ArcGIS Spatial Analyst エクステンションでの解析とは
セル ベースのモデリングを理解する最も簡単な方法は、ラスタ全体という観点(鳥瞰的なアプローチ)からではなく個々のセルの観点(虫瞰的なアプローチ)から考えることです。そのためには、自分自身がラスタ データセット内の 1 個のセルであると考えてみてください。つまり、自分が 1 つの位置を表し、値を 1 つ持っているとします。ArcGIS Spatial Analyst エクステンションのどのツールも定義された一連のルールに基づいて自分の持つ値を操作または保持するよう促します。
セルごとの出力値の計算
Spatial Analyst ツールを使用して指定した位置(セル)の出力値を計算する場合は、次の 3 つの情報を知っておく必要があります。
- 指定した位置(セル)の値
- 値に対して実行される操作
- 計算に含む他のセルの位置と値
各情報の取得方法
- 自分の位置の値(入力セル値)は、自動的にわかります。
- Spatial Analyst の各ツールは、それぞれ自分の位置の値をさまざまな方法で操作します。ツールのドキュメントには、値を操作する方法の背景にあるロジックが解説されています。
- Spatial Analyst ツールの中には、自分の位置の値だけを知っておけば出力値を計算できるようなもの(指定された指数を使って、自分の値を累乗するツールなど)もあります。また、指定の位置が属するラスタ データセット内の他の位置の値を算出するツール(自分の近傍範囲を見るフォーカル ツールや、他のラスタ データセットで定義された範囲内のセルの位置および値を含むゾーンツール)もあります。
- これら 3 ステップのプロセスは、Spatial Analyst ツールのラスタ データセット内の位置(セル)ごとに実行されます。どのツールもセルごとに作用し、各セルでのそれぞれの計算では該当するセルの値、適用された操作、および計算に含まれるその他のセルの位置を知る必要があります。Spatial Analyst ツールは値の処理方法に基づいて各カテゴリに分類されているため、各カテゴリのセル値に対する処理方法さえ理解しておけば十分です。
- 多くのツールでは、操作(計算)の実行方法をユーザ定義のパラメータを使って細かく指定できます。たとえば、フォーカル ツールの各計算に含めるセルは指定する近傍によって変わってきます。
いくつかのツールを考慮した 3 ステップのプロセス
- [Power] ツール:このツールをラスタ データセットに適用すると、自分の位置の値を取得し、その値を他のラスタデータセット内の自分のセル位置と同じ位置にあるセルの値で定義される乗数によって累乗し出力値を返します。
- [Cos] ツール:このツールをラスタ データセットに適用する場合は、指定した位置の値と、出力値に返す値の余弦の計算方法を知る必要があります。
- [ユークリッド距離(Euclidean Distance)] ツール:このツールを適用すると、自分の位置を取得し、最も近いソース(ソース データセットによって定義される)から自分の位置までの距離を自分の位置の出力値として返します。
- [フォーカル統計(Focal Statistics)] ツール:このツールを 3 x 3 の近傍範囲の最大値を見つけるために適用すると、まず自分の位置の値と自分のすぐ隣にある 8 個の近傍セルの値を取得します。次に 9 つの値について指定した統計情報を計算し、結果を自分の位置の出力値とします。
- [ゾーン統計(Zonal Statistics)] ツール:このツールを [平均値] オプションを指定して適用すると、自分の位置の値を知り、自分のセルと同じゾーン(ゾーン ラスタデータセットによって定義される)に属するすべてのセルの値の平均値を取得します。
上記のロジックは、入力ラスタ内のセルごとに実行されます。
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5/10/2014