ArcGIS for Desktop での ArcSDE ジオデータベースの管理の概要
通常、ArcSDE ジオデータベースには数多くのユーザがアクセスして、フィーチャやテーブルに多くの更新を実行します。したがって、編集者と ArcSDE 管理者は、数多くのジオデータベースの管理タスクを実行して、ジオデータベースが正常に機能し、ユーザが操作する必要のあるデータに効率よくアクセスできるようにしなければなりません。このトピックでは、ArcCatalog と ArcMap 内の [ジオデータベース管理] ダイアログ ボックスの概要について説明し、ArcSDE ジオデータベースの管理に役立つ数多くのジオプロセシング ツールについても説明します。ジオプロセシング ツールは、ジオデータベースを日常的に管理しパフォーマンスを向上させる有効な手段です。[ジオデータベース管理] ダイアログ ボックスを使用すると、バージョンの管理、ユーザ接続の管理、ロックの管理ができます。
バージョンの管理
[ジオデータベース管理] ダイアログ ボックスの [バージョン] タブには、バージョン管理に役立つ次の 4 つのサブタブがあります。
![]() | [トランザクション] - ジオデータベースのすべてのバージョンの所有者と最新の変更日時のタイム スタンプが表示されます。 バージョン プロパティの詳細 |
![]() | [ツリー ビュー] - 親バージョンと子バージョンの間の構造と関係を表示します。相互にリコンサイル可能なバージョン、削除可能なバージョン、およびカスケード削除の影響を受ける子バージョンを視覚的に確認する場合に役立ちます。 バージョンのツリー ビューの詳細 |
![]() | [リコンサイルの順序] - データベース管理者として接続している場合にのみ使用できます。このサブタブには、DEFAULT バージョンを圧縮してステートを 0 にする際に障害となるトランザクション バージョンのみが表示されます。これにより、ジオデータベース管理者は、DEFAULT に対してリコンサイルする必要のあるバージョンとリコンサイルの順序がわかります。 推奨されるリコンサイルの順序の詳細 |
![]() | [履歴] - 名前と日時のタイム スタンプが記載された履歴マーカーが表示されます。このサブタブでは、履歴マーカーの作成と削除、選択したマーカーの名前と日時の変更ができます。 履歴バージョンの操作の詳細 |
[トランザクション]、[ツリー ビュー]、[リコンサイルの順序] の各サブタブのショートカット メニューで、新規バージョンの作成、バージョンの削除、リコンサイルするバージョンの選択(複数可)、選択されたバージョンで現在保持されているロックの表示ができます。
複数のバージョンを含むジオデータベースのパフォーマンスを良好に維持するには、いくつかの重要な管理タスクを定期的に実行する必要があります。ArcSDE 管理者向けの推奨ワークフローでは、リコンサイルとポストを頻繁に行い、ジオデータベースを圧縮した後に、[データセットの分析(Analyze Datasets)] および [インデックスの再構築(Rebuild Indexes)] ジオプロセシング ツールを実行します。このような日常的なメンテナンスは、スクリプトとして、またはモデルを構築して夜間に実行するように設定できます。
詳細については、「推奨されるバージョン管理ワークフロー」および「Python スクリプトを使用したバージョンのバッチ リコンサイルとポスト」をご参照ください。
ユーザ接続の管理
ジオデータベース管理者は、[ジオデータベース管理] ダイアログ ボックスの [接続] タブを使用して、ArcSDE ジオデータベースへのすべてのユーザ接続を表示できます。このダイアログ ボックスから、管理者はユーザ接続を表示したり、ユーザをジオデータベースから切断することができます。
ユーザの切断は、さまざまな理由で必要となります。たとえば、ユーザがオブジェクトのロックを保持していて、他の編集者がこのオブジェクトにアクセスできない場合が考えられます。ジオデータベースに対して確立できる接続の数が制限されている状況で、管理者はユーザを切断して、他のユーザのために接続を解放することが必要となる場合があります。
ジオデータベースでのロックの管理
ユーザがデータを編集および検索すると、ArcGIS はジオデータベース内のデータセットのロックを自動的に適用および解放するため、ユーザは他のユーザと競合することなく変更を管理できます。ジオデータベース内のオブジェクトがロックされると、これらのオブジェクトへのアクセスが変更されます。[ジオデータベース管理] ダイアログ ボックスの [ロック] タブで、ジオデータベースのロックを表示および管理できます。このダイアログ ボックスを使用すると、データセットとバージョンのアクティブなロックおよびロックの取得ユーザを表示できます。これにより、特定のデータセットとバージョンの編集操作を禁止している可能性のあるユーザを特定できるため、他のユーザと編集プロセスを調整することができます。
管理者は、ダイアログ ボックスを使用して、ジオデータベースの通常の管理タスクを管理できます。管理者は、ジオデータベースのすべてのロックを表示することによって、特定のデータセットとバージョンの管理タスクを妨げている可能性のあるユーザがわかります。また、ユーザをすべて切断して管理タスクを実行することが安全であるかどうかを判断できます。
ArcSDE ジオデータベースへの新規ユーザ接続の禁止
ジオデータベース管理者がジオデータへの新規接続を禁止するには、[データベース プロパティ] ダイアログ ボックスの [接続] タブに移動して、[ジオデータベースは接続を受け付けています] チェックボックスをオフにします。この設定は、管理者がシステム上にユーザ接続がない状態を必要とするジオデータベース レベルの管理を実行する必要がある場合に重要です。管理者は、ジオデータベースへの新規接続を禁止することによって、現在接続しているユーザに徐々に作業を終了させ、最終的にジオデータベースに接続しているユーザがいない状態にすることができます。
データセットの分析(Analyze Datasets)ツールの使用
[データセットの分析(Analyze Datasets)] ツールを使用して、ジオデータベース内のデータセットの統計情報を更新します。このツールは、ビジネス テーブル、差分テーブル、および履歴アーカイブ テーブルの統計情報と、これらのテーブルに関連付けられたインデックスの統計情報を更新します。
統計情報の更新は、圧縮処理の後、トポロジ ルールの追加または削除の後、および ArcSDE ジオデータベースへのデータのインポート、読み込み、コピーが完了した後に実行する必要があります。ジオデータベース管理者は、大量のデータをジオデータベースに読み込んだ後、またはバージョン対応のジオデータベースを圧縮した後で、[データセットの分析(Analyze Datasets)] ツールを使用してジオデータベース システム テーブルの統計情報を更新できます。詳細については、「データセットの分析(Analyze Datasets)ツールによるジオデータベース システム テーブルの統計情報の更新」をご参照ください。
インデックスの再構築(Rebuild Indexes)ツールの使用
データベースで大量の編集を行った後や、データベースの圧縮操作の後は、インデックスが断片化する場合があります。インデックスを再構築すると、パフォーマンスを向上させることができる場合があります。ジオデータベース管理者は、圧縮操作の後、[インデックスの再構築(Rebuild Indexes)] ツールを使用して、states、state_lineages、mv_versions_modified の各システム テーブルのインデックスを再構築できます。詳細については、「システム テーブルでのインデックスの再構築(Rebuild Indexes)ツールの使用」をご参照ください。