Windows Mobile デバイスでの GPS の使用
GPS(全地球測位システム)受信機は、衛星から受け取った信号に基づきその位置を計算します。Windows Mobile デバイスが GPS 受信機からの位置をどのように利用するかは、フィールド作業において重要なポイントです。次のセクションでは、Window Mobile 上での GPS の使用法について解説します。
GPS 受信機の初期構成
Windows Mobile デバイス上で動作する ArcGIS アプリケーションでは、最初にアプリケーションを起動してプロジェクトを開くときに一部の GPS 設定を完了する必要があります。
- Windows Mobile デバイスで ArcGIS アプリケーションを起動します(詳細については、「最初のアプリケーションの実行」をご参照ください)。
- モバイル プロジェクトを開くと、接続可能な GPS ポートとボーレートがアプリケーションによって提示されます。提示された値は [GPS の設定] ページに表示されます(次の画像を参照)。デフォルトの GPS 設定を適用するか、必要に応じてそれらの値を変更します。
ヒント:
ハードウェアの [COM ポート] および [ボーレート] 設定情報は通常、そのデバイスのマニュアルに記載されています。
- GPS 設定が正しいかどうかをテストするには、[GPS に接続] ボタンをタップし、右下隅の [状態] メニュー項目をタップして [GPS の状態] ページを表示します。
- [終了] をタップして [GPS の設定] ページを閉じ、プロジェクトに戻ります。
GPS 受信機への接続
- Windows Mobile デバイスで ArcGIS アプリケーションを起動します(詳細については、「最初のアプリケーションの実行」をご参照ください)。
- プロジェクトを開く前に GPS 受信機に接続する場合は、ステップ 3 ~ 5 を、プロジェクトを開いた後に GPS 受信機に接続する場合は、ステップ 6 ~ 8 をご参照ください。
- アプリケーションが起動されると、[開くプロジェクトを選択してください] ページが表示されます。プロジェクトを開かないで GPS 受信機に接続するには、右上隅の [GPS オフ] をタップします。
[GPS の設定] ページが表示されます。
- [GPS に接続] ボタンをタップします。
これで GPS 受信機に接続しました。
- 左下隅の [終了] ボタンをタップして [開くプロジェクトを選択してください] ページに戻ります。
- 別の方法として、プロジェクトを開くときに GPS に接続できます。これを行うには、ArcGIS アプリケーションを起動し、[開くプロジェクトを選択してください] ページでプロジェクトをタップします。
プロジェクトが開き、[タスク リスト] ページが表示されます。
- ページの右上隅の [GPS オフ] をタップします。
注意:
アプリケーションの全ページで、画面上部に [GPS オフ]が表示され、フィールド作業中のどの時点でも GPS 受信機に接続できます。
- [GPS の設定] ページが表示されます。上記のステップ 4 ~ 5 に従って GPS に接続します。
GPS COM ポートの自動検索
接続先の GPS COM ポートがわからない場合は、COM ポートの自動検索機能を使用してそのポートを探します。
- 前のセクションのステップ 6 ~ 7 に従って、[GPS の設定] ページを開きます。
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[GPS 接続設定] をタップします。
[GPS 接続設定] ページが表示されます。
- [COM ポート] をタップします。次のページで、[シリアル ポートの自動検出] をタップし、[GPS 接続設定] ページに戻ります。
- [OK] をタップして [GPS の設定] ページに戻り、[GPS に接続] をタップします。
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少し経つと、フィールド アプリケーションにより、COM ポートがデバイスの GPS COM ポート番号として設定されます。

シリアル ポートを [自動] に設定することにより、アプリケーションは NMEA(National Marine and Electronics Association)規格に基づいてボーレート 4800 および 38400 ですべての COM ポートを検索します。デバイスがこの規格に準拠していない場合は、デバイスのマニュアルに従って、[シリアル ポート] 設定で [COM ポート] を指定します。
マップ上での GPS の表示
[マップの表示] は GPS 対応の操作が可能な場所です。GPS 受信機が World Geodetic System 1984(WGS84)地理座標系での GPS 位置を取得すると、フィールド アプリケーションは、マップの座標系に基づいて位置を変換し、変換した位置を、赤の矢印がある緑のドットとしてマップ上に表示します。 赤の矢印は、進行方向を示しています(次の画像を参照)。
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GPS が取得できない場合は、代わりに感嘆符付きの赤い円が表示されます。
現在の位置をマップに表示し続けておくには、[メニュー] → [GPS] → [GPS 位置を表示する] の順にタップします。
アプリケーションでは、上の画像に示すように、GPS 情報を GPS 情報バーに表示することができます。これを行うには、[メニュー] → [GPS] → [GPS 情報の表示] の順にタップします。このバーには、設定した座標表示形式に応じて位置が表示されます。また、このバーの > または < 矢印ボタンをタップして、追加の GPS 情報を表示することもできます。

