ArcGIS 10.1 の新機能 - データベース

ArcGIS 10.1 では、[データベース コネクション] ダイアログ ボックスからデータベースに直接接続して操作できます。アクセスしているデータベースのデータは、接続された状態でリスト表示されます。

データベースに接続すると、データベース ユーザの作成、既存テーブルへのデータの読み込み、テーブルの追加や削除、空間データの描画、およびサービスの公開を行うことができます。データの編集は、編集可能なフィーチャ サービスを ArcGIS Spatial Data Server に公開してから、ArcGIS for Desktop または Web アプリケーションのサービスを介して行います。詳細については、「データベースの操作に関するクイック ツアー」をご参照ください。

ArcGIS からのデータベース接続

接続の作成

ArcGIS 10.1 では、接続に必要な入力を減らすように [データベース コネクション] ダイアログ ボックスが簡略化されました。また、データベースにエンタープライズ ジオデータベースが含まれない場合でも、サポートされている任意のデータベースに接続できるように、機能が拡張されました。サポートされるデータベース プラットフォームは以下のとおりです。

  • IBM DB2
  • Informix
  • Microsoft SQL Server
  • Windows Azure SQL Database
  • Netezza
  • Oracle
  • PostgreSQL

まず、ArcGIS からデータベースに接続するために、使用している DBMS(Database Management System)用のデータベース クライアントをインストールします。データベース クライアントは DBMS ベンダーから取得できます。また、Netezza を除くすべてのデータベースのデータベース クライアントは、Esri Customer Care ポータルでもダウンロードできます。

次に、ArcGIS for Desktop[データベース コネクション] ダイアログ ボックスを開き、接続するデータベースを選択してから接続情報を入力します。PostgreSQL データベースに接続する例を次に示します。

データベース接続ダイアログ ボックス

カタログ ツリー内の [Database Connections] ノード(正式には [空間データベース接続] ノード)から、このダイアログ ボックスにアクセスします。データベース接続の詳細については、「ArcGIS for Desktop でのデータベース接続」をご参照ください。

管理者は、必要な情報を含む接続ファイルを作成して、それを他のユーザと共有できます。詳細については、「接続ファイルの事前構成」をご参照ください。

さらに、新しい [データベース接続の作成(Create Database Connection)] ジオプロセシング ツールによって、データベース接続を作成できます。このツールは、[データベース コネクション] ダイアログ ボックスと同じ入力を受け取ります。このツールは、[データベース管理] ツールボックスの [ワークスペース] ツールセットにあります。

[データベース コネクション] ダイアログ ボックスまたは [データベース接続の作成(Create Database Connection)] ツールからデータベースに接続できるようになったため、[OLE DB 接続を追加] ダイアログ ボックスはカタログ ツリーから削除されました。ただし、このツールは必要に応じて ArcCatalog に追加できます。詳細については、「OLE DB 接続の追加」をご参照ください。

接続時のパスワード更新

ArcGIS 10.1 では、データベース パスワードに有効期限が設定されている場合、データベースから返される警告やエラーがインターセプトされて、新しいパスワードを作成できるダイアログ ボックスが表示されます。

Oracle または PostgreSQL データベースでの ST_Geometry 格納タイプのインストール

新たに追加された [空間タイプの作成(Create Spatial Type)] ジオプロセシング ツールを使用すると、ST_Geometry 格納タイプおよびそのすべてのサブタイプと関数を、Oracle または PostgreSQL データベースにインストールできます。これによって、ジオデータベースを作成しなくても、ST_Geometry タイプを使用してベクタ データを格納し、アクセスすることができます。

データを所有するデータベース ユーザの作成

2 つのジオプロセシング ツール、[データベース ユーザの作成(Create Database User)][ロールの作成(Create Role)] が新たに追加されました。これらは、データベースやエンタープライズ ジオデータベースのユーザ管理に役立ちます。

[データベース ユーザの作成(Create Database User)] ジオプロセシング ツールでは、Oracle、PostgreSQL、または SQL Server のデータベースにユーザを追加できます。作成したユーザには、そのデータベースにオブジェクトを作成するために必要な権限が自動的に割り当てられます。すでに存在するデータベース ロールにユーザを追加する場合は、ユーザを作成するときに追加できます。

