ArcGIS for Server (Linux) - 複数のコンピュータによる配置の構成

ArcGIS for Server は、1 台のコンピュータから多くのコンピュータまでの配置に対応できる、スケーラブルなアーキテクチャに基づいています。システムにアクセスするユーザの数に対して適切なパフォーマンスレベルを達成できるように、ArcGIS Server の分散インストールの検討が必要となる場合があります。

ArcGIS Server サイトのすべてのコンピュータに GIS サーバコンポーネントがインストールされています。最初に設定する GIS サーバコンピュータで、サイトを作成する必要があります。その後は、追加の GIS サーバコンピュータをサイトに加えることができます。サイト内の各 GIS サーバのバージョン番号を同じにし、完全に同じバージョンのライセンスを各サーバに適用する必要があります。

サイトを作成するときに、重要なファイルとサイトの構成情報を格納する場所を決めます。このディレクトリは構成ストアと呼ばれます。サイトには、サービス出力ファイル、ジオプロセシングジョブ情報、サービス定義、キャッシュタイル、およびその他のアイテムを格納するサーバディレクトリもあります。コンピュータをサイトに追加するときには、構成ストアとサーバディレクトリを指すように設定します。複数コンピュータのサイトでは、構成ストアとサーバディレクトリを共有し、他の GIS サーバコンピュータがそれらにアクセスできるようにしなければなりません。

構成ストアを、フォールトトレラントなファイルサーバのような GIS サーバに依存しないコンピュータまたはディスク上に配置することもできます。そうすることで、コンピュータをサイトに追加したり、サイトから削除するときに、どのコンピュータに構成ストアをインストールしたかを気にする必要がなくなります。これは、自動スケーリングメカニズムによって、構成ストアを持つのがどのコンピュータかを認識することなくサイトに対するコンピュータの追加と削除が行われる可能性があるクラウド配置においては特に重要です。

以下の手順により、複数のコンピュータによる ArcGIS Server 配置の構成方法を説明します。サイトはコンピュータ A で作成され、コンピュータ B がそのサイトに追加されます。すでに 1 つの GIS サーバで ArcGIS Server を実行していて、サイトを拡張しようとしている場合は、次のトピックをご参照ください。単一の GIS サーバから複数の GIS サーバへの拡張。

手順:

両方のコンピュータで、「ArcGIS Server で使用されるポート」で説明されているポートを開くようにファイアウォールを調整します。
Enterprise ライセンスで、コンピュータ A とコンピュータ B に ArcGIS for Server をインストールして認証します。これには、各コンピュータで [ソフトウェア認証ウィザード] を実行する必要があります。[ソフトウェア認証ウィザード] は、ArcGIS for Server のインストールの最後に起動されます。インストールされたショートカットを選択して [ソフトウェア認証ウィザード] にアクセスすることもできます。各コンピュータにインストールされている ArcGIS Server のバージョンは同じである必要があり、完全に同じバージョンのライセンスを各コンピュータに適用する必要があります。

必ず両方のコンピュータで同じオペレーティングシステムユーザを使用してインストールします。たとえば、次のように実行します。
1. ArcGIS for Server を、ユーザ ID が 58103 のユーザ ags としてコンピュータ A の /data/ags にインストールします。
2. ArcGIS for Server を、同じユーザ名と ID（ags、ユーザ ID 58103）でコンピュータ B の /data/ags にインストールします。
ネットワーク上で 2 つのディレクトリを作成して共有し、インストールユーザを所有者として割り当てます。1 つは構成ストア用、もう 1 つはサーバディレクトリ用です。フォルダに対する 700 以上の権限を付与する必要があります。たとえば、次のように実行します。

注意:

非表示になっているか、特殊文字（たとえば、「$」）を使用している共有ネットワークディレクトリは、ArcGIS Server ではサポートされません。
1. config-store という名前のディレクトリを作成します。ユーザ ID が 58103 のユーザ ags を所有者として指定します。ディレクトリに対する 700 以上の権限を付与します。
2. config-store フォルダを共有して、両方のコンピュータが同じパス（たとえば /net/myserver/config-store）を使用してこのディレクトリにアクセスできるようにします。
3. arcgisserver という名前のディレクトリを作成します。ユーザ ID が 58103 のユーザ ags を所有者として指定します。ディレクトリに対する 700 以上の権限を付与します。
4. arcgisserver フォルダを共有して、両方のコンピュータが同じパス（たとえば /net/myserver/arcgisserver）を使用してこのディレクトリにアクセスできるようにします。
  