GPS 情報バーは、[マップの表示] タスクと [フィーチャの収集] タスクにおけるマップでのみ利用できます。
GPS の状態
アプリケーションの全ページには、右上隅に GPS 補正タイプが表示されます。WAAS(Wide Area Augmentation System)を利用している場合は、テキスト [DGPS] が表示され、それ以外の場合は、[GPS] または [測位なし] が表示されます。テキストをタップすると、[GPS の状態] ページに、次に示すような、現在の GPS ソリューションに関する詳細が表示されます。
- 現在の位置 - 緯度と経度、高度、UTC(協定世界時)の日付/時間が含まれます。また、座標系の表示設定で設定された追加の位置表示も含まれることがあります(次の「座標表示形式の設定」セクションを参照)。
- ソリューション情報 - GPS 補正タイプ、位置精度低下率/水平精度低下率(PDOP/HDOP)の値、および GPS、GLONASS(全世界的航法衛星システム)、SBAS(衛星型衛星航法補強システム)の詳細な衛星情報を表示します。スラッシュの前の数字は位置ソリューションで使用される衛星の数であり、スラッシュの後の数字は利用できる衛星の数です。デバイスが NMEA 規格に準拠していないときは、それらのデバイスの位置ソリューションで使用される SBAS 衛星の数が正しくない場合があります。
- ナビゲーション - ナビゲーションの方位と速度を扱います。
- 接続情報(オプション)- 使用される COM ポートとボーレートを表示します。この情報は、GPS ファイルが使用されている場合は提供されません(詳細については、「モバイル デバイスでの GPS 位置情報の記録方法」をご参照ください)。
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座標表示形式の設定
座標表示形式を変更するには、最初にプロジェクトを開き、[タスク リスト] ページで [メニュー] → [設定] → [座標] の順にタップします。WGS84 DD、UTM (Universal Transverse Mercator)、USNG(United States National Grid)など、10 個の座標形式から選択できます。
座標表示設定を変更すると、それらの設定が次のコンポーネントで有効になります。
- GPS 情報バー
- ポイント フィーチャの [属性の表示] ページ
- [GPS の状態] ページでの追加の位置表示
- ウェイポイント ナビゲーション用にスケッチされた目的地を表示する情報バー(詳細については次のセクションを参照)
- ウェイポイント ナビゲーション ページ
ウェイポイント ナビゲーション
ウェイポイント ナビゲーションは、空の開いた場所で距離と進行方向を表示することでユーザを目的地まで案内します。マップ上にポイントをスケッチするか、既知の位置を使用するか、前回の目的地を使用するか、ポイント フィーチャの個別属性を表示して目的地を指定できます。

ウェイポイント ナビゲーションは Window Mobile デバイスでのみ使用できます。
- マップ上でのスケッチ - [マップの表示] タスクからマップを開きます。[メニュー] → [ナビゲート] → [マップの使用] の順にタップして、マップ上の位置をタップします。次に示すとおり、指定した目的地が赤の四角形で示されます。左下の [確定] をクリックしてナビゲーションを開始します。
- 既知の位置 - [マップの表示] タスクからマップを開きます。[メニュー] → [ナビゲート] → [既知の位置を使用] の順にタップし、WGS84 DD 形式の緯度/経度またはマップの座標形式の X/Y を入力します。
- 前回の目的地 - 以前にウェイポイント ナビゲーションを実行した場合は、[マップの表示] タスクからマップを開き、[メニュー] → [ナビゲート] → [前回の目的地] の順にタップすることで同じ目的地に移動できます。
- ポイント フィーチャの個別属性表示 - [マップの表示]、[検索]、または [作業リストの表示] タスクを使用して、最初にポイント フィーチャの個別属性表示、検索、または選択を実行できます。[個別属性表示]、[検索結果]、または [作業リスト] ページで、ポイント フィーチャをタップし、次に [ナビゲート] 機能を選択できます(次の画像を参照)。
ナビゲーションを開始すると、次の画像のような [ナビゲーション] ページが表示されます。ページ上部の座標は、目的地(座標表示設定で定義した形式)を示しています。コンパスの中心に立っていると仮定すると、赤の点は目的地を示し、コンパス上の北は真北を示しています。ページ下部には次の情報が表示されます。
- ユーザの現在位置と目的地の間の距離
- 現在の速度から推定される、目的地までの所要時間
- 方位角
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