チュートリアル: エンタープライズ ジオデータベースから複製されたデータを使用した Web 編集の実行

複雑性: 上級 データ要件: 独自データの使用

Web ベースの編集では、広範なユーザ層がデータに追加や修正の操作を実行できます。これらのユーザ層としては、たとえばフィールド スタッフ、社内の他の部署のアナリストが挙げられます。また、特に専門的な知識のない方でもデータを見事な仕上がりに加工できます。これは、シンプルな編集インタフェースが提供されているためです。

このチュートリアルでは、海岸線の野鳥観察を管理するために 2 つのエンタープライズ ジオデータベースを作成します。1 つのジオデータベースはオンプレミス(ローカル コンピュータ)で野鳥観察を管理するために使用し、もう 1 つのジオデータベースは Web 上でボランティアにより送信された野鳥観察を管理するために使用されます(ArcGIS Server 上にあるエンタープライズ ジオデータベース)。編集をいずれかのジオデータベースにコミットすると、ジオデータ サービスを使用して両方のジオデータベース間で編集が同期されます。

この処理について、次の図で詳しく説明します。

公開者のコンピュータと ArcGIS Server が別々のジオデータベースを使用する場合

Web 編集を実行する処理は、実際には大きなワークフローの最終ステップとなります。このチュートリアルでは、次の作業を行う方法を示します。

  1. PostgreSQL、SQL Server、または Oracle などのデータベース プラットフォームを使用してエンタープライズ ジオデータベースを設定します

  2. Web 編集を実行できるマップ ドキュメントを作成します。これには、フィーチャ サービスに適合するマップ ドキュメントの設計が必要です。フィーチャ サービスの使用により、ユーザは Web 経由でエンタープライズ ジオデータベースに野鳥観察を追加および編集できます。これは、Web 編集ワークフローの主要コンポーネントです。

  3. ArcGIS Server で公開するためにローカル エンタープライズ ジオデータベースのデータを準備します。これには、ArcGIS Server への接続、サーバへのローカル データベースと Web データベースの登録、変更を同期するためのジオデータ サービスの作成、ArcGIS Server のジオデータベースへのローカル ジオデータベースのデータのレプリカの送信が必要です。

  4. フィーチャ アクセス ケーパビリティを有効にしたマップ サービスとしてマップ ドキュメントを公開します。これにより、フィーチャ サービス エンドポイントが作成されます。Web アプリケーションなどのクライアントは、このフィーチャ サービス エンドポイントを通してマップの野鳥観察にアクセスし、編集を行うことができます。

  5. Web アプリケーションでフィーチャ サービスを利用します。このチュートリアルでは、ArcGIS.com マップ ビューアを使用して、マップ内の野鳥観察をすばやく編集、更新、および削除します。また、データをローカルで編集し、ArcGIS for Desktop を使用して両方のジオデータベース間で変更を同期します。

チュートリアルを始める前に

ArcGIS Server をインストールした直後の場合は、このチュートリアルを始める前に次のトピックを読むことをお勧めします。

エンタープライズ ジオデータベースの設定

フィーチャ サービスには、エンタープライズ(ArcSDE)ジオデータベースが必要です。これは、エンタープライズ ジオデータベースが複数のユーザによる同時編集に対応する設計になっているためです。このチュートリアルではよくある状況です。ArcSDE では、PostgreSQL、SQL Server、および Oracle などのさまざまなデータベース プラットフォームを使用できます。

このチュートリアルの目的に合わせて、作成および編集するフィーチャを格納する、次の 2 つの空のエンタープライズ ジオデータベースを設定する必要があります。オンプレミス(公開に使用するコンピュータ上の)の 1 つのデータベースおよび ArcGIS Server 上の 1 つのデータベースです。ArcSDE に適合するデータベース プラットフォームをすでにインストールし、空のジオデータベースをユーザ側とサーバ上に設定している場合は、次のセクションに進んでください。そうでない場合は、適切なデータベース プラットフォームをローカル コンピュータと ArcGIS Server にインストールし、新しい 2 つのエンタープライズ ジオデータベースを作成する必要があります。その前に、オペレーティング システム、ArcGIS Server のライセンス レベル、ArcGIS for Desktop で、インストールするデータベース プラットフォームを使用できることを確認してください。システムおよびライセンス要件の詳細については、「ArcGIS 10.1 for Server の機能比較表」をご参照いただくか、Esri の担当者にお問い合わせください。

