マップ キャッシュの作成速度の向上

広いエリアに対して大きな縮尺のキャッシュを作成するには、長い時間がかかる場合があります。このトピックでは、キャッシュの作成速度に影響する主な要因について説明します。より詳しい注意事項については、「マップ キャッシュのヒントとベスト プラクティス」をご参照ください。

ローカル ファイル ジオデータベースの使用

ソース GIS データセットのコピーをサーバに配置できる場合、キャッシュ作成中の速度と安定性は大きく向上します。キャッシュ処理ではデータに対する大量の要求が発生するため、これらの要求をコンピュータ内で処理できる場合、タイルはより高速に描画されます。

理想的な方法では、クラスタ内の各 GIS サーバ コンピュータに、同一のファイル ジオデータベースを同一のパスで配置します。ファイル ジオデータベースのローカル フォルダを ArcGIS Server にデータ ストア アイテムとして登録します。マップ ドキュメント内では、データのローカル パスを使用します。

リアルタイム投影の回避

最高のパフォーマンスを実現するには、ソース データをマップと同じ座標系に投影し、リアルタイム投影を回避するようにします。一般的には、作業中のデータベースに Web メルカトルなどの投影変換を適用することは好まれません。ただし、サーバに置くデータを本番データベースの一方向レプリカとすることで、キャッシュの作成とユーザ クエリの実行だけに使用することができます。

アンチエイリアス レベルの選択とその注意点

アンチエイリアスは、ラインやラベルの縁を滑らかにしてピクセルが目立たないようにするための手法です。テキストのアンチエイリアスはパフォーマンスにほとんど影響しませんが、フィーチャのアンチエイリアスはキャッシュ速度を低下させる負荷の高い処理です。

フィーチャにある程度のアンチエイリアスを適用することで、ベクタ マップの見た目はより専門的になります。ただし、アンチエイリアスの品質を高くすると、キャッシュの作成にかかる時間が大きく増加することに注意してください。ほとんどのキャッシュでは、[最速] または [高速] の設定で十分な結果が得られます。[高品質] などの品質の高い設定は、テスト キャッシュでその品質レベルが必要であることが確認されていない限り、避けるようにしてください。

過負荷を回避した CPU の利用

最高速でタイルを作成するには、タイル作成中に CPU の使用率がほぼ 100 パーセントになるようにします。ただし、100 パーセントに達しないようにする必要があります。システムのアクティビティは、Windows のタスク マネージャまたはパフォーマンス モニタを使用して監視できます。

マップにはそれぞれ違いがあるため、CPU の使用率を理想的なレベルにするには、キャッシュ設定に関して試行錯誤が必要です。キャッシュ作成に割り当てるサーバ リソースに影響するのは、主に次の 2 つの設定です。

上で推奨している値は、各自でテストを繰り返す際の初期値です。これらの値を設定する際の詳細と計算式については、「キャッシュを作成するためのサーバ リソースの割り当て」をご参照ください。

必要なタイルだけを作成する

マップのすべての範囲に対して、すべての縮尺でタイルを作成する必要はありません。頻繁にアクセスされるタイルもあれば、まったくアクセスされないタイルもあります(特に、大きな縮尺に対してデータがまばらな場合)。

キャッシュ ジョブを開始する前に、あらかじめ生成しておく必要がある地理データおよび縮尺と、オンデマンドで生成可能な(または、「キャッシュに関する一般的な質問」で説明するように「データは利用不能」タイルで表示する)タイルを慎重に計画します。小さい縮尺は、必要なタイルが比較的少ないため問題になりません。大きな縮尺ではより計画的な手法が必要です。

マップの最も重要な領域を定義するフィーチャクラスを作成します。大縮尺のキャッシュを作成するときには、このフィーチャクラスを使用してタイルの作成を制限します。多数の頂点を持つフィーチャクラスでは、キャッシュ ツールの速度が低下する可能性があります。したがって、[ポリゴン単純化(Simplify Polygon)] などのツールを使用して、まずポリゴンを単純化しなければならない場合があります。

計画によっては、地理データの重要でない領域の多数のタイルや、フィーチャを含まないタイルの作成を避けることができます。

その他のヒント

最後に、キャッシュの作成速度を向上するためのその他のヒントを示します。

5/20/2014