PostgreSQL では、ログイン ロールがデータベース クラスタに作成され、対応するスキーマは指定したデータベースに作成されます。

SQL Server では、ログインが SQL Server インスタンスに追加され、ユーザは指定したデータベースに作成されます。また、対応するスキーマがデータベースに作成され、指定したデータベースがユーザのデフォルトのデータベースとして設定されます。SQL Server インスタンスにすでにオペレーティング システムまたはネットワーク ログインが存在する場合は、[データベース ユーザの作成(Create Database User)] ツールで、そのログインを指定したデータベースに追加し、そのためのスキーマを作成できます。

Oracle の場合、ユーザは Oracle データベースに作成されます。すでにその名前のオペレーティング システムまたはネットワーク ログインが存在する場合は、[データベース ユーザの作成(Create Database User)] ツールで、指定した Oracle データベースにログインがマッピングされるデータベース ユーザを作成できます。

[ロールの作成(Create Role)] ジオプロセシング ツールでは、Oracle、PostgreSQL、または SQL Server にデータベース ロールを作成できます。このツールでは、ユーザやユーザ リストの追加や、ユーザやユーザ リストのデータベース ロールからの削除もできます。

データベースへのデータの読み込み

ArcGIS for Desktop で、データベースまたはジオデータベースからデータセットをコピーして、それらをデータベースに貼り付けたり、データベース内にテーブルとフィーチャクラスを新規作成したり、各データベース テーブルにビューを作成することができます。また、ArcCatalog または ArcMap のカタログ ウィンドウのシンプル データ ローダーを使用するか、[フィーチャのコピー(Copy Features)][行のコピー(Copy Rows)][アペンド(Append)] などのジオプロセシング ツールを使用して、各データベース テーブルにレコードを読み込むことができます。詳細については、「データベースの操作に関するクイック ツアー」をご参照ください。

データベース データの操作

クエリ レイヤを作成しなくても、ご使用のデータベースから空間データを描画することができます。ArcMap のカタログ ウィンドウ内のデータベース接続から、コンテンツ ウィンドウに、空間テーブルをドラッグできます。必要に応じて、データに対して一意識別子フィールドと空間参照を指定することで、データをマップに表示できます。

データベースのデータを含むマップを作成後、そのデータを ArcGIS for Server で公開できます。データを編集する場合は、編集が可能なフィーチャ サービスを ArcGIS Spatial Data Server に公開できます。

データベース内で所有するテーブルに対して、以下の操作を実行することもできます。

ArcGIS for Desktop からのデータベース ビューの作成

データベース内のテーブルまたはフィーチャクラスにビューを作成するには、カタログ ツリー内の [Database Connections] ノードの下でデータベース接続を右クリックして、[新規作成] をポイントしてから、[ビュー] をクリックします。開いたダイアログ ボックスで、ビューの名前を入力し、ビューを定義する SQL クエリを作成します。詳細については、「ArcGIS for Desktop でのデータベース ビューの作成」をご参照ください。

また、データベース ビューの作成に使用できる [データベース ビューの作成(Create Database View)] ジオプロセシング ツールも追加されています。データベースやエンタープライズ ジオデータベースにビューを定義する場合は、このツールまたは Python スクリプトを使用できます。

ジオプロセシング ツールまたは Python スクリプトによるクエリ レイヤの作成

これまでと同様に、クエリ レイヤを作成し、ArcMap からのデータベースのデータへのアクセスに使用できます。ArcGIS 10.1 では、新しく追加されたジオプロセシング ツール、[クエリ レイヤの作成(Make Query Layer)] ツールを使用して、クエリ レイヤを作成することができます。

このツールは、[データ管理] ツールボックスの [レイヤとテーブル ビュー] ツールセットに含まれています。

データベース テーブルのインデックスの再構築およびデータベース統計情報の更新

テーブルの所有者は、[インデックスの再構築(Rebuild Indexes)] ジオプロセシング ツールまたは Python スクリプトを使用して、テーブルの既存のインデックスを再構築できます。このツールでは、同時に複数のテーブルのインデックスを再構築することもできます。

所有するデータベース テーブルのデータベース統計情報を更新する場合は、[データセットの分析(Analyze Datasets)] ジオプロセシング ツールまたは Python スクリプトを実行します。

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9/14/2013