次のトピックでは、データベース プラットフォームごとのインストール処理について説明します。これらのトピックには、新しいエンタープライズ ジオデータベースを作成して組織内で使用できるように正しく構成する方法を説明している補助トピックへのリンクもあります。適切なデータベース プラットフォームをローカル コンピュータと ArcGIS Server にインストールし、新しいジオデータベースを作成したら、このチュートリアルの次のセクションに進んでください。

新しいデータベース ユーザの作成

空のエンタープライズ ジオデータベースを作成したら、新しいデータベース ユーザを作成して編集を管理する必要があります。これを行うには、まずデータベースに接続し、各データベースの新しいデータベース ユーザを作成し、新しいユーザとしてデータベースに再接続する必要があります。

データベースへの接続と新しいユーザの作成

手順:
  1. ArcCatalog または ArcMap のカタログ ウィンドウで、[Database Connections] フォルダ データベース接続 を展開し、[データベース接続の追加] データベース接続の追加 をクリックします。
  2. [データベース接続] ダイアログ ボックスで、[データベース プラットフォーム] ドロップダウン リストから接続先のデータベースの種類を選択します。
  3. 適切なデータベース プロパティと認証情報を入力して、データベースに接続します。手順が不明な場合は、「ArcGIS for Desktop でのデータベース接続」を参照して、正しい情報を入力してデータベースに接続する方法を理解してください。
  4. [OK] をクリックします。データベースへの接続が、[データベース接続] ノードデータベース接続 に表示されます。
  5. 新しいデータベース接続を右クリックし、[管理] [ユーザの追加] の順に選択します。これにより、[データベース ユーザの作成(Create Database User)] ジオプロセシング ツールが起動します。
  6. [データベース ユーザの作成] ダイアログ ボックスで、新しいデータベース ユーザ名とデータベース ユーザ パスワードを入力します。例、ユーザ: editor、パスワード: tutorial
  7. [OK] をクリックします。新しいユーザがデータベース内に作成されます。
  8. このチュートリアルで使用するその他のデータベースについて、これらの手順を繰り返します。

新しいユーザとしてデータベースに再接続

手順:
  1. ArcCatalog または ArcMap のカタログ ウィンドウで、[データベース接続] データベース接続 フォルダを展開し、[データベース接続の追加] データベース接続の追加 をクリックします。
  2. [データベース接続] ダイアログ ボックスで、前のセクションで作成した新しいユーザの認証情報を入力します。
  3. [OK] をクリックします。以上で、新しいユーザとしてデータベースに接続されます。
  4. [Database Connections] フォルダ データベース接続 で、データベースへの接続を確立した最初の接続を削除します。これにより、このチュートリアルの後の手順でデータベース接続ファイルを指定するときの混乱を回避しやすくなります。
  5. このチュートリアルで使用するその他のデータベースについて、これらの手順を繰り返します。
  6. ローカル ジオデータベースと Web エンタープライズ ジオデータベースを区別しやすいように、接続の名前を変更してください。これを行うには、接続を右クリックして [名前の変更] を選択します。

フィーチャ サービスと Web 編集を使用できるマップ ドキュメントの作成

エンタープライズ ジオデータベースを設定したら、Web 編集で使用するフィーチャ サービスを使用できるマップ ドキュメントの作成作業を開始できます。

このセクションでは、次の操作を行います。

次の手順は、ローカル データベース上でのみ実行する必要があります。このチュートリアルの後の手順では、ジオデータ サービスを使用して、下記の手順で作成したデータベース アイテムのレプリカ(コピー)を ArcGIS Server 上にあるデータベース内に送信します。マップ ドキュメントの作成を開始するには、次の手順に従います。

属性ドメインの作成

編集時のデータの一貫性を確保するために、属性ドメインを構成して、データベースに追加される観察を少数の特定の野鳥タイプに制限します。

手順:
  1. ArcMap を起動し、新しい空のマップ ドキュメントを開き、マップ ドキュメントを保存します。マップ ドキュメントは、ArcGIS Server を実行しているアカウントからアクセスできる場所に保存する必要はありません。
  2. カタログ ウィンドウで、[データベース接続] フォルダ データベース接続 を展開します。
  3. ローカル データベース接続を右クリックして、[プロパティ] プロパティ を選択します。
  4. [データベース プロパティ] ダイアログ ボックスで、[ドメイン] タブをクリックします。
  5. [ドメイン名] フィールドで、最初のセルをクリックし、「タイプ」と入力します。
  6. ドメイン名の横の [説明] 列で、最初のセルをクリックし、「野鳥タイプ」と入力します。
  7. [ドメイン プロパティ] セクションで、[フィールド タイプ] の横のセルをクリックして、[Long Integer] を選択します。
  8. [ドメイン タイプ] の横のセルをクリックし、[コード値] を選択します。
  9. [コード値] セクションで、[コード] 列の最初のセルをクリックし、「0」と入力します。
  10. コードの横の [説明] 列で、最初のセルをクリックし、「ウミスズメ/外洋にすむ鳥」と入力します。
  11. 下のリストから [コード値] セクションに残りの野鳥タイプを入力します。

