演習 11: 交通量データを使用するネットワーク解析の実行
交通量データを使用してネットワーク解析レイヤを解析することができます。この演習では、履歴交通量データと必要に応じてライブ交通量データを使用して、1 日の異なる時間についての到達圏解析を行います。到達圏ポリゴンは、そのときの交通量に基づいて変化します。
この演習のセクションで、ライブ交通量状況を使用して到達圏を解析するには、サンディエゴ ネットワーク データセットにライブ交通量を構成する必要があります。ライブ交通量に対応するネットワーク データセットを作成する方法については、「演習 10」をご参照ください。
この演習と Network Analyst チュートリアルの他の演習で使用されるデータは、ArcGIS.com から入手できます。データをダウンロードしたら、任意の場所に抽出することができます。ただし、チュートリアルでデータのデフォルトの場所として参照される C:\arcgis\ArcTutor に抽出すると便利です。
Network Analyst コントロールを ArcMap へ追加
- ArcMap ですでに Exercise11.mxd を開いている場合は、ステップ 6 に進みます。
- [スタート] → [すべてのプログラム] → [ArcGIS] → [ArcMap 10.2.2] の順にクリックして、ArcMap を起動します。
-
[ArcMap - はじめに] ダイアログ ボックスで、[既存のマップ] → [詳細検索] の順にクリックします。
[ArcMap ドキュメントを開く] ダイアログ ボックスが表示されます。
-
C:\ArcGIS\ArcTutor\Network Analyst\Tutorial を参照します。
これはチュートリアル データが格納されているデフォルトの場所です。
-
Exercise11.mxd をダブルクリックします。
ArcMap にマップ ドキュメントが表示されます。
-
ArcGIS Network Analyst エクステンションを有効にします。
-
[カスタマイズ] → [エクステンション] の順にクリックします。
[エクステンション] ダイアログ ボックスが開きます。
- [Network Analyst] をオンにします。
- [閉じる] をクリックします。
-
[カスタマイズ] → [エクステンション] の順にクリックします。
-
[カスタマイズ] → [ツールバー] → [Network Analyst] の順に選択します。
[Network Analyst] ツールバーが ArcMap に追加されます。
- [Network Analyst] ツールバーで、[Network Analyst ウィンドウ] ボタン をクリックします。
[Network Analyst] ツールバーが表示されていない場合は、このツールバーを追加してください。
[Network Analyst] ウィンドウが表示されていない場合は、このウィンドウを追加してください。
午前 9:00 の到達圏レイヤの構成
- [コンテンツ] ウィンドウで [Service Area] をオンにします。
既存の到達圏解析レイヤが表示されます。これは自動的に作成されるので、新しい解析レイヤのシンボルを構成する必要はありません。
-
[Network Analyst] ウィンドウの [解析レイヤ プロパティ] ボタンをクリックします。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが開きます。
- [解析の設定] タブをクリックします。
-
[インピーダンス] が [TravelTime(分)] に設定されていることを確認します。
TravelTime コスト属性では、履歴およびライブの交通量データを参照するエッジ交通量エバリュエータが使用されます。このコスト属性を選択し、曜日(または日付)と時刻を指定することにより、交通量ベースのネットワーク解析を実行できます。
- [デフォルトのブレーク値] テキスト ボックスに「10」と入力します。
- [時間を使用] をオンにします。
- [時刻] テキスト ボックスに「9 AM」と入力します。
- [曜日] ドロップダウン リストから [月曜日] を選択します。
- [移動方向] で、[施設から] をクリックします。
[時間を使用] プロパティで指定した日時は、施設からの出発時間または施設への到着時間のどちらを示すこともできます。この例では [施設から] を選択したので、日時は出発時間を示します。代わりに [施設へ] を選択すると、施設への到着時間を示すことになります。
- [ジャンクションでの U ターン] ドロップダウン リストから [許可しない] を選択します。
- [階層を使用] をオフにします。
- [無効なロケーションを除外] はオンにしたままにします。
- [OK] をクリックします。
午前 9:00 の到達圏レイヤの解析
-
[Network Analyst] ツールバーの [解析の実行] ボタン をクリックします。
[Network Analyst メッセージ] ウィンドウが表示され、[規制の使用法] が [回避] に設定されている制限があり、これらは禁止制限として扱われることが通知されます。到達圏解析では、制限に基づくエッジの優先や回避は行われません。回避制限はすべて禁止制限として扱われ、優先制限はすべて無視されます。この警告メッセージが表示されないようにするには、[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [属性パラメータ] タブで回避制限と優先制限をすべてオフにするか、[Network Analyst メッセージ] ダイアログ ボックスの一番下にある [今後このダイアログを表示しない] をオンにします。
- [閉じる] をクリックします。
[Network Analyst メッセージ] ダイアログ ボックスが閉じます。
