少なくとも 1 つの有効で到達可能な終点が存在する限り、部分的な検索が行われます。
  • 無効なロケーションを除外するように設定している場合、無効なロケーション(起点、終点、バリア)はすべて除外されます。

配車ルート(VRP)解析

  • 特定の配車ルート解析レイヤの解析を実行するには、少なくとも 1 つの訪問先、拠点、およびルートが必要です。
  • [拠点] および [バリア] ネットワーク解析クラス内の無効なネットワーク ロケーションは、無視することができません。これらのネットワーク解析クラスのどれかに無効なネットワーク ロケーションが含まれる場合は、エラー メッセージが生成されます。ただし、無効な訪問先は無視されます。
  • キー フィールドとしての役割を果たす、ネットワーク解析クラス内の属性は、同一の値を持つ必要があります。たとえば、[拠点] ネットワーク解析クラス内の [Name] 属性の値は、[ルート] ネットワーク解析クラス内の [StartDepotName] 属性および [EndDepotName] 属性の値と同じである必要があります。同様に、[ルート] ネットワーク解析クラス内の [Name] 属性の値は、[休憩] ネットワーク解析クラス内の [RouteName] 属性の値と同じである必要があります。

    Relationships between network analysis classes in the vehicle routing problem

  • ルートに対して [MaxTotalDistance] や [CostPerUnitDistance] などの距離ベースの制約を指定する場合、解析レイヤの [距離属性] プロパティを指定する必要があります。
  • VRP 解析ですべての拠点をルートに割り当てると指定の制約に必ず違反するという場合、解析では部分的な検索が行われます。[訪問先] および [ルート] ネットワーク解析クラスの [ViolatedConstraints] 属性には、特定の訪問先またはルートが違反した制約に関する情報が含まれます。

    訪問先およびルートの制約違反の詳細

ロケーション-アロケーション解析

  • 解析には、少なくとも 1 つの有効で到達可能な施設と、1 つの有効で到達可能な需要地点が必要です。
  • 有効で到達可能な施設または需要地点が存在しない場合、検索は行われません。
  • 一部の施設が通過可能なエッジを持たない場合でも、少なくとも 1 つの施設が通過可能なエッジを持つ限り、部分的な検索が行われます。

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7/16/2014