モザイク データセットへの Applanix DSS データの追加
このトピックは、ArcGIS for Desktop Standard および ArcGIS for Desktop Advanced にのみ該当します。
Applanix DSS はミディアムフォーマットのデジタル航空機リモート センシング システムで、統合化された慣性航法技術を使用して、ジオリファレンスされたカラーおよび赤外カラー(CIR)画像を作成します。
Applanix データは、Applanix ラスタ タイプを使用してモザイク データセットに追加できます。このラスタ タイプを使用する場合は、ラスタ タイプのプロパティを変更して、DEM、入力画像の格納場所、カメラのプロパティを定義する必要があります。カメラのプロパティ等の情報の再入力を省略できるように、このラスタ タイプへの変更を保存することをお勧めします。たとえば、下で説明するようにカメラのプロパティを変更したら、[一般] タブの [名前を付けて保存] をクリックして、変更したラスタ タイプを *.art ファイルとして保存します。次からは、[モザイク データセットへのラスタの追加(Add Rasters To Mosaic Dataset)] ツールのダイアログ ボックスでこのファイルを参照することができ、[ラスタ タイプ] ドロップダウン リストで再度ラスタ タイプを選択してプロパティを変更する必要がありません。
次の手順は、Applanix センサー データのモザイク データセットを作成するためのワークフローです。
- モザイク データセットを作成します。
- カタログ ウィンドウまたは ArcCatalog で、モザイク データセットを右クリックし、[ラスタの追加] をクリックします。
[モザイク データセットへのラスタの追加] ダイアログ ボックスが開きます。
- [ラスタ タイプ] ドロップダウン リストをクリックし、[Applanix] をクリックします。
- [ラスタ タイプ プロパティの編集] ボタン をクリックします。
[ラスタ タイプ プロパティ] ダイアログ ボックスが表示されます。ここで、DEM およびカメラに関する詳細な情報を入力します。
- [カメラの定義] タブをクリックして、カメラの情報を定義します。この情報は、多くの場合、データまたはカメラ ベンダによって提供されるファイルに記述されています。
- [カメラ モデル(Camera Model)] ドロップダウンをクリックし、選択を行います。
これによって、選択したカメラ モデルに対して予め定義されているパラメータが設定されます。次のカメラ モデルが利用可能です。
Applanix DSS カメラ モデルカメラ モデル
デフォルト
DSS 322
- ピクセル数(列数):5436
- 行数:4092
- ピクセル サイズ(ミクロン):9
DSS 439
- ピクセル数(列数):7216
- 行数:5412
- ピクセル サイズ(ミクロン):6.8
- [焦点距離] の値を入力して、正しい単位を選択します。
- [PPA X] テキスト ボックスに X 軸に沿ったオートコリメーションの主点座標を入力し、適切な単位を選択します。
- [PPA Y] テキスト ボックスに Y 軸に沿ったオートコリメーションの主点座標を入力し、適切な単位を選択します。
- [歪みのタイプ] ドロップダウン矢印をクリックし、[Konrady 係数] または [半径方向の歪み] を選択します。
- [半径方向の歪み] を選択すると、テーブルが表示され、カメラ キャリブレーション レポートで提供される値を入力できます。こちらの方法をお勧めします。このテーブルに値を入力したら、[歪みのタイプ] の方法を [Konrady 係数] に変更することで、計算された係数を表示できます。
- [半径方向の歪み] を選択した場合、[半径レンズ歪み係数メソッド] ドロップダウン矢印をクリックして、次のいずれかのオプションを選択する必要があります。
- Konrady(Esri)
- Konrady(USGS)
この設定は、カメラの後処理ソフトウェアによって、すでに適用済みの場合もあります。この歪み値が必要かどうかは、確認してください。必要でない場合は、デフォルト値の 0 のままにしておきます。
ArcGIS は Konrady 係数を使用して、標準フレーム カメラの放射歪み補正を計算します。これらの係数は、放射歪みを中心からの放射距離(r)の関数を、パワー シーケンスとしてモデル化します。これらの係数を適用する 2 つの方法として、USGS Konrady と Esri Konrady があります。この 2 つの方法は係数の使い方が異なるため、採用する方法と係数の取得方法が一致している必要があります。
Esri の式は次のとおりです
error = K1 + K2 * r2 + K3 * r4
USGS の式は次のとおりです
error = K1 + K2 * r3 + K3 * r5
ここで、K1、K2、K3 は Konrady 係数、r は中心からの半径方向の距離です。
- [一般] タブをクリックします。
- 外部標定ファイルを確認します。拡張子が「.txt」でない場合は、[フィルタ] テキスト ボックスに拡張子を入力する必要があります。たとえば、拡張子が「.dat」の場合は、「.txt」を「.dat」に変更します。
- 必要に応じて、[名前を付けて保存] ボタンをクリックしてラスタ タイプをファイルに保存することで、ラスタ タイプに対するこれらの変更を保存できます。保存したファイルは、ドロップダウン リストの Applanix ラスタ タイプの代わりに再利用できます。
- [プロパティ] タブをクリックして、画像のオルソ補正で使用する標高モデルを定義するプロパティを設定します。
DEM を使用する場合のヒント:
