解析とジオプロセシングでのモザイク データセットとイメージ サービスの使用
モザイク データセットとイメージ サービスは複数の解像度データを含むことができます。そのため、データの設計時に用途を検討し、データの使用時に内容を検討する必要があります。
解析用にモザイク データセットを設計する
解析操作に使用するモザイク データセットを設計しようとする場合、解析に使用するモザイク データセットに影響を与える可能性がある重要な制限事項が 3 つあります。
- データの解像度(セル サイズ)
- リクエスト サイズの制限
- モザイクした画像(要求)あたりのラスタ数の制限
解像度は解析の品質と妥当性に影響します。たとえば、データを使って重要な、もしくは地域固有の解析をする場合、結果の精度はコレクションのうちで最小精度のデータセットに依存します。たとえば、10 メートルと 2 メートルの解像度の標高データセットがある場合、10 メートルのものを 2 メートルでリサンプルしても、精度は良くなりません。2 つのデータを結合すると、データセットがカバーするエリアは、10 メートルのデータセットが持つ精度しかありません。
モザイク データセットのオーバービューまたは低解像度アイテムは、解析の分解能に誤った影響を与える場合があります。この場合、オーバービューではなく、最も適切な解像度を使用します。モザイク データセットへは、異なる解像度を混在させるよりも、同じ解像度を持つラスタ データを使用することをお勧めします。どちらの場合でも、この場合の解析に適したモザイク データセットのセル サイズを必ず確認または設定してください。
- カタログ ウィンドウでモザイク データセットを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
- [一般] タブをクリックします。
[ラスタ情報] の下は [セル サイズ(X, Y)] プロパティです。セル サイズを使用する解析や処理を行うときに使われるセル サイズのことです。セル サイズの値はデフォルトで、モザイク データセットに用いられる最も小さなもの(LowPS)です。たとえば、モザイク データセットに 2 つの標高データセットがあるとします。1 つは街全体を 1 メートルの解像度でカバーし、もう 1 つは近隣を 50 センチメートルの解像度でカバーします。そのため、モザイク データセットのセル サイズは 50 センチメートルになります。モザイク データセットの使われ方によっては、モザイク データセットのセル サイズを 1 メートルに変更できます。このため、全エリアの解析には適切なセル サイズを使用します。必要に応じて、ユーザは処理の際のセル サイズを指定できます。そのため、解析に高分解能のデータセットのみを使用する場合、50 センチメートルのセル サイズを指定することができます。
- [セル サイズ(X, Y)] プロパティの隣にある、[編集] ボタンをクリックします。
- 新たなセル サイズを入力してください。または、[デフォルトの設定] ボタンをクリックして元のデフォルト値にリセットします。
- [OK] をクリックして、各ダイアログ ボックスを閉じます。
または、[モザイク データセット プロパティの設定] ツールを使って、[セル サイズの出力] パラメータを変更して値を変えます。
リクエスト サイズの制限は、解析が可能なデータセットのサイズに影響を与えます。モザイク データセットは、アクセスまたはエクスポート可能な行と列の数を制限する、リクエストの最大サイズ プロパティがあります。したがって、ジオプロセシング ツールで処理されている画像のサイズが、解析で求められるサイズよりも小さくなる場合があります。また、一部の解析操作では、モザイクした画像を作成するために組み合わせることのできるラスタ数が制限を超えてもかまいません。その場合、出力されるコンテンツには利用できないデータを含めることができます。2 つのプロパティ共にソースモザイク データセット プロパティ で増やせます。
- カタログ ウィンドウでモザイク データセットを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
- [デフォルト] タブをクリックします。
- [リクエストの最大サイズ]、[ロウ]、および [カラム] プロパティに新たな値を入力します。
- [モザイクあたりの最大ラスタ数] に新しい値を入力します。
- [OK] をクリックしてダイアログ ボックスを閉じます。