到達圏ポリゴンが、マップ上および [Network Analyst] ウィンドウに表示されます。表示されない場合は、マップの水平スクロール バーの [更新] ボタン をクリックします。
この到達圏は、履歴交通量データを使用して生成されています。
午後 10:00 の到達圏レイヤの構成
次に、月曜日の午後 10:00 の交通量に基づく到達圏レイヤを構成し、解析します。
- 到達圏レイヤを Service Area 9 AM という名前に変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Service Area] をクリックします。
- F2 キーを押します。
- 「Service Area 9 AM」と入力して、Enter キーを押します。
- この到達圏レイヤの複製を作成し、名前を「Service Area 10 PM」に変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Service Area 9 AM] を右クリックし、[コピー] を選択します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [レイヤ] を右クリックし、[レイヤの貼り付け] を選択します。
- F2 キーを押します。
- 「Service Area 10 PM」と入力して、Enter キーを押します。
- [Network Analyst] ウィンドウのドロップダウン リストから [Service Area 10 PM] を選択します。
-
[Network Analyst] ウィンドウの [解析レイヤ プロパティ] ボタンをクリックします。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが開きます。
- [解析の設定] タブをクリックします。
- [時刻] テキスト ボックスに「10 PM」と入力します。
- [OK] をクリックします。
午後 10:00 の到達圏レイヤの解析
-
[Network Analyst] ツールバーの [解析の実行] ボタン をクリックします。
これまでに [今後このダイアログを表示しない] をオンにしたかどうかによって、[Network Analyst メッセージ] ウィンドウが表示される場合があります。表示された場合は、[閉じる] をクリックします。
更新された到達圏ポリゴンが、マップ上および [Network Analyst] ウィンドウに表示されます。表示されない場合は、マップの水平スクロール バーの [更新] ボタン をクリックします。
午前 9:00 と午後 10:00 の到達圏の比較
2 つのレイヤの配色が同じであるかどうかにかかわらず、透過表示の設定によって到達圏の相違がハイライトされます。生成された午後 10:00 の到達圏は、移動に時間がかかる午前 9:00 の到達圏よりも広範囲にわたっています。解析結果に対して、時刻と日付が重要な要素となり得ることは明らかです。施設の到達圏が時間とともにどのように変化するかをさらに詳しく把握することもできます。その場合は、開始時間の値を変化させて同じ解析を繰り返し実行します。
現在の交通状況を使用して解析を行うことが特に重要になる場合もあります。たとえば、到達圏解析の施設がパトロール中の緊急車両を表している場合、配置を変更する際に、今から 10 分以内に到達できないエリアを確認したい場合などです。
ライブ交通量を使用する解析の構成(オプション)
交通量に対応するネットワーク属性を使用して解析を行うとき、Network Analyst は最初にエッジでライブ交通量のコスト データを検索します。利用できるライブ データがない場合は、履歴交通量を参照します。履歴交通量も利用できない場合、Network Analyst は最終的に静的なコスト属性からコスト データを抽出します。これらの属性は平日または週末に対して指定できます。この処理はエッジごとに行われ、利用できる最も正確なデータから解析結果が生成されます。
ネットワーク データセットがライブ交通量をサポートし、現在の DTF ファイルにアクセスできる場合、ライブ交通量を使用した解析では、ネットワーク解析レイヤの時間プロパティを現在の時間に設定し、データとそのインピーダンス属性を交通量対応のコスト属性に設定します。これらのプロパティは、[解析の設定] タブの [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスにあります。
ここから先の演習を正しく実行するには、「演習 10」を終了している必要があります。演習 10 には、サンディエゴ エリアのネットワーク データセットを作成し、それにライブ交通量を構成する方法が示されています。
次の手順では、ライブ交通量データを使用してネットワーク解析レイヤを解析する方法を説明します。
- どちらかの到達圏レイヤの複製を作成し、名前を「Live Service Area」に変更します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Service Area 10 PM] を右クリックし、[コピー] を選択します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [レイヤ] を右クリックし、[レイヤの貼り付け] を選択します。
- F2 キーを押します。
- 「Live Service Area」と入力して、Enter キーを押します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、[Service Area 9 AM] と [Service Area 10 PM] をオフにします。