    コード

    説明

    1潜水鳥類
    2カモメ類/アジサシ
    3猛禽類
    4浜鳥
    5渉禽類
    6水鳥
    7不明
  12. 海岸線の野鳥観察データベースのドメインの指定
  13. [OK] をクリックします。

フィーチャクラスの作成

チュートリアルのこのセクションでは、野鳥観察ジオデータベースのさまざまな鳥の種類を表すポイント フィーチャクラスを作成します。これには、フィーチャクラスの空間参照の定義、およびフィーチャクラス テーブルの新しいフィールドへのドメインの割り当てが含まれます。次の手順に従って作業を開始します。

手順:
  1. カタログ ウィンドウで、ローカル データベース接続を右クリックし、[新規] [フィーチャクラス] の順に選択します。
  2. [新規フィーチャクラス] ダイアログ ボックスで、[名前] フィールドに「shoreline_birdsightings」と入力します。
  3. [タイプ] ドロップダウン リストから、[ポイント フィーチャ] を選択します。[次へ] をクリックします。
  4. 座標系検索ボックスに、「Web メルカトル(球体補正)」と入力し、[検索] 検索 をクリックします。
  5. 結果リストで、[WGS 1984 Web メルカトル(球体補正)]を選択します。これは、ArcGIS Online で使用される座標系と同じ座標系であり、フィーチャ サービスを ArcGIS ベースマップ サービスとシームレスにオーバーレイすることができます。[次へ] をクリックします。
  6. [XY 許容値] パネルで、デフォルトの値をそのまま使用して [次へ] をクリックします。
  7. [コンフィグレーション キーワード] パネルで、デフォルトの値をそのまま使用して [次へ] をクリックします。
  8. [フィールド プロパティ] パネルの [フィールド名] 列で、[SHAPE] の下のセルをクリックし、「TYPE」と入力します。
  9. [データ タイプ] 列で、[ジオメトリ] の下のセルをクリックして、[Long Integer] を選択します。
  10. [ドメイン] の右側のセルをクリックしてフィールドのプロパティを編集し、[タイプ] を選択します。これは、チュートリアルのタイプ ドメインで定義した値のみをフィールドが受け入れることを指定します。
  11. [フィールド名] 列で、最初のセルをクリックし、[TYPE] フィールドの下のセルをクリックし、「COMMENTS」と入力します。
  12. COMMENTS」フィールドのデータ タイプとして [Text] を指定します。
  13. [完了] をクリックします。

フィーチャクラスが作成され、コンテンツ ウィンドウに自動的に追加されます。

フィーチャ アタッチメントの作成

このセクションでは、フィーチャクラスにフィーチャ アタッチメントを追加します。アタッチメントは、フィーチャを作成または編集するときにフィーチャに関連付けることができる、イメージ、PDF、またはビデオなどのメディア ファイルです。たとえば、海岸線の野鳥観察をデータベースに追加するときに、追加のコンテキスト用に野鳥の写真をアタッチできます。フィーチャをクリックすると、アタッチメントが表示されます。

手順:
  1. カタログ ウィンドウで、ローカル エンタープライズ ジオデータベースへの接続を展開します。
  2. [shoreline_birdsightings] フィーチャクラスを右クリックして、[管理] [アタッチメントの作成] の順に選択します。

ArcMap では、アタッチされたファイルとリレーションシップ クラスを格納する新しいテーブルを追加して、フィーチャとそのアタッチメント間のリンクを管理します。

レイヤ レンダラとシンボルの定義

このセクションでは、データベース内のさまざまな野鳥タイプのレイヤ レンダラとシンボルを定義します。フィーチャはマップ ドキュメントで定義されたシンボルを使用して Web 上に表示されるため、フィーチャをシンボル表示する方法は重要です。