- DEM が画像のコレクションの範囲よりも小さい場合は、画像が DEM の範囲に合わせてトリミングされます。また、DEM はオルソ幾何補正に大きく影響するため、DEM の範囲は画像コレクションの範囲と同じかそれ以上であるべきです。
- 外部標定ファイルと DEM の鉛直空間参照系が同じであることを確認します。そうでない場合、[ジオイド] チェックボックスをオンにするか、Z オフセットと係数の値を入力することで、DEM を変更する必要があります。必要な場合は、標高データを含むモザイク データセットを作成し、算術演算関数を使用して必要な数式を適用することで、標高データにジオイド補正を適用することができます。詳細な手順については、「海抜高度から楕円体の高さへの変換」をご参照ください。
ラスタ データセットとして(ArcGIS でサポートされる任意のラスタ形式で)格納された DEM、ラスタ カタログに格納された DEM、モザイク データセット、イメージ サービス、または WCS サービスを使用できます。
複数の DEM ラスタ データセットがある場合は、これらをモザイク データセットに追加して、DEM として使用できる単一のデータセットを作成できます。
形式に NoData 値がある場合、これはサポートされます。ラスタ データセットのラスタ プロパティにある NoData 値を確認できます。値を NoData に変換する必要がある場合は、[ラスタのコピー(Copy Raster)] ツールを使用して、[NoData 値] パラメータの値を定義します。このツールは、新しいラスタ データセットを出力します。新しいラスタ データセットを作成したくない場合は、DEM をモザイク データセットに追加し、[モザイク データセットの NoData の定義(Define Mosaic Dataset NoData)] ツールを使用して NoData 値を定義できます。このメソッドを使用すると、NoData に解釈される複数の値を定義できます。
- [標高値を使用してオルソ補正を行う] ラジオ ボタンをクリックして、次のいずれかの方法を選択します。
DEM
ラスタ データセット、モザイク データセット、イメージ サービス、または WCS サービスから、オルソ補正に使用する DEM を選択します。
標高値(一定)
画像に含まれるエリアの一定の(平均)標高値を入力します。
平均標高
平均標高は Applanix データには適用されません。したがって、この方法は使用しないでください。
- 場合によっては、[標高調整] パラメータを設定する必要があります。
Z 値のオフセット
DEM の標高値に追加されるベース値。この値を使用して、海水位を基準としない標高値をオフセットします。
Z 値の倍率
標高値を変換する際に使用される縮尺係数。縮尺係数は 2 つの目的のために使用されます。1 つは、標高単位(メートルやフィートなど)をデータセットの水平座標単位(フィート、メートル、度)に変換すること、もう 1 つは、視覚的な効果のために高さ強調を追加することです。
- [補助入力] タブをクリックして、画像フォルダの場所を定義します。
- [参照] ボタンをクリックし、入力画像を含むフォルダに移動して、[OK] をクリックします。
- [OK] をクリックして [ラスタ タイプ プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。
- [入力] ドロップダウン矢印をクリックして、[ファイル] をクリックします。
- 参照ボタン を使用して外部標定ファイル(*.txt)まで移動し、[開く] をクリックします。
そのファイル タイプが [ソース] リストに追加されます。
外部標定ファイルの詳細については、「Applanix 外部標定ファイル」をご参照ください。
- 常に必要なわけではありませんが、一部の追加情報を [高度な設定] セクションで定義しなければならない場合もあります。たとえば、次のような場合があります。
- 入力データの空間参照がモザイク データセットと異なっている場合は、[入力データの座標系] パラメータを使用して定義する必要があります。
- データにピラミッドや統計情報が存在しない場合、[ラスタ ピラミッドを構築] および [統計情報の計算] をオンにして、これらを計算します。こちらを強くお勧めします。
- [OK] をクリックしてツールを実行し、モザイク データセットに Applanix DSS データを追加します。
作成されたフットプリントは、オルソ幾何補正されていない画像の 4 つの頂点を定義する単純なポリゴンです。オーバービューを構築する前に、オルソ幾何補正された画像の形状に一致するようにフットプリントを変更します。この手順を次に示します。
フットプリントの再計算
- [フットプリントの構築(Build Footprints)] ツールを開きます。
- モザイク データセットを参照するか、[モザイク データセット] ドロップダウン矢印をクリックしてモザイク データセット レイヤを選択します。
- [最小データ値] および [最大データ値] を、ビット深度の最小値と最大値(たとえば、8 ビット データの場合は 0 と 255)に変更します。
- フットプリントを縮小する場合は、[縮小距離] 値を指定します。
この値は、モザイク データセットの座標系の単位で指定します。各フットプリント ポリゴン全体のサイズが、この値で削減されます。
- [OK] をクリックして、このツールを実行します。
オーバービューの構築
- [オーバービューの構築] ツールを開きます。
- モザイク データセットを参照するか、[モザイク データセット] ドロップダウン矢印をクリックしてモザイク データセット レイヤを選択します。
- [OK] をクリックして、このツールを実行します。
オーバービューの生成には時間がかかります。生成が終わったら、モザイク データセットを使用する準備は完了です。