PostgreSQL のジオデータベースをアップグレードする準備
ジオデータベースを含め、エンタープライズ システムをアップグレードする場合は、まず計画を立てます。開発サーバまたはテスト サーバで新しいバージョンをテストして、すべてのクライアント アプリケーションで動作することを確認します。
新しいシステムが想定したとおりに機能することが確認できたら、アップグレードのスケジュールを設定します。アップグレードに必要な人員を確保し、各担当者が割り当てられたタスクを実行するために必要な権限を持っていることを確認します。
次の点に注意してください。
- ソフトウェアのベータ バージョンからのアップグレードはサポートされていません。
- ジオデータベースをいったんアップグレードすると、以前のバージョンの ArcGIS では接続できなくなる場合があります。これは、旧バージョンの ArcGIS では、新しいバージョンのジオデータベースを読み込めないためです。ArcGIS 10 より前のバージョンでは、10.2.x ジオデータベースに接続できません。ArcGIS 10 クライアントは、10.2.x ジオデータベースに接続できます。
- ジオデータベースを以前のバージョンにダウングレードするための正式のメカニズムはありません。ジオデータベースを新しいバージョンにアップグレードした後で旧バージョンに戻す必要が生じた場合は、旧版のデータベースをバックアップから復元する必要があります。
PostgreSQL でジオデータベースをアップグレードする前には、次の手順を実行する必要もあります。
- ArcGIS Resource Center で、システムが最小要件を満たしていることを確認します。
PostgreSQL データベースをアップグレードする必要がある場合は、DBMS の新機能とアップグレード方法の詳細について、PostgreSQL のドキュメントをご参照ください。また、アップグレードされたデータベースの名前と所有者をこれまでと同じにし、データベースの search_path 変数を「$user」、public、および sde に設定する必要があります。
- データベースのバックアップを作成します。
- ArcSDE サービスを使用して接続していて、SDEHOME の etc ディレクトリにあるファイルをカスタマイズした場合は、そのファイルをコピーします。
-
ArcGIS の外部で、ArcSDE ジオデータベース システム テーブルへ追加したカスタム機能(トリガや追加のインデックスなど)をすべて削除します。
アップグレード手順では、ユーザがシステム テーブルに追加したカスタマイズは考慮されません。このようなカスタマイズによってシステム テーブルのスキーマ変更が妨げられた場合、アップグレードが失敗します。
-
ジオデータベース管理者(sde)にデータベースのスーパーユーザ権限を付与します。
これは、ジオデータベースをアップグレードするために必要です。
- アップグレードを実行するためのジオデータベースに直接接続できるコンピュータ上に、最新リリースの ArcGIS クライアント(ArcGIS for Desktop Standard または Advanced、ArcGIS Engine と Geodatabase Update エクステンション、または ArcGIS for Server Enterprise Standard または Advanced)をインストールします。
- ジオデータベースをアップグレードするには、ArcGIS から PostgreSQL に直接接続する必要があります。そのため、PostgreSQL へのダイレクト コネクションが ArcGIS クライアントでまだ設定されていない場合は、Esri Customer Care ポータルから PostgreSQL クライアント ライブラリ(ArcGIS クライアントが Windows 上にある場合)または RPM(ArcGIS クライアントが Linux 上にある場合)をダウンロードして、直前のステップでインストールした ArcGIS クライアントの bin ディレクトリに配置します。
ArcGIS for Desktop や ArcGIS Engine などの 32 ビット ArcGIS クライアントから接続している場合は、32 ビット PostgreSQL クライアントを使用する必要があります。ArcGIS for Server などの 64 ビット ArcGIS クライアントから接続している場合は、64 ビット PostgreSQL クライアントを使用する必要があります。
- アップグレード対象のジオデータベースに接続しているユーザがいないことを確認します。
現在ジオデータベースに接続しているユーザのリストを表示するには、ArcGIS for Desktop で [ジオデータベース管理] ダイアログ ボックスの [接続ユーザ] タブを開きます。
- ArcSDE サービスを使用している場合、次の手順を実行します。
- sdemon –o シャットダウン コマンドを使用して、ArcSDE サービスを停止します。または、Windows サーバ上でサービスが実行中の場合は、sdemon コマンドを使用する代わりに、Windows サービス インタフェースからサービスを停止できます。
- 新しい完全なリリース版の ArcSDE アプリケーション サーバにアップグレードする場合(9.3.1 または 10 から 10.1 など)、ArcSDE の古いリリースをアンインストールします。Windows で、プロンプトが表示されたら古いサービスを削除します。注意:
サービス パックまたはパッチを適用している場合は、このステップは実行しないでください。
- Esri Customer Care ポータルから ArcSDE アプリケーション サーバのインストールを取得します。
- st_geometry ファイル(および、ジオデータベース内で ST_Raster 格納タイプを使用している場合は libst_raster_pg)を、ArcGIS クライアントのインストール場所にある DatabaseSupport ディレクトリからコピーし、PostgreSQL サーバ上にある %PostgreSQL%\lib ディレクトリ(Windows)または PostgreSQL の lib ディレクトリ(Linux)に配置します。Linux 上で PostgreSQL のインストールにおける lib ディレクトリの正確な場所を調べるには、postgres ユーザとして pg_config ユーティリティを実行します。lib の場所は PGPKGLIBDIR パラメータで示されます。
必ず、PostgreSQL バージョンおよびサーバのオペレーティング システムに対応するライブラリをダウンロードしてください。ArcGIS 10.1 Service Pack 1 以降、Windows および Linux の両オペレーティング システムで、PostgreSQL 9.0 および PostgresSQL 9.1 に st_geometry ライブラリが提供されています。PostreSQL 9.1 ライブラリは、9.1 フォルダにあります。
- PostgreSQL サーバで Linux が動作している場合は、ルート ユーザとしてサーバにログインし、FTP を使用して st_geometry.so ファイル(および、ST_Raster を使用している場合は libst_raster_pg.so ファイル)を PostgreSQL の lib ディレクトリに転送します。
- PostgreSQL サーバで Windows が動作している場合は、st_geometry.dll ファイル(および、ST_Raster を使用している場合は libst_raster_pg.dll ファイル)を PostgreSQL インストール ディレクトリの lib フォルダにコピーします。
これで、ジオデータベースをアップグレードする準備ができました。ArcGIS for Desktop の [ジオデータベースのアップグレード(Upgrade Geodatabase)] ツール、または ArcGIS クライアント コンピュータで実行する Python スクリプトを使用できます。
ArcSDE サービスを使用して接続する場合、ジオデータベースをアップグレードしてから ArcSDE アプリケーション サーバをインストールします。