手順:
  1. ArcMap のコンテンツ ウィンドウで、[描画順にリスト] 描画順にリスト をクリックします。
  2. [shoreline_birdsightings] フィーチャクラスを右クリックして、[プロパティ] プロパティ をクリックします。
  3. [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [シンボル] タブをクリックします。
  4. [表示] ダイアログ ボックスの [カテゴリ] [個別値] の順にクリックします。これは、データベース内のすべてのフィーチャに個別値のレンダラを使用することを指定します。
  5. [値フィールド] ドロップダウン リストで、[TYPE] を選択します。
  6. [すべての値を追加] をクリックします。各野鳥タイプがリストに追加されます。
  7. [<その他の値すべて>] シンボルの横にあるチェックボックスをオフにします。
  8. [ウミスズメ/外洋にすむ鳥] 野鳥タイプの横にあるシンボルをダブルクリックします。
  9. [シンボル選択] ダイアログ ボックスで、検索フィールドに「ウミスズメ」と入力し、[検索] 検索 をクリックします。
  10. [ウミスズメ/外洋にすむ鳥] シンボルを選択し、サイズを [25] に増やします。
  11. [OK] をクリックします。シンボルが [ウミスズメ/外洋にすむ鳥] 野鳥タイプに適用されます。
  12. 次の基準に基づいて、シンボル検索を使用して残りの野鳥タイプのシンボル表示を指定します。

    野鳥タイプ

    検索基準

    シンボル

    サイズ

    潜水鳥類

    diving bird潜水鳥類25

    カモメ類/アジサシ

    ternカモメ類/アジサシ25

    猛禽類

    raptor猛禽類25

    浜鳥

    shorebird浜鳥25

    渉禽類

    wading bird渉禽類25

    水鳥

    waterfowl水鳥25

    不明

    疑問符(結果のリストで、[ESRI_Optimized] スタイルを選択します)。

    不明25
  13. シンボルの指定が完了したら、[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [OK] をクリックします。シンボルが ArcMap のコンテンツ ウィンドウに表示されます。

コンテキストのベースマップの追加

コンテキストの場合は、ArcGIS Online からベースマップをマップ ドキュメントに追加します。

手順:
  1. ArcMap のメイン メニューで、[ファイル] [データの追加] [ベースマップの追加] の順にクリックします。
  2. ベースマップとして、[明るいグレーのキャンバス] を選択し、[追加] をクリックします。ベースマップがマップ表示に追加されます。
  3. なじみのある海岸や海岸線などの対象地域を拡大し、マップ ドキュメントを保存します。

データベースのフィーチャクラスのバージョン対応

このチュートリアルでは、ローカル データベースで作成したフィーチャクラスをバージョン対応登録します。バージョニングにより、データにロックを適用したり、データを複製したりせずに、またジオデータベース レプリケーションの補助なしに、複数のユーザが ArcSDE ジオデータベースの同じデータを編集できます。フィーチャクラスをバージョン対応登録すると、挿入、更新、削除されたフィーチャを管理するために、2 つの差分テーブルがデータベース内に作成されます。編集が同期または保存されると、これらは差分テーブルからデータベースのデフォルト バージョンのベース テーブルに移動されます。

バージョニングは、多くの実稼動環境での重要なワークフローであり、この方法を使用して実践を重ねることにより、分散されているデータの管理に慣れることができます。詳細については、「バージョニングの概要」をご参照ください。

データをバージョン対応登録するには、次の手順を実行します。

手順:
  1. カタログ ウィンドウで、ローカル エンタープライズ ジオデータベースへの接続を展開します。
  2. [shoreline_birdsightings] フィーチャクラスを右クリックして、[管理] [バージョン対応登録] の順に選択します。
  3. [バージョン対応登録] ダイアログ ボックスで、[選択オブジェクトをベーステーブル移行オプションのバージョンに登録] がオフになっていることを確認します。[OK] をクリックします。
  4. [shoreline_birdsightings] フィーチャクラスを右クリックして、[管理] [Global ID の追加] の順に選択します。これにより、列がフィーチャクラス内に作成されます。この列を使用して、ジオデータベース レプリケーション処理でジオデータベース バージョン間の行を一意に識別できます
  5. [グローバル ID の追加の確認] ウィンドウで、[はい] をクリックします。

マップへのフィーチャの追加

以上でフィーチャを適切にシンボル表示し、コンテキストのベースマップを追加し、フィーチャクラスをバージョン対応にしました。次に、適切な編集環境を設定し、フィーチャをマップに追加します。

手順:
  1. ArcMap で、メイン メニューから [カスタマイズ] [ツールバー] [エディタ] の順に選択して、[エディタ] ツールバーを表示します。
  2. [エディタ] ツールバーで、[エディタ] [編集の開始] の順にクリックします。デフォルトのフィーチャ編集テンプレートが、マップ ドキュメントの編集可能レイヤのシンボルに基づいて作成されます。次のステップでは、このフィーチャ テンプレートを使用し、マップにフィーチャを追加します。
  3. [エディタ] ツールバーで、[フィーチャ作成] フィーチャの作成 をクリックします。
  4. [フィーチャ作成] ウィンドウで、野鳥タイプを選択し、マップに追加します。
  5. [エディタ] ツールバーで、[属性] 属性 をクリックします。
  6. [属性] ウィンドウで、作成したフィーチャにコメントとアタッチメントを追加します。選択した野鳥の写真を Web で検索し、イメージとして保存し、アタッチメントとして追加します。
  7. ArcMap 表示への野鳥観察の追加

