パーセル ファブリックの作成と管理
このトピックは、ArcGIS for Desktop Standard および ArcGIS for Desktop Advanced にのみ該当します。
パーセル ファブリックは、カタログ ウィンドウのウィザードを使用して作成され、フィーチャ データセット下の新規ノードとして表示されます。パーセル ファブリックは、作成するときに、情報モデルで有効にできます。現在、パーセル ファブリックは、Local Government 情報モデル(米国の地方自治体向けのモデル)で有効にできます。
エンタープライズ ジオデータベースにパーセル ファブリックを作成する場合、コンフィグレーション キーワードを設定するためのオプションが用意されます。コンフィグレーション キーワードは、ディスク領域を最適化するための格納パラメータと場所パラメータを指定するために使用されます。
パーセル ファブリックは、作成されたときのフィーチャ データセットの座標系を継承します。
パーセル ファブリックを作成したら、ファブリック データセットをダブルクリックするか展開して、ファブリック フィーチャクラスとテーブルを表示することができます。
アジャストおよび正確度テーブルを表示するには、[パーセル ファブリック ツール] → [レイヤとテーブル ビュー] の順に選択し、[パーセル ファブリック テーブル ビューの作成(Make Parcel Fabric Table View)] を使用します。
パーセル ファブリック テーブルに属性を追加する
各パーセル ファブリックのフィーチャクラスまたはテーブルには、事前に定義されたシステム属性のセットがあります。システム属性には、編集可能なものと、完全にシステムによって管理されて編集できないものがあります。
いずれのファブリック フィーチャクラスおよびテーブルにも、通常のフィーチャクラスに属性を追加するのと同様の方法で、追加属性を追加できます。
これらの追加属性はエディタで設定されないので、追加属性をパーセル ファブリックのライン ポイント フィーチャクラスへ追加することはできません。
また、システムや、パーセル ファブリックのフィーチャクラスおよびテーブルにあるユーザ定義の属性に対して、インデックスを追加したりサブタイプやドメインを作成したりすることができます。
既存のパーセル ベースのフィーチャクラスを読み込むときに、パーセル ファブリックのフィーチャクラスまたはテーブルへ属性を追加できます。たとえば、(所有権など)パーセル ファブリックのパーセル ファブリックの フィーチャクラスのシステム属性で示されない、既存のパーセル ファブリックの ポリゴンのデータ上に属性がある場合があります。この場合、属性をパーセル ファブリックへ移行させるには、パーセル ファブリックのパーセル フィーチャクラスに新規属性を作成する必要があります。その名前(タイプ)はソース パーセル ポリゴン データの属性と同じでなくてはいけません。サブタイプやドメインを移行する場合も同様です。既存の土地区画データセットの属性にサブセットやドメインが定義されている場合、移行前に、パーセル ファブリックのフィーチャクラスおよびテーブルの対応する属性に同じサブセットやドメインを定義することが必要です。
パーセル ファブリックでのリレーションシップ クラスの作成
リレーションシップは、外部フィーチャクラス間、テーブルとパーセル フィーチャクラス間、またはテーブルとパーセル ファブリック テーブル間のジオデータベースに格納できます。
パーセル ファブリックに関するリレーションシップ クラスでは、リレーションシップ タイプは常にシンプルです。シンプル リレーションシップは、関連するフィーチャクラスまたはテーブルが互いに独立して存在するリレーションシップです。元のテーブルまたはフィーチャクラスのオブジェクトを削除しても、関連先のテーブルまたはフィーチャクラス内の関連するオブジェクトは削除されません。コンポジット リレーションシップで、関連先のテーブルまたはフィーチャクラスのオブジェクトのライフタイムが関連元のテーブルまたはフィーチャクラスの関連するオブジェクトのライフタイムによって制御される場合は、関連テーブルとフィーチャクラスは相互に依存します。元のテーブルまたはフィーチャクラスのオブジェクトを削除しても、関連先のテーブルまたはフィーチャクラス内の関連するオブジェクトは削除されません。パーセル ファブリックのデータはパーセル ファブリック編集ツールを利用した場合にのみ削除できます。そのため、パーセル ファブリックのデータは、シンプル リレーションシップ クラスにのみ関連付けられます。
