海抜高度から楕円体の高さへの変換
このトピックは、ArcGIS for Desktop Standard および ArcGIS for Desktop Advanced にのみ該当します。
衛星や航空機に搭載されたセンサなどで画像を撮影した場合、位置情報(特に高さ)は一般に地球の楕円体モデル上で測定されますが、利用可能な DEM の多くは海抜モデルを使用してモデル化されています。これらの値は同じベース位置から測定されていないため、基本的には、結果として同じ場所において 2 つの異なる高度の値が存在することになります。ジオイド補正を使用して、これらの値を相互に変換することができます。
ArcGIS では、ラスタ データセットにオルソ幾何補正を適用するときに、[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスのチェックボックスをオンにすることにより、ジオイド補正を適用できます。このチェックボックスは、特定のラスタ タイプを使用した場合、モザイク データセットに画像を追加するときにも使用できます。これにより、ジオイド(EGM96)補正が Z 値に適用されます。ただし、ユーザが独自のジオイド サーフェス モデルを挿入したい場合や、チェックボックスを使用できない場合もあります。
算術関数を(モザイク データセット内で)使用することにより、オルソ幾何補正を画像に適用する前に、ジオイドを使用して海抜高度を変換することができます。
手順としては、次の式を適用します。
h = H + N
各要素は次のとおりです。
h = 楕円体の高さ
H = 海抜(ジオイド)高度
N = ジオイド高
以下のステップは、高度データが含まれるモザイク データセットを作成する方法を説明しています。上記の式に従って、モザイク データセット全体に算術関数を適用し、楕円体の高さを持つ DEM を作成します。
モザイク データセットの設定
- モザイク データセットを作成します。
- モザイク データセットに高度のラスタ データを追加します。
[モザイク データセットにラスタを追加(Add Rasters To Mosaic Dataset)] ツールを使用します。
必ず概観図を構築してください。
算術関数の追加
- カタログ ウィンドウ を開き、モザイク データセットに移動します。
- モザイク データセットを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
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[関数] タブをクリックします。
モザイク関数だけが登録された関数チェーンが表示されます。このデータモザイク データセットであり、すべてのラスタはモザイク化されているため、モザイク関数はデフォルトで表示されています。アルゴリズムは、モザイク後のデータに適用されます。
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[モザイク関数] を右クリックして、[挿入] → [算術関数] の順にクリックします。
関数を挿入する場合、クリックした関数の上に挿入されます。
これにより、[ラスタ関数プロパティ] ダイアログ ボックスが開き、この関数にオプションを設定できるようになります。
- [入力ラスタ 1] は、モザイク データセットの現在の内容となり、変更はできません。
これが上の式の H になります。
- [入力ラスタ 2] の参照ボタンをクリックして、ArcGIS のインストール場所の \pedata\geoid フォルダに移動します。
- WGS84.img を選択して [追加] をクリックします。
これが上の式の N になります。
- [演算] のドロップダウン矢印をクリックし、[加算] をクリックします。
- [OK] をクリックして [ラスタ関数プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。
- [OK] をクリックして [モザイク データセット プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。
上記のステップにより、海抜高度を楕円体の高さに変換できます。楕円体の高さを海抜高度に変換する必要がある場合は、算術関数を使用して H = h - N の式を適用します。
完了後は、このモザイク データセットを DEM 入力として使用し、別のモザイク データセット内の画像のオルソ幾何補正を実行できます。