  8. コンテンツ ウィンドウで、[shoreline_birdsightings] フィーチャクラスを右クリックし、[属性テーブルを開く] を選択します。
  9. [テーブル] ウィンドウで、フィーチャとアタッチメントがテーブル内にあることを確認します。操作が完了したら、テーブルを閉じます。
  10. 手順 3 ~ 8 を繰り返して、別の野鳥観察をマップに追加します。
  11. [エディタ] ツールバーで、[エディタ] [編集の終了] の順にクリックします。プロンプトが表示されたら、[はい] をクリックして編集を保存します。
  12. マップ ドキュメントを保存します。

公開するローカル エンタープライズ ジオデータベースの準備

以上で、マップ ドキュメントを作成し、編集しました。次に、公開するローカル エンタープライズ ジオデータベースを準備することができます。これを行うには、次の操作を行う必要があります。

開始するには、下記のセクションの手順に従います。

ベースマップ レイヤの削除

手順:
  1. ArcMap のコンテンツ ウィンドウで、ベースマップを右クリックし、[削除] を選択します。
  2. マップ ドキュメントを保存します。

ArcGIS Server への接続

手順:
  1. ArcMap の カタログ ウィンドウで、[GIS Servers] ノードを展開します。
  2. [ArcGIS Server サーバの追加] ArcGIS Server の追加 をダブルクリックします。
  3. [GIS サービスを公開する] を選択し、[次へ] をクリックします。
  4. [サーバの URL] に接続先の ArcGIS Server サイトの URL を入力します。デフォルトは、http://myserver:6080/arcgis です。ユーザまたはサーバ管理者が ArcGIS Web Adaptor をインストールした場合、URL は Web Adaptor の構成に応じて変わります。その他の URL の例については、「ArcGIS for Desktop での ArcGIS Server への公開者接続の作成」をご参照ください。
  5. [サーバ タイプ] ドロップダウン リストで、[ArcGIS Server] が選択されていることを確認します。
  6. このチュートリアルでは、デフォルトのステージング フォルダの場所をそのまま使用します。
  7. サーバ管理者がサイトのセキュリティを有効にしている場合は、ユーザ名とパスワードを入力します。[完了] をクリックします。

ArcGIS Server への公開者接続が、[GIS サーバ] ノードに作成されます。

ArcGIS Server へのデータベースの登録とジオデータ サービスの作成

ローカル エンタープライズ ジオデータベースから複製したデータを使用するフィーチャ サービスを公開するため、両方のジオデータベースを ArcGIS Server に登録する必要があります。登録には、マップ ドキュメントで参照されるエンタープライズ ジオデータベースおよびデータの場所に関する ArcGIS Server の知識が必要です。これにより、公開する準備が整っていることを確認できます。

サーバにジオデータベースを登録するときは、必要に応じてジオデータ サービスを作成することもできます。このサービスは、ローカル ジオデータベースのレプリカを ArcGIS Server に送信するためと、チュートリアルの後の手順で、両方のデータベース間で編集を同期するために使用します。

手順:
  1. カタログ ウィンドウで、ArcGIS Server への公開者接続を右クリックして、[サーバ プロパティ] を選択します。
  2. [ArcGIS Server プロパティ] ダイアログ ボックスで、[登録済みのデータベース] パネルの横にある [追加] 追加 をクリックします。
  3. [データベースの登録] ダイアログ ボックスで、一意の名前を入力します。この名前は、データベースを ArcGIS Server に登録するために使用され、ジオデータ サービス名として使用されます。たとえば、「shoreline_bird_sightings」と入力します。
  4. [公開者のデータベース接続] セクションで、[インポート] をクリックします。
  5. [データベース接続の参照] ダイアログ ボックスで、[場所] ドロップダウン リストをクリックし、[データベース接続] を選択します。
  6. ローカル データベースへの接続を選択して [選択] をクリックします。
  7. [データベースの登録] ダイアログ ボックスの [サーバ データベース接続] セクションで、[公開者のデータベース接続と同じ] の横のチェックボックスをオフにします。これは、公開者のコンピュータと ArcGIS Server が別のデータベースを使用していることを指定します。詳細については、「データのサーバへの登録について」をご参照ください。
  8. [サーバ データベース接続] セクションで、[インポート] をクリックします。
  9. [データベース接続の参照] ダイアログ ボックスで、[場所] ドロップダウン リストをクリックし、[データベース接続] を選択します。
  10. ArcGIS Server のデータベースへの接続を選択し、[選択] をクリックします。
  11. [サーバ データベース接続] セクションで、[ジオデータ サービスの作成] の横のチェックボックスがオンになっていることを確認します。これは、ArcGIS Server のデータベース用にジオデータ サービスが自動的に作成されることを指定します。このサービスは、ローカル ジオデータベースのレプリカを ArcGIS Server に送信するためと、チュートリアルの後の手順で、両方のデータベース間で編集内容を同期するために使用します。