  サイトを作成するときに使用するコンピュータ上にディレクトリを配置する場合でも、手動でディレクトリを作成して共有し、ネットワークパスを通じて参照しなければなりません。
コンピュータ A で ArcGIS Server Manager を開き、[新規サイトの作成] をクリックします。
新規サイトを作成するには、プライマリサイト管理者としてユーザ名とパスワードを定義する必要があります。ユーザ名とパスワードを選択して [次へ] をクリックします。

注意:

この名前とパスワードは ArcGIS Server でのみ認識されます。これはオペレーティングシステムのアカウントではなく、ユーザストアのユーザアカウントとは別に管理されます。プライマリサイト管理者は、ArcGIS Server サイトに無制限にアクセスできます。このアカウントは一般に ArcGIS Server サイトを作成し、セキュリティを設定および管理するために使用されます。プライマリサイト管理者アカウントと、ArcGIS Server のインストールの際に指定した ArcGIS Server アカウントを混同しないようにしてください。
上記で設定したサーバディレクトリおよび構成ストアフォルダへのパスを入力し、[次へ] をクリックします。

以前に設定した共有ネットワークパス（たとえば、/net/myserver/arcgisserver）を使用し、サイト内のすべてのコンピュータがこの場所を参照できるようにします。
[完了] をクリックしてサイトを作成するか、変更が必要な場合には [戻る] をクリックします。
サイトを作成するときに選択したプライマリサイト管理者アカウントのユーザ名とパスワードを入力して、[ログイン] をクリックします。
[サイト] → [GIS サーバ] → [コンピュータ] の順にクリックします。
[コンピュータ] モジュールで、[コンピュータの追加] をクリックします。
[コンピュータの追加] ウィンドウにコンピュータ B の名前を入力します。コンピュータの名前は、正確に入力する必要があります。localhost は使用できません。

コンピュータ B の URL は自動的に入力されます。
複数のクラスタがあるサイトに追加する場合は、利用可能なクラスタを示したドロップダウンリストが表示されます。ここではクラスタは 1 つだけなので（default）、[追加] をクリックし、コンピュータ B をサイトに追加します。

注意:

手順 9 〜 12 は、コンピュータをサイトに追加する方法を示しています。あるいは、コンピュータ B で ArcGIS Server Manager を開いてコンピュータ B をサイトに追加し、[既存サイトに参加] をクリックすることもできます。手順を追った説明については、「既存サイトに参加」をご参照ください。
データをサイトに登録することを検討してください。データ登録により、GIS サーバがアクセス可能であることがサーバ管理者によって確認されている場所のリストがサーバに提示されます。データ登録は、複数のコンピュータにわたって公開するときに、データパスの調整を GIS サーバが認識するためにも役立ちます。登録されていない場所からデータを参照するサービスを公開しようとすると、公開を実行している間にデータがサーバにコピーされます。詳細については、「ArcGIS Server へのデータの登録について」をご参照ください。
マップサービスをサイトに公開します。公開の後に、ArcGIS Server Services Directory で [表示:JavaScript] オプションを使用してマップサービスに対するリクエストを作成します。次に、ArcGIS Server Administrator Directory で、[services] → [<サービス>.MapServer] → [statistics] の順に移動します。各コンピュータが受け取ったリクエスト数に関する統計情報が表示されるはずです。
ArcGIS Web Adaptor をインストールして設定します。ArcGIS Web Adaptor は、エンタープライズ Web サーバと ArcGIS Server サイト間のリンクを提供します。これにより、受信したリクエストに対して使用するポート、アドレス、認証設定を選択できます。外部のユーザが ArcGIS Server Manager と ArcGIS Server Administrator Directory にアクセスすることを防ぐこともできます。

詳細については、「ArcGIS Web Adaptor について」をご参照ください。

6/13/2014