クライアントとジオデータベースの互換性
「ジオデータベースの種類」で説明されているジオデータベースは、次のような各 Esri クライアント ソフトウェアからアクセスできます。
- ArcGIS for Desktop
- ArcGIS Engine アプリケーション
- ArcGIS Runtime アプリケーション
- ArcGIS for Server アプリケーションとサービス
これらのクライアントはすべて、任意のタイプのジオデータベースをソース データとして使用できます。
互換性のあるバージョン
特定の ArcGIS のバージョンでジオデータベースに追加された新しい機能を利用するには、ジオデータベースをアップグレードする必要があります。ジオデータベースをアップグレードすると、以前のバージョンのクライアント アプリケーションではそのジオデータベースにアクセスできなくなることがあります。バージョンの異なる ArcGIS クライアントとジオデータベースの間の接続がどのように機能するかは、次のルールに従います。
- 現行バージョンの ArcGIS クライアントは、以前のバージョンのジオデータベースに接続し、それを使用することができます。たとえば、ArcGIS 10.1 クライアントは、バージョン 9.3 のジオデータベースに接続し、使用することができます。
現行バージョンに固有の機能は、以前のバージョンのジオデータベースに接続しているときには使用できないことに注意する必要があります。たとえば、ArcGIS 10.1 クライアントから ArcGIS 9.3 ジオデータベースに接続している場合は、ArcGIS 9.3 で利用可能な機能しか使用できません。
- ArcGIS 10 では、10.1 のジオデータベースを開いて編集できます。ただし、ArcGIS 10 クライアントは 10.1 の機能にはアクセスできず、10.1 の機能を使用するデータ(ネットワーク データセットやモザイク データセットなど)を編集することはできません。
次の表に、このトピックの最初にリストしたクライアント アプリケーションの各バージョンで、どのバージョンのジオデータベースを利用できるかを示します。
クライアントのバージョン |
パーソナル ジオデータベースのバージョン |
ファイル ジオデータベースのバージョン |
ArcSDE ジオデータベース(ダイレクト コネクションを使用) |
ArcSDE ジオデータベース(ArcSDE サービス コネクションを使用) |
---|---|---|---|---|
9.2 |
9, 9.1, 9.2 |
9.2 |
9.2 |
9, 9.1, 9.2 |
9.2 SP5 または SP6 |
9, 9.1, 9.2, 9.3 |
9.2, 9.3 |
9.2(クライアントに ArcGIS 9.3.1 GDB Direct Connect for 9.2 Clients* がインストールされている場合はバージョン 9.3 への接続が可能) |
9, 9.1, 9.2, 9.3 |
9.3 |
9, 9.1, 9.2, 9.3 |
9.2, 9.3 |
9.3(クライアントに 9.3 以前のジオデータベース ダイレクト コネクション ファイル** がインストールされている場合はバージョン 9、9.1、9.2 への接続が可能) |
9, 9.1, 9.2, 9.3 |
10 |
9.1, 9.2, 9.3, 10, 10.1 |
9.2, 9.3, 10, 10.1 |
9.2, 9.3, 10, 10.1 |
9.2, 9.3, 10, 10.1 |
10.1 | 9.2, 9.3, 10, 10.1 | 9.2, 9.3, 10, 10.1 | 9.3, 10, 10.1 | 9.3, 10, 10.1 |
*ArcGIS 9.3.1 GDB Direct Connect for 9.2 Clients ドライバは、ArcGIS Resource Center Web サイトからダウンロード可能な個別のインストール オプションです。
**9.3 以前のダイレクト コネクション ドライバは、別個のインストール オプションとしてクライアント インストール メディアに用意されています。
異なるバージョン間で接続する場合(たとえば、ArcGIS for Desktop 10.1 から ArcSDE 9.3 ジオデータベースに接続する場合)、使用できる機能は最も低いバージョンによって制限されます。たとえば、ArcGIS Desktop 10.1 から ArcSDE 9.3 ジオデータベースに接続した場合、ジオデータベースがバージョン 9.3 のため、10.1 で利用可能な機能を使用することはできません。同様に、ArcGIS 10 クライアントで 10.1 ジオデータベースのデータを開いて検索、編集、および保存することはできますが、10.1 の機能を使用するデータセットを開くことはできません。たとえば、ArcGIS 10.1 を使用して圧縮されたファイル ジオデータベースにアクセスすることはできず、10 のクライアントから接続または編集する際、10.1 のフィーチャクラスの編集情報のフィールドは設定されません。さらに、10.1 のネットワーク データセットやモザイク データセットの機能を使用することもできません。
エンタープライズ ジオデータベースへのクライアント接続の詳細については、使用している DBMS に応じて以下のいずれかのトピックをご参照ください。
ジオデータベースのアップグレードが必要な状況
多くの場合、ジオデータベースのアップグレードは必須ではありませんが、次のいずれかに該当する場合にはアップグレードが必要です。
- 使用しているバージョンのクライアントでは、使用したいバージョンのジオデータベースに接続できない場合
- 新しいバージョンのジオデータベースで追加された機能を利用したい場合
ファイル ジオデータベースまたはパーソナル ジオデータベースのアップグレード方法については、「ファイル ジオデータベースおよびパーソナル ジオデータベースのアップグレード」をご参照ください。
SQL Server Express の ArcSDE ジオデータベースをアップグレードする方法については、「データベース サーバ上のジオデータベースのアップグレード」をご参照ください。
エンタープライズ ジオデータベースのアップグレードについては、使用している DBMS に応じて以下のトピックをご参照ください。
ジオデータベースをアップグレードしない場合
ジオデータベースのアップグレードを実行できない状況もあります。ArcGIS を現行バージョンで維持する必要があるクライアントがある場合、ジオデータベースのアップグレードは、クライアントを互換性のあるバージョンにアップグレードするまで待つ必要があります。
たとえば、ジオデータベースをバージョン 10.1 にアップグレードする際は、事前にすべてのクライアントを少なくとも ArcGIS 10 にアップグレードしてジオデータベースに接続できるようにしておく必要があります。アップグレードできないクライアントがある場合には、ジオデータベースをアップグレードする適切なタイミングを判断しなければなりません。