    両方の接続がインポートされ、[ジオデータ サービスの作成] オプションがオンになります。

  12. [OK] をクリックします。エンタープライズ ジオデータベースがサーバに登録され、[登録済みのデータベース] ダイアログ ボックスに表示されます。
  13. [OK] をクリックして [ArcGIS Server プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。

ArcGIS Server へのローカル ジオデータベースのレプリカの送信

以上で、データベースをサーバに登録し、ジオデータ サービスを作成しました。次に、ジオデータ サービスを使用してローカル データベースのレプリカを ArcGIS Server のデータベースに送信します。下記の手順で作成する双方向レプリカは、ローカル ジオデータベースと ArcGIS Server のジオデータベース間で変更内容を同期するために使用されます。

手順:
  1. ArcMap で、メイン メニューから [カスタマイズ] [ツールバー] [分散ジオデータベース] の順に選択して、[分散ジオデータベース] ツールバーを表示します。
  2. [分散ジオデータベース] ツールバーで、[レプリカの作成] レプリカの作成 をクリックします。
  3. [レプリカ作成ウィザード] ウィンドウで、[双方向レプリカ] を選択します。[次へ] をクリックします。
  4. 次のパネルの [複製するデータ] の下で、[データ] が選択されていることを確認します。
  5. [データを複製するジオデータベース] で、[ジオデータベース] を選択し、参照ボタン 参照 をクリックします。
  6. [ジオデータベースを開く] ウィンドウで、[場所] ドロップダウン リストをクリックし、[GIS サーバ] を選択します。
  7. ArcGIS Server への公開者接続をダブルクリックし、チュートリアルの前の手順で作成したジオデータ サービスを選択します。[開く] をクリックします。
  8. [レプリカの名前を入力] で、「shoreline_birdsightings_web_replica」と入力します。[次へ] をクリックします。

    ジオデータ サービスの使用によるレプリカの作成

  9. 最後のパネルで、[オプション処理を実行しない] が選択されていることを確認します。[完了] をクリックします。

    [完了] をクリックすると、ローカル ジオデータベースのレプリカが ArcGIS Server のジオデータベースに送信されます。このレプリカを使用して、両方のジオデータベース間で変更内容が同期されます。サーバ上でレプリカが作成されたかどうかを確認するには、次の手順に従います。

  10. カタログ ウィンドウで、[Database Connections] データベース接続 フォルダを展開し、ArcGIS Server のジオデータベースへの接続をダブルクリックします。チュートリアルの前の手順で作成したデータとアタッチメントが接続の下に表示されます。
  11. ArcGIS Server のジオデータベースへの接続を右クリックし、[分散ジオデータベース] [レプリカの管理] レプリカの管理 の順に選択します。
  12. [レプリカ マネージャ] ウィンドウに、双方向レプリカとそれに関連付けられたプロパティが表示されます。レプリカのプロパティを確認し、[レプリカ マネージャ] ウィンドウを閉じます。

フィーチャ アクセスを有効にしたマップ サービスの公開

以上で、データベースの準備とサーバ上のジオデータベース レプリカの作成を完了しました。次に、[フィーチャ アクセス] ケーパビリティを有効にしてマップ ドキュメントを公開できます。これにより、マップ サービスへのフィーチャ サービス エンドポイントを作成します。Web アプリケーションなどのクライアントは、マップのフィーチャにアクセスし、編集を行うことができます。

マップ ドキュメントで参照されるデータがサーバにすでに登録され、そのデータのレプリカが ArcGIS Server のジオデータベースですでに作成されているため、マップ ドキュメントのデータ パスは公開時にサーバ上のジオデータベース レプリカを参照するように自動的に切り替えられます。追加の構成作業は不要です。結果のフィーチャ サービスは ArcGIS Server のジオデータベースのレプリカを使用するように自動的に指定されます。

