ArcGIS Network Analyst エクステンションの基本用語
ここでは、ArcGIS Network Analyst エクステンションのヘルプを理解するための基本的な用語について説明します。重要度の高い用語から順番に記載されています。一部の用語では、さらに詳しい説明が記載されたトピックが紹介されています。
用語 |
説明 |
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交通ネットワーク |
交通ネットワーク(道路、歩道、鉄道網など)では、エッジ上を両方向に移動できます。ネットワーク上のエージェント(たとえば、道路上を移動しているトラックの運転手など)は、一般に通過の方向と目的地を自由に決定できます。 注意: ArcGIS では、交通ネットワークの最適なモデリングのためにネットワーク データセットを使用します。 注意: 河川網や公共設備ネットワーク(パイプラインや送電線など)をモデリングする場合は、ネットワーク データセットの代わりにジオメトリック ネットワークを使用します。 |
ソース フィーチャ |
ネットワーク データセットの作成時に使用するライン フィーチャとポイント フィーチャ。物理的なネットワークと見なされ、これらのフィーチャ内にはトポロジが存在しません。ネットワーク データセットは論理的なネットワークと見なされ、ネットワーク解析に必要なトポロジ関係が存在します。 |
ネットワーク データセット |
相互に接続され、無向フローをモデリングするネットワーク エレメント(エッジ、ジャンクション、ターン)の集まり。最も一般的な例は、道路網をモデリングするネットワーク データセットです。 ArcGIS Network Analyst エクステンションでネットワーク解析を実行するには、論理ネットワークであるネットワーク データセットが必要です。ネットワークと同じに見えるライン フィーチャクラスがすでに作成されている場合でも、やはりネットワーク データセットが必要になります。これは、ライン フィーチャがその接続先を認識していないのに対し、ネットワーク エレメントは認識しているためです。ネットワーク解析の実行時には、多数のネットワーク エレメントをスキャンし、目的地に到達するための経路をすばやく見つけなければなりません。シンプル ライン フィーチャの場合、検証するすべてのラインについて時間のかかる空間処理を実行しなければならないので、結果が返されるまでに長時間を要します。さらに、ライン フィーチャだけで複雑な接続を設定しようとすると、不可能ではないにしても、かなり大変な作業になります。解析時にネットワーク データセットをスキャンすれば、ネットワーク エレメントから正確な情報を取得できるので、解析処理にそれほど時間がかかりません。 ヘルプの記述では、「ネットワーク」と「ネットワーク データセット」が同じ意味で使用されることがよくあります。 |
ネットワーク エレメント |
ネットワーク データセットは、エッジ、ジャンクション、およびターンで構成されています。通常、これらの構成要素をネットワーク エレメントといいます。 |
ネットワーク属性 |
ネットワーク属性には、ネットワーク データセットに関する情報が格納されます。次の 4 種類の属性があります。
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ネットワーク コスト(インピーダンス) |
ネットワーク コストとインピーダンスは同じ概念を表します。エージェントがネットワーク エレメントを通過するたびに、何らかのネットワーク コストが課せられます。たとえば、ある都市から別の都市までの経路には、45 マイルのネットワーク コストが課せられます。 ネットワーク コストは自由に指定できますが、通常は距離や移動時間を使用します。ネットワーク解析では常に何らかのコストが最適化されるので、ネットワーク解析の実行時には、ネットワーク データセットに 1 つ以上のコスト属性が含まれている必要があります。たとえばルート解析では、2 つ以上のポイント間で、コストが最も小さい経路を検出します。状況によっては、複数のコスト属性が必要になる場合もあります。 |
エバリュエータ |
ネットワーク属性をネットワーク データセットに追加した後、その属性値を計算する必要があります。エバリュエータはこの計算を行います。 ネットワーク属性にはそれぞれ多数のエバリュエータがあります。ネットワーク属性には、ネットワークエレメント(ジャンクション、エッジ、ターン)ごと、およびソース フィーチャクラスごとに、それぞれ異なるエバリュエータが用意されています。さらに、各エッジ ソース フィーチャクラスには 2 つのエバリュエータがあります。エッジの From-To 側のエバリュエータと To-From 側のエバリュエータです。たとえば、道路フィーチャクラスとターン フィーチャクラスからなるネットワーク データセットにコスト属性を追加した場合、次の各要素のコスト属性値を計算するエバリュエータが使用されます。
ネットワークに追加するフィーチャの数が多くなれば、対応するネットワーク エレメントのコストを計算するため、より多くのエバリュエータが必要になります。 グループ内のすべてのエレメントに同じ値を割り当てる「定数エバリュエータ」、ソース フィーチャから値を取得し、その値を対応するネットワーク エレメントに割り当てる「フィールド エバリュエータ」など、さまざまな種類のエバリュエータがあります。 |
ネットワーク レイヤ |
ArcMap でネットワーク データセットがレイヤとして表される場合、「ネットワーク データセット レイヤ」(または簡単に「ネットワーク レイヤ」)と呼ばれます。 |
ネットワーク解析レイヤ |
ネットワーク解析レイヤ(単に「解析レイヤ」とも呼ばれます)は、ネットワークの問題を検証し、解決するためのフレームワークと考えることができます。 たとえば、ArcMap でルート(最小コストパス)問題を解析する場合は、ルート解析レイヤが作成されます。このレイヤは、アクティブなネットワーク データセットと自動的に関連付けられます。さらに、解析レイヤには、ストップの順序を最適化するか、リストどおりの順序で巡回するかなど、問題を詳細に定義するためのプロパティもあります。 ネットワーク解析レイヤには、ネットワーク解析タイプごとに事前定義された複数のネットワーク解析クラスも含まれます。たとえば、ルート解析レイヤには、ストップ、ルート、および各種バリアのネットワーク解析クラスがあります。起点/終点解析レイヤには、出発地、目的地、ライン、およびバリアのネットワーク解析クラスがあります。さらに、これらの解析クラスには、ユーザが指定した入力データ、および解析処理によって生成された出力データが格納されます。 |
ネットワーク解析クラス |
ネットワーク解析クラスはフィーチャクラスとテーブルで構成されます。フィーチャおよびフィーチャに格納されるレコードは、ネットワーク解析レイヤで使用する入力データと出力データとなります。たとえば、ルート解析レイヤの場合、ネットワーク解析クラスには、ユーザが指定したストップとバリア、および生成されたルート フィーチャが格納されます。 ネットワーク解析フィーチャクラスは、ArcMap のコンテンツ テーブルにサブレイヤとして表示されます。これらのフィーチャクラスはディスクではなくメモリに格納され、マップ ドキュメントに保存されます。 |
ネットワーク解析オブジェクト |
ネットワーク解析クラスに保存されるレコードとフィーチャを表す総称的な用語。データがフィーチャであり、ネットワーク上に配置されている場合は、より厳密に「ネットワーク ロケーション」とも呼ばれます。 |
ネットワーク ロケーション |
ネットワーク上に配置されているネットワーク解析オブジェクト、または単にネットワーク上のポイント。 |