履歴パーセル
このトピックは、ArcGIS for Desktop Standard および ArcGIS for Desktop Advanced にのみ該当します。
多くの土地台帳では、一連の権原証書は、現在の権原証書の所有者の権利を保証するために不可欠です。権利を認めるのは、この証拠です。パーセル データベースは、現在のパーセル境界線を正確に表現するだけでなく、パーセル境界線の変更履歴も保存している必要があります。米国では、土地区画の権利は、過去の土地測量と記録文書(一連の証拠)に基づいて保証されます。権原証書を認める国でも、一連の記録と境界線の作図は欠かせません。土地区画の新たな測量は、過去の測量情報を参照せずに行うことはできません。測量データと過去の測量記録または権原証書は、破棄すべきではありません。
履歴パーセルとプラン
パーセル ファブリックでは、プランの日付(測量記録の日付)およびシステム日付(パーセルの変更情報がデータベースに入力された日付)を使ってパーセル履歴が追跡されます。2 つの開始日付の属性([LegalStartDate] および [SystemStartDate])と 2 つの終了日の属性([LegalEndDate] および [SystemEndDate])が、パーセルとラインに格納されます。[LegalStartDate] 属性は現在のパーセルに関連付けられているプランの記録日付に対応し、[LegalEndDate] 属性は新しい、優先されるパーセルに関連付けられているプランの記録日付に対応します。
新しいプランを作成する際に、プランの属性に [LegalDate] 属性が入力されている場合は、この属性がプランで作成された新しいパーセルの [LegalStartDate] 属性にコピーされます。[LegalDate] 属性は、新しいパーセルのトランザクション(新しいパーセルを作成するためのパーセルのマージなど)の結果として、履歴となったパーセルの [LegalEndDate] 属性にもコピーされます。
既存のパーセルが、新しいプランで作成されたパーセルに置換されると、既存のパーセルとそのラインは履歴になります。ポイントを共有する隣接するパーセルが、現在のパーセルである場合があるため、パーセルの角にあるポイントは履歴にならない場合があります。
履歴パーセルとパーセル ファブリック アジャスト
パーセル ファブリックでは、履歴パーセルは、法的にも、ファブリック アジャストにおいても重要な役割を果たします。履歴パーセルには、パーセル ファブリック アジャストの計測における冗長性を増加させる、有効な計測値データが含まれています。
継続的にパーセル ファブリックにアジャストを実行すると、ポイントの座標が長期にわたって変化します。座標は、パーセルの角の位置を現時点で最適に見積もった結果です。パーセルの変遷を追跡するには、現在のパーセルと履歴パーセルの空間的な関連性を保持する必要があります。したがって、現在と過去のすべてのパーセル境界線が、あらゆるアジャストに使用されます。履歴パーセルの境界線は、現在のパーセル境界線を使って調整されます。
Historical 属性フィールド
パーセル ファブリックでは、履歴パーセルの [パーセル] テーブルの [Historical] 属性フィールドは 1(true)に設定されます。アクティブな現在のパーセルの [Historical] 属性フィールドは 0(FALSE)に設定されます。
次の場合には、[Historical] 属性フィールドは自動的に 1 に設定されます。
- パーセルのマージ。マージされるパーセルには、履歴のフラグが設定されます。
- パーセルの分割。分割されるパーセルには、履歴のフラグが設定されます。
- 残余パーセル。元のパーセルには、履歴のフラグが設定されます。
- 親からの新規作成。親のパーセルには、履歴のフラグが設定されます。
パーセルの [Historical] 属性フィールドは、[パーセルの詳細] ダイアログ ボックスで、またはパーセルを右クリックしてから [履歴] をクリックして、手動で 1(true)に設定できます。
履歴パーセルとデータベース管理
履歴パーセルの境界線は、パーセル ファブリックの連続的なアジャストに関与するため、パーセル ファブリックの履歴は動的になります。これによって、編集や変更は行われず、保持されているだけの静的な情報の管理が制限されます。これは静的な履歴です。土地台帳やパーセル ファブリックには、両方のタイプの情報が含まれています。履歴パーセルと関連の権原証書の記録に登録されたパーセルの計測値は決して変更されないため、静的と考えられます。これらのパーセルの座標は最小二乗アジャストで変更されるので、動的と考えられます。
パーセル ファブリック レイヤでの履歴パーセルの表示
パーセル ファブリックの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [履歴] タブで、パーセル ファブリック レイヤの履歴パーセルを表示できます。[履歴] タブで、レイヤ内のすべてのパーセルを表示するか、法的日付またはシステム日付でパーセルを表示するかを選択できます。
パーセル ラインの履歴を表示するには、ライン レイヤで定義クエリを使用して日付または履歴値別にパーセル ラインを表示するか、履歴ラインのフィーチャ テンプレートを作成することができます。
下の図で、どちらの定義クエリも、現在のパーセル ラインのみを表示するという同じ目的を達成しています。最初のクエリはシステム終了日付を持たないラインのみを表示し、2 つ目のクエリは履歴属性フィールドの値が 0(false)のラインのみを表示します。他の定義クエリを使用して、法的日付や日付の範囲などでラインを表示することができます。
マップ表示から履歴ラインを隠す代わりに、履歴ライン サブタイプを定義して、ライン タイプ別にパーセル ラインを表示することができます。たとえば、補助目盛ライン、境界線、履歴ラインなどです。
ライン属性テーブルで、履歴属性フィールドの値が 1(true)の場合は、サブタイプを履歴ラインに設定できます。
あるシステム日付範囲または法的日付範囲に現在であったパーセルを表示するには、システムおよび法的開始/終了日付を検索するパーセル レイヤでの定義クエリを指定します。