パーセル ファブリックでリレーションシップ クラスを作成するには、リレーションシップ クラスに加えたいパーセル ファブリックを含むフィーチャ データセットを右クリックして、[新規] → [リレーションシップ クラス] の順にクリックします。
新規リレーションシップ クラスウィザードで、パーセル ファブリック テーブルはパーセル ファブリックを含むフィーチャ データセットの外に表示されます。パーセル ファブリックのフィーチャクラスはフィーチャ データセット内に表示されます。
各種投影法によるパーセル ファブリックの管理
パーセル ファブリックは、アメリカの州全体のような、広範なエリアをカバーすることがあります。そのような場合、異なる座標系でパーセルを編集することが必要になる場合があります。
パーセル ファブリックのパーセルを異なる座標系で編集する必要がある場合、パーセル ファブリックを地理座標系に格納します。ArcMap でパーセル ファブリックを編集する場合、マップ ドキュメントのデータ フレームを、パーセルを編集するための座標系に投影します。
- ArcMap で [データの追加] ボタン をクリックし、地理座標系のパーセル ファブリックを読み込みます。
- マップ ドキュメントを投影するには、[コンテンツ ウィンドウ] のウィンドウでデータ フレームのノードを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
- [データ フレーム プロパティ] ダイアログ ボックスの [座標系] タブをクリックします。
- [座標系選択] で、[定義済み]、[投影座標系] の順に展開し、作業する投影法を参照します。
- [OK] をクリックします。
トポロジへのパーセル ファブリックの追加
パーセル ファブリックを、単一のデータセットとして新しいトポロジに追加します。
トポロジ ルールを定義するときに、ファブリックの内部フィーチャクラスを適切なルールに含めることができます。たとえば、移行されたパーセル データの品質を確認するために、[FABRIC_Parcels にギャップがない] というルールを、パーセル ファブリックを含むトポロジに追加できます。
パーセル ファブリックへのコピーと貼り付け
パーセル ファブリックは、同じジオデータベース内または異なるジオデータベース間で、異なるフィーチャ データセット間のコピーと貼り付けが可能です。 パーセル ファブリックを異なるフィーチャ データセットへコピーする場合、フィーチャ データセットの投影法は、パーセル ファブリックの投影法と同じでなければなりません。
フィーチャクラスがパーセル ファブリックに関連付けられている場合、フィーチャクラスをコピーするとパーセル ファブリックもコピーされます。そのコピーされたパーセル ファブリックがフィーチャクラスまたはテーブルに関連付けられている場合、フィーチャクラスやテーブルもまたパーセル ファブリックとともにコピーされます。
トポロジに含まれているパーセル ファブリックをコピーして貼り付けることはできません。
選択したパーセルをコピーして別のパーセル ファブリックに貼り付けるには、[パーセル ファブリックのコピー(Copy Parcel Fabric)] ジオプロセシング ツールを使用します。あるパーセル ファブリックを別のパーセル ファブリックに追加するには、[パーセル ファブリックのアペンド(Append Parcel Fabric)] ジオプロセシング ツールを使用します。
パーセル ファブリックと ArcGIS リリースのバージョン
ジオデータベースをアップグレードした後、パーセル ファブリックを ArcGIS の最新バージョンにアップグレードできます。ArcGIS の新しいリリースごとにパーセル ファブリックをアップグレードすることをお勧めします。
SDE で パーセル ファブリックをアップグレードする場合、パーセル ファブリックが存在するフィーチャ データセットは、バージョン登録を解除する必要があります。すべてのバージョンをデフォルト バージョンにポストしてから、フィーチャ データセットのバージョン登録を解除する必要があります。
Survey Analyst エクステンションを使用して ArcGIS 10.0 より前のバージョンで作成された、Cadastral のファブリック(9.3 のファブリック)を、10.0 およびそれ以降のバージョンの新しいパーセル ファブリック機能で使用するにはアップグレードが必要です。