フィーチャ アクセス ケーパビリティを有効にしたマップ ドキュメントを公開するには、以下の手順に従います。

手順:
  1. ArcMap のメイン メニューで、[ファイル] [共有] [サービス] の順にクリックします。
  2. [サービスとして共有] ウィンドウで、[サービスを公開] を選択します。[次へ] をクリックします。
  3. [サービスを公開] ダイアログ ボックスで、チュートリアルの前の手順で設定した ArcGIS Server への公開者接続を選択します。
  4. デフォルトでは、マップ ドキュメントの名前はサービス名です。デフォルトの名前を使用する代わりに、「Shoreline_BirdSightings」と入力します。[次へ] をクリックします。
  5. デフォルトでは、ArcGIS Server のルート フォルダ(root)にサービスが公開されます。デフォルトの場所が選択された状態で、[続行] をクリックします。

    [サービス エディタ] ダイアログ ボックスが表示されます。[サービス エディタ] を使用して、フィーチャ サービスでユーザが実行できる操作を選択し、サーバがフィーチャ サービスを公開する方法を調整します。

  6. [ケーパビリティ] タブをクリックします。
  7. デフォルトでは、マッピングと KML が有効になっています。[フィーチャ アクセス] を選択します。このオプションを有効にすると、マップ サービスに関連するフィーチャ サービスが作成され、クライアントが Web 上でフィーチャを編集できるようになります。
  8. [サービス エディタ] ダイアログ ボックスの左側のペインで、[フィーチャ アクセス] をクリックして、フィーチャ サービスで有効な URL、オペレーション、およびプロパティを確認します。このチュートリアルでは、デフォルトの設定を使用して操作を続けます。フィーチャ サービスの操作については、「フィーチャ サービスの編集者の権限」をご参照ください。
  9. [サービス エディタ] ダイアログ ボックスの左側のペインで [アイテム説明] をクリックし、次のようにサービスのサマリとタグを入力します。

    • サマリ: 「海岸線の野鳥観察」フィーチャ サービスにより、ユーザはマップへの一般的な海岸線の野鳥観察の追加、観察への写真のアタッチ、コメントの入力を行うことができます。
    • タグ: shoreline、bird、sighting

  10. [公開] 公開 をクリックします。

フィーチャ サービスが ArcGIS Server に公開されます。公開処理が完了したら、Web アプリケーションでの海岸線の野鳥観察フィーチャ サービスの使用、編集の実行、編集内容をローカル エンタープライズ ジオデータベースとの編集内容の同期を行うことができます。

フィーチャ サービスの使用

このセクションでは、ArcGIS.com マップ ビューアを使用して、Web 経由で野鳥観察ジオデータベースのフィーチャの編集、更新、および削除を行います。最後に、ローカル ジオデータベースで同様の編集を行い、ジオデータ サービスを使用して変更を両方のジオデータベース間で同期します。

Web 経由でのフィーチャ サービスの編集

Web 経由でフィーチャ サービスを編集するには、ArcGIS.com マップ ビューアを使用します。これは、ArcGIS.com 上でホストされ、ArcGIS Server Service Directory を経由して直接配置できます。マップ ビューアを起動して実行するために、構成やプログラミング作業は不要です。

フィーチャ サービスの編集を開始するには、以下の手順に従います。

手順:
  1. Web ブラウザを開き、ArcGIS Server Services Directory に移動します。通常、この場所は http://<サーバ名>:6080/arcgis/rest/services です。Services Directory には、ArcGIS Server と一緒にインストールされたショートカットを開くことでもアクセスできます。
  2. サービス リストで、[Shoreline_BirdSightings(FeatureServer)] をクリックします。
  3. [Shoreline_BirdSightings(FeatureServer)] ページに、野鳥観察フィーチャクラスおよびフィーチャ サービスで使用できるオペレーションがリストされます。これらのパラメータの内容を確認し、[表示: ArcGIS.com マップ] をクリックします。新しいウィンドウ(またはタブ)が開き、ArcGIS.com マップ ビューアが表示されます。マップ ビューアの表示で、チュートリアルの前の手順でジオデータベースに追加したフィーチャが拡大されます。
  4. マップ ビューアの上部にある [編集] をクリックします。シンボル表示した野鳥タイプが [フィーチャの追加] ダイアログ ボックス内に表示されます。画面移動とズーム、マップへのフィーチャの追加、フィーチャの削除、フィーチャ ジオメトリの変更、およびアタッチメントの追加を行い、動作を確認します。対象地域をより適切に補足するためにベースマップ レイヤを切り替えることもできます。

    ArcGIS.com マップ ビューアの使用によるデータベースへの野鳥観察の追加

  5. フィーチャに対する編集が ArcGIS Server のエンタープライズ ジオデータベースに反映されていることを確認します。これを確認するには、ArcCatalog で ArcGIS Server の野鳥観察フィーチャクラスの属性テーブルを開きます。
  6. 必要に応じて、Web マップを保存します。

