10.1 のリリースにあたり、ArcGIS の魅力的な新しいビジョンをご紹介します。この新しい ArcGIS をお届けできること、またそれを最大限に活用するために役立つリソース、情報、コミュニティをご紹介できることを非常に嬉しく思います。ArcGIS は、世界中の人々による信頼できる地理情報の収集、整理、伝達、配布を可能にします。ここでは、テクノロジの変化と進歩に伴い、世界で GIS がどのように活用されているかについての新たなビジョンをご紹介します。
新しいビジョンとは?
現在の GIS データは、(意図的にせよそうでないにせよ) たいていは GIS 組織内での利用に限られており、より広範囲のコミュニティでの探索や利用ができない状態になっています。世界中の GIS コミュニティによって作成され、保守されている信頼できるコンテンツには、途方もない価値があります。新しい ArcGIS は、こうした大量の情報を解放し、オープン化して、共有したり活用したりするためのプラットフォームです。
既存の ArcGIS ユーザや GIS コミュニティのメンバーであれば、ArcGIS が専門的な GIS 作業に使われる製品であることはすでにご存知でしょう。この数年間で、ArcGIS は、サーバやクラウド インフラストラクチャにも展開を進め、信頼できるマップやその他の地理情報を、Web や各種デバイス上の軽量クライアントやカスタム アプリケーションを使用する幅広いユーザに配信できるようになっています。今回の 10.1 では、ArcGIS の拡張とオープン化をさらに進めており、その結果、ArcGIS は地理情報を扱うための正真正銘のクラウドベース コンテンツ管理システムになっています。
あらゆる人が、この新しいプラットフォームを使ってマップの検索、利用、作成、共有、さらにはグループやコミュニティ内の他のユーザとの共同作業を行うことができ、構成が容易なテンプレートを使用してマップベース アプリケーションを導入したり、豊富な開発者 API セットを使用してカスタム アプリケーションを作成したりできます。このプラットフォームには、美しいベースマップや画像を含んだ世界規模のマップ ギャラリーが組み込まれており、このマップ ギャラリーは世界中のユーザによって ArcGIS 内で共有され、登録されている何千というデータセットやマップ サービスとともに、誰でも無償で使うことができます。新しい ArcGIS は、マップや地理情報を、組織やコミュニティ、さらには Web 上でオープンに利用できるようにするためのオンライン インフラストラクチャを提供します。ArcGIS のこの新しいビジョンは、すでにおなじみである既存の専門的 GIS ワークフローの補完、統合、拡張を十分に果たすものです。
どこでもアクセス可能な ArcGIS
ArcGIS の起源はワークステーションやデスクトップ コンピューティングにありますが、新しい ArcGIS はさまざまなプラットフォーム上のどこからでも利用できます。いくつかの製品で名称が変更されますが (例: 「ArcGIS Desktop」 ⇒ 「ArcGIS for Desktop」)、これはどこでも利用できるシステムを目指している ArcGIS のビジョンの普及促進をねらったものであり、利用できる環境には、プロフェッショナル向けデスクトップ、サーバ、クラウド、標準的な Web ブラウザ、スマートフォン、モバイル デバイス、タブレット などがあります。ユーザは、何をしたいのかに従ってプラットフォームで操作するだけです。
GIS 専門家は ArcGIS for Desktop および ArcGIS for Server を使用して、豊富なコンテンツや地理情報を構築して共有しています。また、こうした情報をオンライン - 自らの企業ネットワーク内またはクラウドベースの ArcGIS Online インフラストラクチャ内 - で管理しています。さらに、この情報を多くの種類のクライアント、デバイス、および Web サイトで共有しています。
GIS 専門家のための新しい ArcGIS
GIS の専門家である皆さんは、マップ、画像、ジオデータベース、解析ツールなど、どんな GIS リソースでも Web サービスとして配信できます。その結果、そうした GIS リソースは、ArcGIS システムに組み込まれ、効果的なオンライン マップを通じて共有されます。今回のリリースでは、マッピングや空間解析をより多くのユーザに提供しやすくなっており、そうしたユーザが GIS の専門家であったり、ArcGIS for Desktop を使ったりする必要はないことがわかるでしょう。また、データをインテリジェント Web マップで使えるマップ サービスに変換するために、サーバを用意する必要もありません。ArcGIS 10.1 には、マップやデータを ArcGIS Online クラウドにアップロードし、自動的に Web サービスに変換する機能が用意されています。また、この ArcGIS システムを使えば、より簡単にデータや専門技術を他の GIS 専門家と共有できます。たとえば、GIS コミュニティ内の他のユーザと共有できるように、ジオプロセシング モデルをそのデータや関連ドキュメントと一緒に自動的にパッケージ化し、使いやすい 1 つのファイルにまとめることができます。また、新しい ArcGIS は、さまざまなレベル (部門、企業、一般ユーザ) で利用できます。たとえば、企業の ArcGIS では、ユーザがマップを操作して、その企業が所有して管理しているプライベート データと、政府機関が提供している公的に利用可能なデータを組み合わせることができます。また、プライベートなクラウドやポータルもサポートされています。
