LAS データセットのスケーラビリティ
LAS データセットはスケーラブルであるため、大きな点群データセットをすばやく効率的に操作できます。一般的に、非常に大きなポイント セットまたは TIN ベースのサーフェスのレンダリングは、ハードウェアの制限により極めて困難です。LAS データセットは、可視化したいエリアを最適なポイント解像度でレンダリングするのに役立ちます。最適な結果を得るために、LAS データセットで使用される LAS ファイルがすべて適切なサイズであることを確認します。推奨されるファイル サイズは 25 ~ 50 MB であり、100 MB を超えてはなりません。LAS データセットで使用する LAS ファイルに含めるポイントは、1 ファイルあたり 300 万を超えてはいけません。
小規模なアプリケーションでは、データを間引きしたサブセットがあれば十分なので、リアルタイムのサーフェスの構築、表示、および解析がより高速になります。LAS データセット ツールを使用すると、通常は表示のときに問題をもたらす LIDAR などの大量のポイントを使用できるようになります。スケーラビリティは、ランダムなポイントの間引きによって実現されます。元のデータが移動したり平均化されることはありません。
LAS データセットは、航空 LIDAR データ ソースを元にした LAS ファイルで使用されるように設計されています。ただし、地上 LIDAR データから作成された LAS ファイルも ArcGIS で点群として表示および解析できます。
ArcMap でのスケーラビリティ
ArcMap では、現在の範囲と、その範囲内の推定ポイント数に基づいてポイントが間引きされます。ArcMap では表示全体にわたってズームまたは移動するたびに、データが再読み込みされます。画面の表示範囲を移動するたびに、移動後の範囲の表示に必要なデータだけがアクセスされ、画面に表示されます。潜在的なポイントの表示対象範囲および数に基づいて、LAS ポイントがランダムに間引き処理されます。ArcMap での間引きは、LAS データセットのサーフェスとポイントのどちらを表示する場合でも同じです。LAS データセットのサーフェス ビューは、ソース LIDAR ポイントに基づいて三角形網化されます。
LAS データセットが多くの LAS ファイルから作成される場合、LAS データセット レイヤが ArcMap に読み込まれたときに、各 LAS ファイルの範囲を表す最小範囲ボックスが最初に表示されます。参照される LAS ファイルの LIDAR ポイントが総ポイント バジェットよりも少ない場合は、すべての LIDAR ポイントが表示されます。最初の表示は、間引きされたポイント セットになります。拡大すると、より多くのポイントが表示に追加されます。
LAS データセット レイヤはコンテンツ ウィンドウに、表示ウィンドウのデータがどれだけ間引きされているかを示した割合(パーセント)を表示します。LAS データセットの全域を移動すると、それに伴って [データのパーセンテージ] が変わります。[データのパーセンテージ] は、現在の LAS データセットを表示するために使用されているポイントが、ポイントの総数に対してどれくらいの割合を占めるかを示した値です。このポイントのパーセンテージは、表示範囲のポイントの総数に基づくものであり、現在の LAS データセットに適用されているフィルタに基づくものではありません。下の図は、100% のポイントで標高レンダラを使用して表示された LAS データセットの凡例を示しています。これは、LIDAR データが最大解像度で表示されていることを示します。
ArcMap での最大解像度の設定
一度に表示できる数よりも多くのポイントを含む LAS データセットを使用している場合は、ランダムにサンプリングされたポイントのサブセットを表示するか、領域を拡大して最大解像度のデータを表示することができます。
最大解像度のポイント セットとは、すべてのポイントが表示されていて、間引きされたポイントがないことを意味します。ほとんどの場合、LIDAR データは多くの用途に対応するためにオーバーサンプリングされており、最大解像度に比べて間引きされたポイント セットでも、表示および解析のためには許容されます。ただし、データ検証および調査などの用途では、最大解像度のデータが必要となる場合もあります。ArcMap で最大解像度の点群を取得するには、LAS データセット レイヤが 100% のデータのパーセンテージを示すまでデータを拡大するか、LAS データセット レイヤのショートカット メニューから [最大解像度にズーム] を選択するか、[LAS データセットのレイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [表示] タブで [最大解像度の縮尺] オプションを使用します。
デフォルトのレンダリングの設定を変更する
いくつかのオプションを使用すると、LAS データセットのデフォルトのポイント レンダリングを操作できます。
高度なアクセス方法とオプションは、[LAS データセットのレイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [表示] タブにあります。
デフォルトのレンダリングの設定は非常に控えめであり、より高性能なコンピュータの場合には変更することができます。ほとんどのコンピュータでは、デフォルトの解像度でサーフェスを処理できるはずですが、一部の基本的な性能のコンピュータでは、この設定は厳しすぎる場合があります。レンダリングのパフォーマンスはコンピュータによって大きく変わる可能性があり、コンピュータのパフォーマンスに応じてデフォルトの設定を変更することができます。
LAS データセットのレイヤ プロパティ
[LAS データセットのレイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [表示] タブに、スケーラビリティを制御するレンダリング パラメータとして、[ポイント制限] プロパティ、[点密度] スライダ バー、および [最大解像度の縮尺] ファクタがあります。