ローカル ジオデータベースのフィーチャの編集

手順:
  1. ArcMap で、フィーチャ サービスの作成に使用したマップ ドキュメントを開きます。マップ ドキュメントがすでに開かれている場合は、この手順を省略します。
  2. [エディタ] ツールバーで、[エディタ] [編集の開始] の順にクリックします。
  3. 新しいフィーチャをマップに追加します。必要に応じて、作成したフィーチャにコメントとアタッチメントを追加します。
  4. コンテンツ ウィンドウで、[shoreline_birdsightings] フィーチャクラスを右クリックし、[属性テーブルを開く] を選択します。
  5. [テーブル] ウィンドウで、フィーチャがテーブル内にあることを確認します。操作が完了したら、テーブルを閉じます。
  6. [エディタ] ツールバーで、[エディタ] [編集の終了] の順にクリックします。プロンプトが表示されたら、[はい] をクリックして編集を保存します。
  7. マップ ドキュメントを保存します。

編集の同期

Web 経由で実行したフィーチャ サービスの編集は、ArcGIS Server のジオデータベースのみに適用されます。逆に、ローカルで実行した編集内容はローカル ジオデータベースのみに適用されます。これらのデータセットを再び同じにするには、両方のジオデータベース間で変更を同期する必要があります。

編集内容を同期するには、以下の手順に従います。

手順:
  1. ArcMap の [エディタ] ツールバーで、[変更の同期] 変更の同期 を選択します。
  2. [変更の同期ウィザード] ウィンドウで、[同期方向][両方] を指定します。[次へ] をクリックします。
  3. 次のパネルで、デフォルトの値を受け入れて [完了] をクリックします。
  4. 両方のジオデータベースで編集が同期されます。ジオデータベースが同期していることを確認してください。これを行うには、次の手順に従ってください。
  5. ArcMap で、マップ表示を更新します。Web での編集がローカル ジオデータベースで利用できるようになったことがわかります。
  6. ArcGIS.com マップ ビューアに戻り、ブラウザを更新します。ローカルでの編集が ArcGIS Server のジオデータベースで利用できるようになったことがわかります。

参考トピック

以上で、フィーチャ サービスを正常にテストし、変更を両方のジオデータベース間で同期しました。次に、次のセクションを読み、組織内でこのワークフローを使用する方法を検討してください。

その他の ArcGIS Web クライアント

このチュートリアルでは、ArcGIS.com マップ ビューアを使用しましたが、他の ArcGIS クライアントでフィーチャ サービスを使用し、共有することもできます。次に例を示します。

  • ArcGIS Online で、ArcGIS.com アプリケーション テンプレートを使用して、カスタマイズされた Web 編集アプリケーションを作成できます。これらのテンプレートを組織の Web サーバに配置できます。詳細については、ArcGIS.com ヘルプの「コンテンツの共有」セクションをご参照ください。
  • ArcGIS Viewer for Flex および ArcGIS Viewer for Silverlight は、Web 編集を実行できる、構成可能な Web アプリケーションです。プログラミングの必要なしに、これらのアプリケーションを完全にカスタマイズして、フィーチャ サービスを操作し、組織の Web サーバにアプリケーションを配置できます。
  • JavaScriptFlex、および Silverlight 用の ArcGIS Web API は、最先端の Web マッピング ケーパビリティとカスタマイズ オプションを備えています。これらの API のいずれかを使用してプログラミングを問題なく行うことができる場合は、このチュートリアルで作成したフィーチャ サービスと同じフィーチャ サービスを活用して、Web 上でユーザの豊富な編集エクスペリエンスを提供できます。

Web ベースの編集では、外部ユーザがデータへの追加または修正を行うことができます。上記の ArcGIS クライアントの 1 つまたはすべてを探索することにより、特定の目的、目標または組織の戦略に合わせて編集シナリオをカスタマイズできる追加のオプションを得ることができます。

データ同期のスクリプト

スクリプトを記述することにより、同期処理を自動化できます。たとえば、フィーチャ サービスを実行中に、操作を中断しないで同期をスケジュールできます。詳細については、「変更の同期(データ管理)」をご参照ください。

バージョン管理

データベース同期をスケジュールした後に、バージョン管理の処理をスケジュールすることをお勧めします。これらの処理により、データベースに編集をコミットする際に適切なパフォーマンスを維持することができます。詳細については、「推奨されるバージョン管理ワークフロー」をご参照ください。

9/14/2013