標準のファブリック スキーマは、ArcGIS 10.1 と ArcGIS 10.2.1 の各リリース間で、変更されていません。10.1 のファブリックのリリース バージョンは、10.2 と 10.2.1 のファブリックのリリース バージョンと同等であり、同義です。そのため、ArcGIS 10.1 のファブリックへのすべての参照には、ArcGIS 10.1、ArcGIS 10.2、または ArcGIS 10.2.1 のいずれかを使用して作成(または更新)されたファブリックが含まれています。以下のトピックでは、このパーセル ファブリックのリリース バージョンを「ArcGIS 10.1-10.2.1 のファブリック」と呼びます。
パーセル ファブリックのアップグレード
パーセル ファブリックをアップグレードするには、必要に応じて、まずファブリックが存在するジオデータベースをアップグレードする必要があります。ジオデータベースをアップグレードするには、カタログ ツリーでジオデータベースを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。[データベース プロパティ] ダイアログ ボックスで、[一般] タブの [ジオデータベースのアップグレード] をクリックします。
パーセル ファブリックをアップグレードするには、カタログ ツリーでファブリックを右クリックし、[プロパティ] をクリックします。[パーセル ファブリック プロパティ] ダイアログ ボックスで、[一般] タブの [パーセル ファブリックのアップグレード] をクリックします。
異なる ArcGIS リリース バージョン間でのパーセル ファブリックのコピーと貼り付け
- 9.3 のパーセル ファブリックは、ArcGIS 10.0 以降のジオデータベースにコピーできますが、そのリリース バージョンの機能を使用するには、アップグレードする必要があります。
- ArcGIS 10.0 以降のパーセル ファブリックを ArcGIS 9.3 のジオデータベースにコピーすることはできません。
- ArcGIS 10.1、10.2、または 10.2.1 のパーセル ファブリックを ArcGIS 10.0 のジオデータベースにコピーできます。
パーセル ファブリックが含まれる XML ワークスペースの異なる ArcGIS リリース バージョンへのインポート
- ArcGIS 10.1、10.2、または 10.2.1 を使用して、ArcGIS 10.1-10.2.1 のパーセル ファブリックが含まれる XML ワークスペースを ArcGIS 10.0 のジオデータベースにインポートすると、ArcGIS 10.1-10.2.1 のファブリックが作成されます。
- ArcGIS 10.0 では、ArcGIS 10.1 のパーセル ファブリックが含まれる XML ワークスペースを ArcGIS 10.0 のジオデータベースにインポートすると、ArcGIS 10.0 のパーセル ファブリックが作成されます。
- ArcGIS 10.2 または 10.2.1 を使用して、ArcGIS 10.1-10.2.1 のパーセル ファブリックが含まれる XML ワークスペースを ArcGIS 10.0 のジオデータベースにインポートすると、ArcGIS 10.0 のファブリックが作成されます。
- ArcGIS 10.0 以降のパーセル ファブリックが含まれる XML ワークスペースを ArcGIS 9.3 のジオデータベースにインポートすることはできません。
異なる ArcGIS リリース バージョン間でのパーセル ファブリックの編集
ArcGIS 10.1、10.2、または 10.2.1 を使用する場合、以下に注意してください。
- ArcGIS 10.0 のパーセル ファブリックを編集できますが、新しい機能を使用するには、アップグレードする必要があります。
- ArcGIS 9.3 のパーセル ファブリックを編集できますが、新しい機能を使用するには、アップグレードする必要があります。
ArcGIS 10.0 を使用して、ArcGIS 10.1 以降のパーセル ファブリックを編集することはできません。
ArcGIS 9.3.1 は、パーセル エディタの最初のリリースであり、9.3、10.0 のパーセル ファブリックの編集にのみ使用できます。