最適位置からテリトリーを作成

[最適位置からテリトリーを作成] では、シード ポイントを使用せずにテリトリーを作成できます。このコマンドは、基本単位レイヤの地理オブジェクトを同じウェイトでクラスタに分割し、各クラスタの最適な場所をテリトリー中心として選択します。クラスタは、基本単位レイヤのフィーチャの空間位置だけを使用して計算するか、空間位置と属性を組み合わせて計算できます。

空間位置は、地理オブジェクト（たとえば、郵便番号を表すポリゴン）の中心です。地理オブジェクトが集中しているエリアでは、クラスタの地理的サイズが小さくなり、これらのエリアに作成されるクラスタの数は多くなります。実際のデータのほとんどのソースは都市部または居住域に集中しているため、これらを使用してバランスの良いテリトリーを作成できます。都市部では、人口または収入が大きくなる代わりに、小さいテリトリーが多数作成されます。空間位置から計算されたクラスタの重心は、テリトリー中心として最適です。

等間隔のグリッド上で空間位置のみを使用してテリトリー中心を決定する場合、テリトリー中心は均一に配置されます。場所の実際の特性（人口が集中したエリアや、エリア内で最も多様性に富むセクションなど）は考慮されません。

実際のソースの境界に対して同じ手法を使用すると、サイズの違いに基づいて空間位置からクラスタが作成されます。密集度の高いエリアほどウェイトが高くなります。新しいテリトリー中心は、これらの最適な位置に配置されます。

クラスタの計算に属性値を追加する場合は、修正された距離を使用して密集度が計算されます。選択した属性値が最も大きくなるクラスタ エレメントが、最適なテリトリー中心として使用されます。

次の図は、セルのサイズが等しい場合の例です。色の暗いセルほど人口が多いことを表しています。セルのサイズが等しいため、属性のウェイトが主要なパラメータがとなります。空間位置と総人口の属性値によるクラスタリングでは、人口が最も多い場所に配置されるようにクラスタが作成されています。

空間位置と総人口の属性値によるクラスタリングで、郵便番号の密集度が高いエリアにクラスタと中心を作成します。結果は、人口が多く密集度の高い地域でより顕著になります。

[最適位置からテリトリーを作成] と [密度中心からテリトリーを作成] の違い

• [密度中心からテリトリーを作成] では、データセット全体の平均密度より密度が高いエリアにだけ中心が配置されます。密度の低いエリアは無視され、テリトリーの起点を計算する際には使用されません。このため、密集度の低いエリアには中心が配置されないことが保証されます。人口を使用する例では、人口の少ない地域が無視されます。
• [最適位置からテリトリーを作成] では、すべての基本単位レイヤ エレメントが使用され、人口の少ないエリアに対してサイズの大きいクラスタを作成できます。ビジネスによってはこれらのテリトリーが適さない場合もありますが、すべての地理的エレメントが考慮されるため、通常はほぼ均一な配置結果となります。

例として、ペンシルバニアの最も人口の多い地域に店舗を展開する場合を考えます。目標は、各店舗に最適な場所を決定することです。作成したテリトリーは、後でこれらの場所を分析する際に使用できます。次の画像は、[最適位置からテリトリーを作成] オプションを使用した場合です。

作成されたテリトリーのいくつかは理想的な場所に配置されています。ただし、市街地から離れた場所に配置され、他の店舗からの距離を考慮すると理想的でないテリトリーもあります。州全体のカバー率は良好ですが、店舗のネットワークをより密にする必要があります。これは、ペンシルバニア州内のすべてのフィーチャが計算に使用され、郊外地域のフィーチャによって中心の配置が都市部から引き離されたためです。次の画像は、[密度中心からテリトリーを作成] オプションを使用した場合です。

結果はさらに良好になりました。これは、テリトリーの中心が密集度の高いエリアに配置されているためです。店舗は州全体に配分されていませんが、最も機会が大きいのは市街地です。

許容値による最適化

次の計算式が使用されます。

N はテリトリーの最適数、Sum _k は指定した範囲または最大範囲での k 番目の変数の合計値、Capacity_k は k 番目の変数の許容値、Tolerance_k は k 番目の変数の許容範囲（0 ～ 0.99）を表します。

アルゴリズムは次のようになります。

1. 指定したエリア範囲または最大エリア範囲で、変数ごとに合計値を計算します。
2. 変数ごとにテリトリーの最適な数を計算します（合計/変数値）。
3. 許容範囲に基づいて各変数のウェイトを計算します（許容範囲は変数の重要度を表し、許容範囲が小さいほど変数の重要度は高くなります）。
4. 変数のウェイトを使用して、平均の最適数を計算します。