ArcGIS for Server Network Analyst エクステンションの新機能

ArcGIS for Server Network Analyst エクステンションは 10.1 で複数の機能を強化しました。ライブ交通量に関する機能が追加され、現在の交通状況を視覚化やネットワーク解析の目的に利用できるようになりました。また、到達圏および配車ルートの Web サービスの作成と操作を容易にするジオプロセシング ツールも追加されました。以降では、これらの機能強化および他の機能について説明します。

64 ビット ArcGIS Server による大規模なネットワーク解析

処理するネットワーク エレメントと属性値の量のために、一部のネットワーク解析はコンピュータのリソースの限界に影響を受けます。10.1 では、ArcGIS Server は完全な 64 ビットアプリケーションであるため、性能が大幅に向上しており、大規模なネットワーク解析を行うことが可能となりました。

ネットワークの階層を使用した到達圏の高速な生成

ArcGIS 10.1 では到達圏の解析をする際に、ネットワーク データセットの階層の使用をサポートするため、到達圏の生成に必要な時間が大幅に短縮されました。これにより解析の過程で検索する必要のある道路の数が減少するため、到達圏の生成が非常に高速になりました。

到達圏の生成(Generate Service Areas)ジオプロセシング ツール

ArcGIS 10.0 およびそれ以前のバージョンでは到達圏の問題を解決する Web サービスを作成することができましたが、新しい [到達圏の生成(Generate Service Areas)] ジオプロセシング ツールはこの過程を簡素化しました。

10.1 以前では、[到達圏レイヤの作成(Make Service Area Layer)] ツールをモデルに追加する必要があり、モデルに追加する他のジオプロセシング ツールを認識し、適切な順序でそれをリンクする必要がありました。1 つのツール [到達圏の生成(Generate Service Areas)] を使用するだけで、ツールの結果も公開できます。この新しいツールのもう 1 つの利点は、入出力データ形式によって Web 環境でのデータの管理を簡素化できることにあります。

[到達圏の生成(Generate Service Areas)] の詳細

配車ルート(VRP)の解析(Solve Vehicle Routing Problem)ジオプロセシング ツール

ArcGIS 10.1 Network Analyst エクステンションには新しい VRP ジオプロセシング ツールである [配車ルート(VRP)の解析(Solve Vehicle Routing Problem)] が加わりました。これにより VRP Web サービスのためのデータのオーサリング、公開、管理を容易に行うことができます。

[配車ルート(VRP)の解析(Solve Vehicle Routing Problem)] では、[配車ルート(VRP)解析レイヤの作成(Make Vehicle Routing Problem Layer)] による利点を活用できます。この利点は、[到達圏の生成(Generate Service Areas)] での [到達圏レイヤの作成(Make Service Area Layer)] による利点と同様です。なお、ArcGIS Server 以外で使用するネットワーク解析レイヤを作成する場合には、[配車ルート(VRP)解析レイヤの作成(Make Vehicle Routing Problem)] は選択可能なツールです。ただし、VRP サービスの公開時は、[配車ルート(VRP)の解析(Solve Vehicle Routing Problem)] を使用する必要があります。[配車ルート(VRP)の解析(Solve Vehicle Routing Problem)] を使用すると、モデル内の複数のツールではなく単一のツールの結果を構成および公開できます。また、この新しいツールの入力と出力は Web サービスのデータの処理を簡素化するデータ タイプです。

[配車ルート(VRP)の解析(Solve Vehicle Routing Problem)] の詳細

オンラインの交通量データ

10.1 の ArcGIS Network Analyst エクステンションでは、オンラインの交通量データを取り込むことができ、これにより次のことが可能となります。

オンラインの交通量モデルは、10.0 でリリースされた履歴交通量モデルに基づいています。履歴交通量によって、時刻と曜日によって変化する移動時間がわかります。時間は履歴上の平均値に基づいています。交通履歴データを使用したネットワーク分析を実行することにより、簡単な静的コスト属性を使用した結果よりも、より正確な結果を得ることができます。オンラインの交通量は履歴交通量モデルに欠けている部分を補います。現在の交通量の状況を把握します。 現在の時刻に基づいてネットワーク分析を解決する場合、履歴交通量を使用して作成した場合よりも、オンラインの交通量を使用した場合の方が、通常は結果が改善されます。