または、[モザイク データセット プロパティの設定] ツール を使って[リクエストの最大イメージ サイズのロウ], [リクエストの最大イメージ サイズのカラム]、さらに[モザイクあたりの最大数] パラメータの新しい値を定義できます。
解析にモザイク データセットとイメージ サービスを使うときの注意事項
モザイク データセットと、このデータセットから公開されるイメージ サービスは複数の解像度のデータを含むことができ、非常に大きくなります。そのため、正しく使うために知る必要があることがいくつかあります。
モザイク データセットとイメージ サービスには、エクスポート可能な行と列の数を制限する、リクエストの最大サイズ プロパティがあります。したがって、ジオプロセシング ツールで処理された画像のサイズが、要求されるサイズよりも小さくなる場合があります。このプロパティを大きくするには、ソースのモザイク データセットのプロパティ で値を指定するか、サーバ管理者が変更します。プロパティを変更しない場合は、分割して 1 つずつ処理する必要があります。
プロパティの値を変更するには、次の手順をご参照ください。
設定した値を超えるとエラーになります。
-
モザイク データセットまたはイメージ サービスは、セル サイズの異なる画像を含むことができます。要求されたセル サイズが環境設定で定義されていない場合、ツールは常にベース セル サイズ(データセットのプロパティで定義されたセル サイズ)を使用してモザイク データセットまたはイメージ サービスを処理します。全世界を処理するには、1 キロメートルといった適切なセル サイズを必ず使います。
モザイク データセットを変更する権限がある場合、上記の手順を使用して セル サイズ(X, Y) プロパティを変更することができます。それ以外の場合は、[セル サイズ] パラメータ値をジオプロセシング環境で指定することができます。セルサイズを指定すると、同じセル サイズのラスタが使われます。指定したセル サイズのラスタがないエリアでは、そのセル サイズで他のラスタがリサンプルされます。異なるセル サイズのラスタを除外したい場合、指定されたセル サイズだけでラスタにロックするためにモザイク手法を変えなければなりません。そのため、指定したセル サイズのラスタが欠けたエリアは NoData として扱われます。
適切なセル サイズを定義するためには、以下の手順をご参照ください。
指定したラスタにロックするためには、以下の手順をご参照ください。
注意:[Spatial Analyst] ツールボックスと [3D Analyst] ツールボックスのツールのみがジオプロセシング環境の[セル サイズ] パラメータ値を使います。その他のツールには、セル サイズを定義するメモリ内のレイヤを作成し、たとえば[モザイク レイヤの作成(Make Mosaic Layer)] ツールを使います。
- モザイク データセットまたはイメージ サービスには、地表の画像を含めることができます。このコンテンツをすべて処理する必要がない場合は、以下で説明するレイヤ ツールのいずれかを使用して範囲を制限します。
繰り返し操作のために、セル サイズと範囲の設定は、ジオプロセシング ツールを使うときには非常に重要です。
ツールバーのツールの使用
ラスタ データを解析する[Spatial Analyst] と[3D Analyst] ツールバーにいくつかの対話的なツールがあります。モザイク データセットまたはイメージ サービスが入力のとき、セル サイズと範囲はデータの画面解像度と表示範囲に設定されます。
モザイク データセットの使用
ラスタ またはSpatial Analyst ジオプロセシング ツールは、モザイク データセットまたはモザイク レイヤを直接サポートします。その他のツールでのサポートについては、各ツールのドキュメントで確認してください。入力データ タイプがラスタ データセット、ラスタ レイヤ、モザイク レイヤ、またはモザイク データセットである場合は、モザイク データセットまたはモザイク レイヤを使用できます。つまり、ツールの入力としてモザイク データセットのパスを直接指定するか、ArcMap のコンテンツ ウィンドウでツールの入力にモザイク レイヤをドラッグするか、モザイク データセットをツールの入力にドラッグすることができます。
Python を使用してスクリプトを作成している場合は、入力にモザイク データセットの物理パスを指定することができます。または、[モザイク レイヤの作成(Make Mosaic Layer)] ツールを使用してメモリ内のモザイク レイヤを作成した後、入力にメモリ内のレイヤ名を設定することもできます。