- 到達圏レイヤは、ライブ交通量が構成されていないネットワーク データセットに作成されています。以下の手順に従って、演習 10 で作成したライブ交通量対応のネットワーク データセットに到達圏レイヤをポイントします。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Live Service Area] を右クリックし、[プロパティ] を選択します。
- [レイヤ プロパティ] ウィンドウで [ソース] タブをクリックし、[ネットワーク データセットの設定] をクリックします。
- [ネットワーク データセット] ウィンドウで、演習 10 で作成したネットワーク データセットを参照し、これをダブルクリックします。チュートリアル データがデフォルトの場所にインストールされている場合、ネットワーク データセットは C:\ArcGIS\ArcTutor\Network Analyst\Tutorial\Exercise10\SanDiego.gdb\Transportation\SanDiego_ND にあります。
- [OK] をクリックして [レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスを閉じます。
- 施設のネットワーク ロケーション フィールドが正しい場所を参照することを確認するには、[Network Analyst] ウィンドウの [施設] を右クリックし、[ロケーション フィールドの再計算] → [すべて] の順にクリックします。
これで、この到達圏レイヤは、演習 10 で指定したライブ交通量対応のネットワーク データセットに関連付けられました。
- 米国およびカナダの太平洋標準時のゾーン外にいる場合は、自分のいるタイム ゾーンから太平洋標準時までの時間オフセットを知っておく必要があります。時間オフセットがわからない場合は、次の手順に従って決定します。注意:
Network Analyst では、解析を実行する必要がある日時に基づいて最適な参照データが選択されるため、通常は時間オフセットを決定する必要はありません。この手順で時間オフセットを調べるのは、解析にライブ交通量が使用されていることを確認するためです。
- [タイム スライダ] ボタン をクリックします。
[タイム スライダ] ダイアログ ボックスが表示されます。
- スライダのコントロールを使用できない場合は、[マップ上の時間を有効にする] ボタン をクリックして、コントロールを有効にします。
- [オプション] ボタンをクリックします。
[タイム スライダ オプション] ダイアログ ボックスが表示されます。
- [時間表示] タブをクリックします。
- [タイム ゾーン] ドロップダウン リストから、自分がいるタイム ゾーンを選択します。
- サマータイムを適用する場合は、[サマータイムを適用] をオンにします。
- [OK] をクリックします。
- [ライブ モード] ボタン をクリックし、スライダの時間ステップの間隔内でタイム スライダを現在の時間と日付に設定します。
- [タイム スライダ] ダイアログ ボックスに表示される日付と時刻をメモします。
- [オプション] ボタンをクリックします。
- [タイム ゾーン] ドロップダウン リストから [(UTC-08:00)太平洋標準時(米国およびカナダ)] を選択し、[サマータイムを適用] をオンにします。
- [OK] をクリックします。
- [ライブ モード] ボタン をクリックします。
- [タイム スライダ] ダイアログ ボックスに表示される日付と時刻を再度メモします。
- メモした 2 つの時刻から時間オフセットを計算します。
- [マップ上の時間を無効にする] ボタンをクリックして [タイム スライダ] ダイアログ ボックスを閉じます。
注意:タイム スライダは、ネットワーク解析レイヤの解析に関しては何の役割も果たしません。ArcGIS Network Analyst エクステンションにおけるタイム スライダの主な目的は、マップ表示で交通量を視覚化するために日時を指定することです。
- [タイム スライダ] ボタン をクリックします。
- [Network Analyst] ウィンドウのドロップダウン リストから [Live Service Area] を選択します。
-
[Network Analyst] ウィンドウの [解析レイヤ プロパティ] ボタンをクリックします。
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスが開きます。
- [解析の設定] タブをクリックします。
- 太平洋標準時(米国)を使用して、現在の時刻を [時刻] テキスト ボックスに入力します。
- [曜日] ドロップダウン リストから [今日] を選択します。
- [OK] をクリックします。
- [Network Analyst] ツールバーの [解析の実行] ボタン をクリックします。
ネットワーク解析レイヤに開始時刻(または終了時刻)を設定している場合、時刻は現地時間のタイム ゾーンを参照します。ネットワーク データセット内の各エッジは、タイム ゾーン ネットワーク属性を通してタイム ゾーンに関連付けられます。到達圏解析における施設などのネットワーク ロケーションは、配置されているエッジのタイム ゾーン ネットワーク属性から自動的にタイム ゾーンを検出します。2 つの施設が 1 時間のオフセットがある異なるタイム ゾーンにあり、解析の開始時間を午前 8:00 に指定した場合は、それぞれの施設の個々の到達圏が現地時間の午前 8:00 で計算されます。つまり、開始時間が実際には 1 時間ずれることになります。(解析が複数のタイム ゾーンにわたる解析設定は失敗する場合があります。このような限界については、各解析のヘルプ トピックで概要を説明しています)。
更新された到達圏ポリゴンが、マップ上および [Network Analyst] ウィンドウに表示されます。結果は、登録先のサービスから取得したライブ交通量データに基づきます。
同様の手順を使って、Network Analyst の任意の解析に対して、時間依存のネットワーク解析を実行できます。