ネットワーク データセットの交通のモデル化の詳細

[交通量データの更新(Update Traffic Data)] ジオプロセシング ツール

[交通量データの更新(Update Traffic Data)] はオンライン交通量モデルをサポートするために追加されました。これはデータ プロバイダの Web サービスからオンラインの交通量データをダウンロードし、ネットワーク データセットが読み込み可能なファイル フォーマットでデータを格納します。このツールを設定し、定期的にデータをダウンロードして動的交通量フォーマット(DTF)ファイルを作成できます。これにより、マップやネットワーク解析で最新の移動速度を使用できます。

[交通量データの更新(Update Traffic Data)] の詳細

[交通インシデントの更新(Update Traffic Incidents)]ジオプロセシング ツール

このツールは車両事故、建設工事などの交通インシデントをデータ プロバイダからダウンロードし、インシデントのポイント フィーチャクラスを作成します。オンラインの交通インシデントをマップ上に重ねることにより、交通移動速度が通常より遅い理由を提供することができます。このツールは通常はエンタープライズ ジオデータベースに書き込むように構成され、インシデントがマップとして、またはなお定期的に更新されている場合にはフィーチャ サービスとして、表示したり共有したりされるようにします。

[交通インシデントの更新(Update Traffic Incidents)] の詳細

すべての解析での交通量データのサポート

履歴交通量は 10.0 で導入されましたが、それは 6 つの解析のうちの 2 つ(ルート解析と配車ルート解析)でサポートされるのみでした。他の解析(到達圏、最寄り施設、OD コスト マトリックス、およびロケーション-アロケーション)でも、交通量データがサポートされています。さらに、これらすべての解析でライブ交通量と履歴交通量がサポートされています。

ネットワーク解析レイヤの詳細

Network Analyst モジュール(Python)

Network Analyst モジュールは Network Analyst ツールボックスで利用可能なすべてのジオプロセシング ツールおよびヘルパ関数とクラスにアクセスすることができる Python モジュールです。このモジュールと他の ArcPy モジュールを使用して Python を使ったワークフローを自動化することができます。

Network Analyst モジュールの詳細

エバリュエータでの Python スクリプトのサポート

従来は、フィールド エバリュエータと VBScript エバリュエータは VBScript のみをサポートしていました。これらのエバリュエータでは、Python で記述されたスクリプトもサポートされるようになりました。Linux プラットフォームでは VBScript がサポートされなくなったため、これは ArcGIS Server for Linux で特に重要です。したがって、VBScript エバリュエータはスクリプト エバリュエータと呼ばれるようになりました。

エバリュエータの詳細

[通過したソース フィーチャのコピー(Copy Traversed Source Features)] ジオプロセシング ツール

[通過したソース フィーチャのコピー(Copy Traversed Source Features)] では、2 つのフィーチャクラスと 1 つのテーブルを作成し、それらをすべて使用して、解析済みネットワーク解析レイヤを通過したエッジ、ジャンクション、およびターンに関する情報を格納します。

ネットワーク解析の実行後に、このツールを使って元のネットワークの状況を解析することができます。たとえば、解析範囲にルートをいくつか作成したら、[通過したソース フィーチャのコピー(Copy Traversed Source Features)] を使用して、ある道路のセグメントが通過された回数を知ることができます。

[通過したソース フィーチャのコピー(Copy Traversed Source Features)] の詳細

移動中の車両のリアルタイム配車ルートに対するサポートの向上

ネットワーク ロケーションをネットワーク解析レイヤへ読み込むことは、ネットワーク上で正確に配置されるようにするための、入力ポイントの方位と方位の許容値につながります。このフィーチャは、移動中の車両から GPS データをネットワーク解析内に読み込むときに特に役立ちます。

方位と方位の許容値フィールドの詳細

9/14/2013