デフォルトの点密度は 800,000 と、かなり控えめに設定されています。これは、ポイント数が予定されている制限を超える場合に、表示されるポイント数が 800,000 未満になることを意味します。制限を引き上げると、必要に応じてより多くのポイントを使用できるようになります。この上限が(ハードウェア、オペレーティング システムおよびその他の同様な要因により)コンピュータ間で著しく異なる場合、コンピュータの動作状況に基づいてデフォルト設定を無効にしてもかまいません。
ポイント数の上限を処理能力の高いコンピュータ用に増やす場合、または処理能力の低いコンピュータ用に減らす場合は、次の手順に従います。
- コンテンツ ウィンドウで LAS データセット レイヤを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
- [表示] タブをクリックします。
- 必要に応じて [ポイント制限] プロパティを変更します。
- [OK] をクリックします。
[ポイント制限] に設定可能な最大の数は 5,000,000 です。
[点密度] スライダ バーを使用して、ArcMap のデフォルトの間引きアルゴリズムで間引きされるポイント数を増減することができます。スライダ バーの位置を左右に動かすと、[画面上のポイント数/センチメートル] の値が変わります。
[縮尺を使用して最大解像度を制御] がオンのときには、[最大解像度の縮尺] ウィンドウで縮尺係数を設定できます。これは、LAS データセットが間引きなしで、100 パーセントの LAS ポイントを使用してレンダリングされるタイミングを制御するために使用される縮尺係数です。この縮尺閾値は、マップ縮尺が指定の縮尺に等しいかそれを超えた場合に使用されます。ただし、ポイント限界値は引き続き適用されるため、現在の範囲の概算ポイント数が限界値を越えると、LAS データセット自体が間引きされるようになり、すべてのデータを使用した描画は行われません。この状況が発生した場合、コンテンツ ウィンドウのレイヤに対して一覧表示されるデータのパーセンテージの横に、アスタリスクが表示されます。マップ表示縮尺が最大解像度の縮尺を下回ると、[点密度] スライド バーの設定に基づいて間引きが発生します。
ArcScene でのスケーラビリティ
ArcScene はメモリベースのアプリケーションであるため、サーフェスの複雑さ、または表示可能な LIDAR ポイントの数に上限があります。ArcScene は、レイヤが最初に読み込まれたとき、またはレイヤ プロパティが変更された際に再読み込みされたときに、適用可能なポイントだけを読み込みます。これは、LAS データセットのポイントの総数が予定されている制限を超えた場合に、ArcScene のサーフェス ビューは、すべてのポイントを含まない静的な詳細レベルにあることを意味します。
多くの場合、LAS データセットは ArcScene の処理能力を超える数のポイントを含んでいます。したがって、ArcScene は間引きされたポイント セットをシーンに読み込むことになります。LAS データセットの参照されるすべての LAS ファイルからポイントを描画します。このとき、ポイントは各ファイルから均等にランダムに選択されます。したがって、LAS データセットが十分に大きい場合、最初に各 LAS ファイルから同数のポイントが表示されます。
LAS データセットがポイントとして表示される場合のデフォルトのポイント制限は 12,800,000、サーフェスとして表示される場合は 800,000 になります。どちらの値も非常に控えめであり、より高性能なコンピュータの場合には増やすことができます。
ほとんどのコンピュータでは、デフォルトの解像度でサーフェスまたは点群を処理できるはずですが、一部のコンピュータでは、この設定は厳しすぎる場合があります。注目すべき点は、各 LAS データセット レイヤに対して個別にサーフェスのポイント解像度が定義されることが挙げられます。したがって多数の LAS データセットを表示する場合は必ず余裕を持たせるようにしてください。つまり、5 つの LAS データセット レイヤをサーフェスとして表示し、それぞれの解像度が 80 万ポイントの場合、現在のビュー内のサーフェスに使用されるポイント数は合計 400 万です。
この上限が(ハードウェア、オペレーティング システムおよびその他の同様な要因により)コンピュータ間で著しく異なる場合、コンピュータの動作状況に基づいてデフォルト設定を無効にしてもかまいません。
高性能のコンピュータでポイント制限を引き上げる場合、または低性能のコンピュータで引き下げる場合には、次の手順に従います。
- コンテンツ ウィンドウで LAS データセット レイヤを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
- [表示] タブをクリックします。
- 必要に応じて [ポイント制限] プロパティを変更します。
- [OK] をクリックします。
ArcScene での最大解像度の設定
一度にサーフェスに含めることができる数よりも多くのポイントを含む LAS データセットを使用している場合は、ランダムにサンプリングされたポイントのサブセットを表示するか、LIDAR サーフェスが最大解像度で表示される対象領域を定義することができます。
最大解像度のポイント セットとは、すべてのポイントが表示されていて、間引きされたポイントがないことを意味します。ほとんどの場合、LIDAR データは多くの用途に対応するためにオーバーサンプリングされており、最大解像度に比べて間引きされたポイント セットでも、表示および解析のためには許容されます。ただし、データ検証および調査などの用途では、最大解像度のデータが必要となる場合もあります。ArcScene で最大解像度を得るために、対象領域を設定することができます。ArcScene での対象領域の設定方法の詳細については、「対象領域を使用した ArcScene の LAS データセット」をご参照ください。