イメージ サービスの使用
イメージ サービスをジオプロセシング ツールで使用する方法は 2 つありますが、どちらの場合も、ツールで使用するイメージ サービスはレイヤである必要があります。これは、イメージ サービスがさまざまな設定の影響を受けるためです。実際に試してみると、イメージ サービスをサーバ接続からツールの入力に直接ドラッグできないことがわかります。
先に説明したように、イメージ サービスを ArcMap に追加して、コンテンツ ウィンドウで作成したレイヤを使用できます。まずイメージ サービスをマップに追加し、続いてツールを開きます。これにより、レイヤが有効な入力タイプとして認識され、ツールの入力ドロップダウン リストで選択可能になります。通常のラスタ レイヤと同様に、統合された Python ウィンドウで選択することもできます。
イメージ サービスをジオプロセシング ツールで使用するもう 1 つの方法では、[Image Server レイヤの作成(Make Image Server Layer)] ツールを使用します。このツールは、ラスタ レイヤの入力タイプをサポートするジオプロセシング ツールの入力に使用できるテンポラリ ラスタ レイヤを、イメージ サービスから作成します。
[Image Server レイヤの作成(Make Image Server Layer)] ツールには、イメージ サービスの URL を入力として指定します。また、出力レイヤの範囲、バンド数、およびモザイク手法を定義する追加設定も指定できます。出力レイヤのサイズは、イメージ サービスのリクエスト サイズ プロパティでも制限されることに注意してください。
セル サイズの決定
解析に使用するセル サイズを決定するために、次の 2 つの事に注目する必要があります。モザイク データセット、あるいはイメージ サービスでセル サイズが表すもの、また分析する範囲をカバーするセル サイズのラスタが何かということです。
- ArcMap へモザイク データセットあるいはイメージ サービスを追加します。
- 属性テーブルを開き、LowPS フィールドの値を注目してください。
複数ある独自の LowPS 値はモザイク データセットまたはイメージ サービスが複数の解像度をもつラスタを含むことを表します。
- 使用したいLowPS セル サイズのラスタを選択して、ラスタの範囲を分析します。
モザイク データセットまたはイメージ サービス内で指定のラスタを使用する
モザイク データセットの中に含まれる 1 つ以上のラスタ データセットをツールへの入力として使用することもできます。これを ArcMap または ArcGlobe で実行するには、モザイク データセットをコンテンツ ウィンドウに追加し、ラスタ データセットを選択し、そのレイヤをツールに追加します。これは次の手順で行います。
-
選択を行います。これには、次のようないくつかの方法があります。
- 属性テーブルを開き、1 つ以上の行を選択します。
- [選択] メニューから [属性検索] または [空間検索] を使用します。
- [ツール] ツールバーの [フィーチャ選択] ツール を使用します。
- 選択セットからオーバービューを削除するには、コンテンツ ウィンドウでイメージ サービス レイヤまたはモザイク データセットの[フットプリント] レイヤを右クリックし、[選択] → [プライマリ ラスタのみを再選択] の順にクリックします。
- イメージ サービス レイヤ、またはモザイク データセットの[フットプリント] レイヤを右クリックし、[選択] → [選択ラスタにロック] の順にクリックします。
- ジオプロセシング ツールを開き、入力ドロップダウンでレイヤを選択します。
ArcCatalog では、[コンテンツ] タブで個々のラスタ データセットを選択し、それをジオプロセシング ツールの入力パラメータにドラッグ アンド ドロップすることができます。
また、モザイク データセット内のアイテムを、そのオブジェクト ID を次のように入力することで、直接指定することもできます。
<ジオデータベースのパス>\<ジオデータベース>\<モザイク データセット>\raster.objectid=<オブジェクト ID #>
たとえば、C:\temp\MyGeodatabase.gdb\MyMosaicDataset\raster.objectid=123