Web アプリケーションでのマップの共有
最も効果的な Web マップは、地理空間の傾向やパターンについて「語りかけるマップ」です。これらは、人々が住宅を購入している地域、海面温度が変動している場所、象が夏に移動する場所などを説明します。これらのマップは、単なるデータではなく情報を共有しています。
これまで ArcGIS Desktop だけを操作していた場合、効果的な Web マップにするために、どのようなプロセスが必要かわからないかもしれません。これには、いくつかの手順があります。
- マップ サービスを設計および共有します。
- Web マップを作成します。
- Web アプリケーションを作成します。
これらの手順の概要と、詳細なヘルプへのリンクを以下に示します。
1. マップ サービスの設計と共有
ArcGIS Server のマップ サービスは、ArcMap で作成したマップを Web のユーザが利用できるようになります。Web サイトでは、サーバの URL(Web アドレス)を使用してマップ サービスを使用できます。Web 上で情報を共有する前に、サービスとして利用できるマップを設計する必要があります。
設計プロセスは、ArcMap で開始します。すでに使い慣れているカートグラフィック ツールを使用します。マップ サービスを設計する際は、色、パターン、データの解像度が異なる他のマップ サービスにオーバーレイする可能性を考慮する必要があります。また、パフォーマンスの向上のために、マップ サービスをキャッシュ化(つまり特定の縮尺で事前に描画しておくこと)を検討してください。その場合には、特定の縮尺だけに集中してマップを製作することができます。
マップを共有する準備ができたら、ArcMap を使って次の操作を実行します。
- メイン メニューから [ファイル] → [共有] → [サービス] の順にクリックします。
- ドラフト サービスを作成するための短いウィザードを完了します。サービスの名前と、公開先のサーバの接続情報を指定する必要があります。
- [分析] ボタンを使用すると、マップのパフォーマンス上のボトルネックを確認できます。[プレビュー] ボタンを使用すると、サービスとしてのマップの外観を確認できます。マップ サービスを他のユーザが利用できるようにする準備ができたら、[公開] ボタンをクリックします。
手順の詳細については、「マップ サービスの公開」をご参照ください。
2. Web マップの作成
Web マップを作成するとき、内容に最も適したマップ サービスをオーバーレイします。多くの場合、Web マップではビジネス データ(利用可能な林分など)を持つマップ サービスが、参照情報(画像や陰影図など)を持つマップ サービスの上に表示されます。また、境界やラベルを含む参照マップ サービスが一番上に配置され、一番下の参照レイヤとの間にビジネス データという「肉」が挟まれた「マップ サンドイッチ」が作成される場合もあります。
ArcGIS.com では、Web マップを簡単に構築できます。
- Web ブラウザで arcgis.com を開きます。
- [サイン イン] をクリックし、ArcGIS Online のユーザ名とパスワードを使用してサイン インします。これにより、マップを保存したり、作成したマップに戻ることができます。
- [マップ] をクリックします。ベースマップ サービスがすでに追加されています。これは、Esri がホストしています。
- [追加] をクリックして、ベースマップの上にマップ サービスを追加します。Esri がホストするサービスなど一般が利用可能なサービスを検索や、公開されている独自の ArcGIS Server サイトへの URL を入力できます。
- 対象地域に移動およびズームします。
- [保存] をクリックして、マップを保存します。マップ情報は Esri の ArcGIS Online クラウドに格納され、ArcGIS Online アカウントを使用していつでもマップ情報に戻ることができます。
ここから、マップの印刷、探索、またはマップに含まれるフィーチャの編集(編集を有効にしたサービスが含まれる場合)を実行できます。マップの作成および使用方法については、ArcGIS.com ヘルプの「マップの操作」をご参照ください。また、Web アプリケーションにマップを配置する方法については、引き続き下記をご参照ください。
3. Web アプリケーションの作成
Web マップは、他のユーザが ArcGIS.com で参照できるように共有できます。また、独自の外観と機能を備えた Web アプリケーションを作成して、組織の Web サーバ上に配置できます。Esri は、Web アプリケーションの作成を簡単に開始できるテンプレート アプリケーションを ArcGIS.com 上で提供しています。
ArcGIS.com に保存したすべてのマップは、ID コードを持ちます。Web アプリケーションの内部にある Web マップを取得するには、この ID をコピーして、それをテンプレート コードの適切な場所に貼り付けます。その後、アプリケーションの外観やタイトルを要件に合わせてカスタマイズできます。
- ArcGIS.com でマップを開き、[共有] をクリックします。
- [Web アプリケーションの作成] をクリックします。
- テンプレートを選択し、[ダウンロード] をクリックしてディスクに保存します。
- 表示されるメッセージからマップ ID をコピーし、それをメモ帳のファイルなど安全な場所に貼り付けます。
- テンプレート ファイルの圧縮を解除して、テキスト エディタで index.html を開きます。
- マップ ID を適切な場所に貼り付けます。また、テンプレートをカスタマイズして、タイトルなどを追加します。
マップ ID をテンプレート コードに貼り付ける例を以下に示します。テンプレートは異なる場合があるので、ID を配置する場所についてはコードのコメント(// が付いています)をご参照ください。
//The ID for the map from ArcGIS.com webmap = "e88fc77e54a844739a7a1c5affdc6c87"; //Enter a title, if no title is specified, the webmap's title is used. title = "Retail Spending Potential"; //Enter a subtitle, if not specified the ArcGIS.com web map's summary is used subtitle ="Downtown Seattle and vicinity";
- 変更したテンプレート ファイルを、Web サーバ上の一般が利用できるディレクトリにコピーします。テンプレート ファイルを配置および公開する場所のガイドラインについては、Web サーバ管理者にお問い合わせください。
さらに ArcGIS API for JavaScript を使用して、Web アプリケーションをカスタマイズできます。この API には、事前に作成されたさまざまな「ウィジェット」が含まれていて、それらを Web アプリケーションに加えることができます。ウィジェットには、ArcGIS.com マップ ビューアのものと似たベースマップ ピッカーや、時間的な変化を視覚化するためのタイム スライダなどがあります。どこから開始すればよいかわからない場合は、Web アプリケーションに適用できる多くのサンプル コードが API のオンライン ヘルプにあります。
プログラミングに興味はないが、ArcGIS.com のテンプレートが必要性を満たさない場合、ArcGIS Viewer for Flex や ArcGIS Viewer for Silverlight を使用して Web アプリケーションを構築することを検討してください。これらを使用すると、ポイントしてクリックするだけの操作で Web マッピング アプリケーションの設計プロセスを進めることができます。アプリケーションで使用するマップを選択するよう依頼されたときは、ArcGIS.com で作成したマップを参照できます。ジオプロセシング、編集、および他のウィジェットをアプリケーションに追加して、タイトルやレイアウトをカスタマイズできます。