ArcGIS のリニア リファレンス データセット
ArcGIS のリニア リファレンスでは、次の 2 種類の基本データ タイプを使用します。
- ルート フィーチャクラス
- イベント テーブル
ダイナミック セグメンテーションを使用することで、ルート フィーチャクラスのライン フィーチャ上にイベント テーブルのイベントが配置されます。
ルート フィーチャクラス
ルート フィーチャクラスは、測定基準が定義されているライン フィーチャクラスです。これらの測定値に基づいて、イベント、資産、状態などの位置がライン フィーチャ セット上で示されます。
ArcGIS では、ルートは、市街道路、高速道路、河川、パイプなどの線形地物を指しています。これらには一意な識別子が割り当てられ、それぞれのライン フィーチャ上に共通の測定基準が設定されます。
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簡単に説明すると、ルート フィーチャクラスのフィーチャ頂点には M 値(x,y,m または x,y,z,m)が含まれます。これらのメジャー付き座標は、ルート フィーチャの構成要素となります。ルート フィーチャクラスのライン フィーチャには、その位置を表す x,y(または x,y.z)座標に加え、ライン上のメジャー値(M)があります。
共通の測定系を持つルートの集まりが 1 つのルート フィーチャクラスとなります。このフィーチャクラスの各ルートには、一意な識別子も割り当てられます。同じ識別子を持つライン フィーチャは、同一ルートの一部であると見なされます。
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ルート フィーチャクラスは、ライン フィーチャクラスとしてジオデータベースに作成され、管理されます。カバレッジのルート フィーチャクラス、およびルート識別子とメジャー付きフィーチャを含むポリライン シェープファイルも使用できます。
ルート フィーチャの形状
ルート フィーチャはその形状と共に測定基準が保存されます。メジャー付きの各線分には、x、y、m(メジャー)値、または x、y、z、m 値が割り当てられます。特定の頂点のメジャー値が不明な場合、その m 値は NaN(Not a Number)として記録されます。次の図をご参照ください。
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単純なライン フィーチャは、1 本のパスからなるラインとして表されます。複雑なライン フィーチャは、複数のパスで構成されたラインとして表されます。
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ほとんどの場合、ライン フィーチャに沿って累積的に大きくなるメジャー値を使用しますが、常に一定のメジャー値や、ライン フィーチャに沿ってだんだん小さくなるメジャー値を使用することもできます。
メジャー値は、フィーチャクラスの水平座標系(および定義されている場合は垂直座標系)とは無関係です。つまり、メジャー値は、そのフィーチャクラスの x,y,z 座標と同じ単位でなくてもかまいません。たとえば、フィーチャクラスに保存されているフィーチャの座標系がユニバーサル横メルカトル(UTM)のとき、それらのメジャー値をフィート、マイル、または時間単位で保存することができます。
イベント テーブル
イベント テーブルには、ルート フィーチャ沿いに配置できる資産、状況、およびイベントに関する情報が保存されます。イベント テーブルの各行は 1 つのイベントに対応し、その位置は、特定の(識別可能な)ルート フィーチャ上のメジャーとして表されます。
イベントには、ポイント イベントとライン イベントの 2 種類があります。ポイント イベントはルート上の 1 地点(ポイント)を表し、ライン イベントはルートの一部分(ライン)を表します。
- ポイント イベント ロケーションでは、特定の 1 地点を表すメジャー値を 1 つだけ使用します(「I-91 の 3.2 マイル」など)。
- ライン イベントでは、始点メジャー値と終点メジャー値を使用してルートの一部分を表します(「I-91 の 2 マイル地点から 4 マイル地点まで」など)。
ルート イベントに 2 つの種類があるように、ルート イベント テーブルにもポイント イベント テーブルとライン イベント テーブルの 2 つがあります。すべてのイベント テーブルには、ルート識別子と、メジャー情報を格納するメジャー ロケーション フィールドが含まれている必要があります。ポイント イベント テーブルでは、特定の 1 地点を表すメジャー フィールドを 1 つだけ使用します。ライン イベントでは、2 つのメジャー フィールド(始点メジャー値と終点メジャー値)を使用して場所を表します。
ルート ロケーションとその属性は、共通のテーマに基づくイベント テーブルに保存されます。たとえば、制限速度、再舗装した年、現在の状態、事故発生状況が保存された 4 つのイベント テーブルを使用して、ルート フィーチャクラス上のイベント位置を動的に表すことができます。
ArcGIS 対応のテーブルであれば、どのような種類でもイベント テーブルとして使用できます。たとえば、INFO テーブル、dBASE テーブル、ジオデータベース テーブル、区切りテキスト ファイル、OLE DB 接続を介してアクセスするデータベース管理システム(DBMS)のテーブルを使用できます。
イベント テーブルの例
水文学者および生態学者は河川網上のリニア リファレンスを使用して、下図のように、さまざまな種類のイベントを表します。河川のルート フィーチャクラスでは、河川上にマイル単位でメジャーが設定されます。ポイント イベント テーブルとライン イベント テーブルには、ルート ID および各河川上での位置が記録されます。これらのイベント テーブルを使用して、ポイント イベントとライン イベントの位置を表すことができます。
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相対位置を使用したフィーチャの保存
リニア リファレンスを使用する場合、ライン フィーチャ上の位置は、ルート メジャー(既知の 1 地点からの距離)に基づいて表されます。たとえば、事故発生場所を示すとき、「1,659,060.25, 1,525,238.97」のような GPS 座標より、「州間高速道路の起点から 12 マイルの地点」などと表した方が便利です。
ライン フィーチャ上での位置を特定するには、何らかの測定基準が必要になります。ライン フィーチャと共に測定基準が保存されていれば、そのライン フィーチャ上の位置をメジャー値で表すことができます。
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ライン フィーチャ上の相対位置としてデータを保存することの利点は、データの読み取りやすさだけではありません。ライン フィーチャに関連する空間的現象をフィーチャ上に位置付けることもできます。たとえば、ベースマップがあまり正確でない場合、x.y 座標を使用して事故発生場所を指定すると、事故発生場所が適切に表示されない可能性があります。リニア リファレンスを使用すれば、このような心配はありません。