クリックすると、それぞれの専門的な GIS アプリケーションが表示されます
ナレッジ ワーカーのための新しい ArcGIS
情報の収集、解析、プレゼン、操作は行っているものの、GIS の経験 (またはソフトウェア) がほとんどないナレッジ ワーカーは、新しい ArcGIS の重要なユーザです。彼らは、ArcGIS 内の任意のマップを使い、そこに独自のビジネス情報を簡単に追加して、マップベースのプレゼンテーションなど、マップや情報による新しい成果物を作成できます。また、シンボル表示されたポイント、ライン、ポリゴンを直接 Web マップ上に描画したり、独自の情報、とりわけテーブル データをアップロードしたりできます。さらに、対話的なポップアップ ウィンドウを構成し、Web マップに高度なコンテキストを追加するレポート、写真、ドキュメント、リンクなど、その他のデータを統合できます。シェープファイル、Excel スプレッドシート、WMS (Web Map Service)、KML などのオープン規格もサポートされています。ArcGIS の Web マップは、Microsoft Sharepoint のようなアプリケーションやその他の企業情報テクノロジと統合できます。
開発者のための新しい ArcGIS
開発者や設計者は、ジオプロセシング サービスによって提供される高度な機能をはじめ、ArcGIS のあらゆるマップや関連サービスを利用して、素晴らしいアプリケーションを作成できます。ArcGIS 内のすべての地理コンテンツは、オープンな REST プロトコルを使ってアプリケーション内から直接アクセスできます。開発者は、新しいユーザが新しい方法で地理情報にアクセスできるようにした革新的なマップ中心型アプリケーションを作成したり、GIS 機能を既存のアプリケーション内に埋め込んだりできます。ArcGIS には、JavaScript、Flex、Silverlight の他、主なモバイル デバイス (Apple iOS、Android、Windows Phone、Windows Mobile など) 向けの無償の API が存在します。ArcGIS は、信頼できる GIS データ、ベースマップ、豊富な API、GIS コミュニティで共有されている専門技術を提供します。開発者が提供するのはアイデアです。これらの組み合わせにより、素晴らしいアプリケーションが生まれます。
その他すべての人々のための新しい ArcGIS
当初、GIS マップを作成するための唯一の方法は、GIS ソフトウェアをインストールして習得することでした。今では、Web ブラウザまたはスマートフォンがあれば誰でも、ArcGIS を使って、さまざまな形で活用できるリッチでインテリジェントな対話的マップの検索、利用、作成が行えます。新しい ArcGIS は、あらゆる人々のための GIS です。たとえば、人々は、政府機関によって公開された公式なマップを探して、自分の Web ページ、ブログ、Twitter のようなソーシャル メディアへの投稿に、そのマップへのリンクを設定できます。また、マップを直接 Web ページに埋め込むこともできます。こうすることで、GIS コミュニティによって公開された信頼できる地理情報は、住民、ブロガー、企業、および Web の世界にいるあらゆる人々が容易かつ自由に利用できるものになります。ArcGIS を使ったこのような既存マップへのアクセスは自由に行えます。ユーザが ArcGIS にログインしたり、ユーザ アカウントを作成したりする必要はありません。それ以上のことを求めるユーザは、ArcGIS アカウントを作成して、独自のマップを作ることができます。
希望に満ちた未来
ArcGIS のこうしたビジョンは、まったく新しい形の情報拡散やコラボレーションを GIS コミュニティにもたらしてくれると信じています。すでに世界中の人々が Web やモバイル デバイスでマップを使うことに慣れ親しんでおり、今やマップを使ってそれ以上のことを行う段階に達しています。新しい ArcGIS により、人々は GIS コミュニティが提供する信頼できるデータを探し、すぐにそれを利用できます。たとえば、危機的状況下で事象の状態を共有する緊急時対応要員、地理空間設計に関する共同作業ができる土地利用計画者、動物や野鳥の観察などの観測データを共有できる市民ボランティアなどです。その後、これらのマップは、他の人々により共有されるマップ レイヤと組み合わせることで、さらに充実した Web マップを作成できます。オンラインのマップとデータによるこうした新しい GIS の利用パターンは、GIS の専門家にとって非常に魅力的です。自分のマップや GIS 業務を基にして、他のユーザが大きな価値を付加し、まったく新しい情報成果物を作成することができるからです。組織の外側にいる開発者は、ArcGIS を使って、あなたがコミュニティで共有しているデータをアプリケーション内で表現できます。また、こうしたアプリケーションによって、あなたの情報の新しい利用者や新しい利用法が開拓されます。