スケマティック ダイアグラムの生成

ArcGIS Schematics エクステンションを使用すると、GIS データや他のどんなタイプのデータからでもスケマティック ダイアグラムをすばやく生成できます。

ダイアグラム生成は、反復的なプロセスとして構成できます。このプロセスで 3 つの異なるスケマティック コンポーネント (スケマティック ビルダ、スケマティック ルール、および自動レイアウト) を実行してダイアグラムを作成できます。

ダイアグラム生成プロセス

構成において必須のコンポーネントはスケマティック ビルダだけです。スケマティック ルールと自動レイアウトはオプションです。

ダイアグラムの生成時には、まずスケマティック ビルダが作動します。このビルダは、すべてのダイアグラム生成でメインとなるスケマティック コンポーネントです。ビルダで想定している入力データまたはコンテキストは、その入力をスケマティック フィーチャに変換する前に解析しデコードできるものです。ビルダはメモリ内で処理を行い、一般に入力として認識した要素ごとにスケマティック フィーチャを作成します。

その後、生成しようとするタイプのダイアグラムについてスケマティック ルールが構成されていれば、メモリ内ダイアグラムの現在の内容に対して各ルールが実行されます。ルールが実行されるたびにメモリ内ダイアグラムの内容が反復的に変化していきます。

最後に、自動レイアウトが指定されていれば、メモリ内ダイアグラムに対して自動レイアウトが実行されます。

ダイアグラム サンプル生成

ジオメトリック ネットワーク フィーチャに基づく構成サンプル

この最初のサンプル シナリオでは、水道ジオメトリック ネットワークと電力ジオメトリック ネットワークの両方をソースとする GIS フィーチャを処理するために Schematics が使われました。これらのネットワークには非常に重要な依存関係がありました。たとえば、水道ネットワークのポンプ場には電気が必要です。ここでの目的は、ネットワークの相互依存関係を視覚化して理解しやすくし、ネットワーク上の重要なエレメントを強調するために、非常に単純化されたダイアグラムを生成することでした。

この 2 つのジオメトリック ネットワークからスケマティック ダイアグラムを構築するように、ダイアグラム テンプレートが構成されました。重要でない中間エレメントの大部分を削減するために削減ルール群が指定され、ダイアグラム内に水道ネットワークと電力ネットワークの重要なインフラストラクチャだけが残されました。このダイアグラム テンプレートは、生成時に自動レイアウトを実行するようにも構成され、ダイアグラム内に残された重要なエレメントが階層化され、それらの間の距離が正規化されました。

下のグラフィックスは、この構成に基づいてダイアグラムがどのように生成されるのかを示しています。このサンプル ダイアグラムを生成するために、Schematics は 1,032 個の GIS フィーチャが含まれるフィーチャ セットを入力として取ります。この生成プロセスでは、単純化された階層的なダイアグラムをすばやく構築できます。このダイアグラムには、残った 9 個の重要なネットワーク エレメント (ポンプ場、重要な変圧器、および重要な建造物)、それらに給電する電気所、およびこれらのエレメントの接続だけが表示されます。

ジオメトリック ネットワーク フィーチャから単純化されたスケマティック ダイアグラムを自動レイアウト付きで生成

切断された GIS フィーチャに基づく構成サンプル

この 2 番目のサンプル シナリオでは、切断された GIS フィーチャからダイアグラムを生成するために Schematics が使われました。データベース内には、データベース内の一部の GIS フィーチャ間のリレーションを詳述した一群のリレーションシップ クラスがありました。ここでの意図は、これらのリレーションシップ クラスを使って、GIS フィーチャ間のリレーションを表示するダイアグラムを生成することでした。

たとえば、電気所からスケマティック ダイアグラムを構築するように、ダイアグラム テンプレートが構成されました。電気所をそれらの電気所に電力を供給するスイッチに関連付けるリレーションシップ クラスと、電気所を重要なインフラストラクチャに関連付けるリレーションシップ クラスとにより、リレーションシップ ルールが指定され、電気スイッチと種々の重要なインフラストラクチャとの間のリレーションを表示するスケマティック ダイアグラムが生成されました。このダイアグラム テンプレートは、生成時に自動レイアウトを実行するようにも構成され、作成されたダイアグラム内のスケマティック フィーチャがスケマティックに配置されました。

下のグラフィックスは、この構成に基づいてサンプル ダイアグラムがどのように生成されるのかを示しています。このサンプル ダイアグラムを生成するために、Schematics は 4 つの電気所から成るセットを入力として取ります。この生成プロセスでは、内容豊かなダイアグラムをすばやく構築できます。このダイアグラムには、郡内の病院に給電するスイッチがすべて表示されます。

切断 GIS データからスケマティック ダイアグラムを自動レイアウト付きで生成

ネットワーク解析レイヤに基づく構成サンプル

この 3 番目のサンプル シナリオでは、解析済みのネットワーク解析レイヤからダイアグラムを生成するために Schematics が使われました。ここで使われているネットワーク データセットは、パリの道路、地下鉄の主要路線、駅の出入口 (道路上) と駅線 (地下) との間の接続、および複数の地下鉄路線に接続している駅内部の接続を詳述したものです。ここでの意図は、ある地点から別の地点まで移動したい歩行者のために、途中で通過しなければならない各道路/相互接続/駅/地下鉄路線を詳述した総合的なスケマティック道路地図を作成することでした。

たとえば、ある地点から別の地点までの解析されたルート ネットワーク解析レイヤからスケマティック ダイアグラムを構築するように、ダイアグラム テンプレートが構成されました。同じ道路に沿って並んでいる交差点をすべて削減して、そのルートにある各道路の始点と終点だけを残すために、一群の削減ルールが使用されました。同様に、同じ地下鉄路線の駅をすべて削減して、そのルートにある各路線の始点駅と終点駅だけを残すために、一群の削減ルールが構成されました。また、連絡駅内の接続を関連付けたり、地下鉄の出入口を地下駅に関連付けたりするスケマティック コンテナを追加するために、空間検索ルールも構成されました。このダイアグラム テンプレートは、2 つのアルゴリズムをつなぎ合わせたコンポジット レイアウトを生成時に自動的に実行するようにも構成されました。最初のアルゴリズムは、地理-角度方向でダイアグラム内にスケマティック フィーチャを配置するためのもので、2 番目のアルゴリズムは、ネットワーク エレメント間の距離を圧縮するためのものです。

下のグラフィックスは、この構成に基づいてサンプル ダイアグラムがどのように生成されるのかを示しています。このダイアグラムを生成するために、Schematics は解析済みのルート ネットワーク解析レイヤを入力として取ります。この生成プロセスでは、内容豊かな道路地図をすばやく構築できます。このダイアグラムには、途中で通過しなければならない各道路、地下鉄出入口、地下鉄駅、路線、および相互接続の詳細と方向が表示されます。さらに、通過する各地点について、出発点からその地点までの所要時間がラベルに表示されます。

ルートにある無用なエレメントをいくつか削減し、リレーションをいくつか追加し、コンテンツを自動的にレイアウトして、解析済みのルート ネットワーク解析レイヤからスケマティック ダイアグラムを生成