ArcGIS Help 10.2 - カスタムデータセットアップツール

概要

通常、[カスタムデータセットアップ] は顧客レイヤまたは店舗レイヤに対して使用しますが、ポイントレイヤとポリゴンレイヤを含む任意のレイヤでも使用できます。たとえば、空間オーバーレイを使用して区画レイヤに結合した売上データを、分析用に設定できます。また、独自の人口統計データ、推定、予測、ビジネス統計、または消費支出情報も使用できます。境界レイヤまたは結合したデータ内にある任意の変数を、このツールで新しい変数として再計算できます。

[カスタムデータセットアップ] ウィザードを使用して BDS レイヤを生成するには、さまざまな方法があります。このツールを適切に使用するには、BDS レイヤを何のために作成するのかを十分に理解することが重要です。たとえば、次のような内容です。

この BDS レイヤでレポートを実行することが目的なのか。
データの集計を行うだけなのか（[空間オーバーレイ] 分析ツールの使用）。
BDS レイヤを最初から作成するのか。その場合、ベースとなる適切な区画レイヤを用意しているか。
独自のデータを組み込むことが目的なのか。または、BDS レイヤまたはレポートに独自の変数を作成したいのか。
集計されたポイントデータ（顧客の売上データのポイントなど）を使用して BDS レイヤを作成し、データをベース区画レイヤに結合することが目的なのか。

入力の要件

このツールを使用するには、すべてのデータが関連付けられている既存のポイントまたはポリゴンシェープファイルか、カスタムデータに追加可能なベースとなるシェープファイル（郵便番号など）が必要です。

ウィザードの使用

このウィザードの強力なオプションでは、独自のデータからカスタム変数を作成したり、Business Analyst の既存の変数を再計算したりできます。このオプションは、総人口などの集計された変数のみで推奨されることに注意してください。中央値などの変数の再計算には、人口統計の計算式に関する十分な知識が必要です。

中央値などの変数を再計算する場合は、これらの人口統計の計算式が Business Analyst でどのように計算されるかを十分に理解する必要があります。Business Analyst に用意されているすべての人口統計データレイヤはあらかじめ設定済みで、不注意で設定が変更されないように読み取り専用になっています。これらのレイヤで、読み取り専用の設定を変更せずに変数の設定を変更しようとすると、メタデータ（*.xml）の変更を書き込みできないことを示すエラーが発生します。上級ユーザは、これらの Business Analyst レイヤのデフォルト設定を変更可能です。

注意:

独自のカスタムデータを使用して BDS レイヤを作成する場合は、作成する BDS レイヤと同じディレクトリにカスタムデータを保存することをお勧めします。この操作ではカスタムデータが境界レイヤに永続的に結合されないため、ファイルの保存先は重要になります。これらのファイルを移動するとリンクが無効になり、Business Analyst でファイルを使用できなくなります。

独自のデータを使用して BDS レイヤを作成するには、次の手順に従います。

手順:

[既存レイヤと外部データを使用して BDS レイヤを作成] を選択して、[次へ] をクリックします。
BDS レイヤの構築対象データに対応する、Business Analyst のベースとなる境界レイヤを選択します。たとえば、郵便番号レベルの売上から BDS レイヤを作成する場合は、ベースとなる境界レイヤとして郵便番号を選択し、ベースとなる境界レイヤの結合 ID として ID を選択します。

注意:

この ID は、結合するデータ内の適切な ID に一致する必要があります。
[追加] をクリックします。次のオプションのいずれかを選択して、カスタムデータを追加します。
- オプション 1: BDS レイヤに追加するレイヤまたはテーブルを選択します。このオプションでは、データベースに保存されたカスタムデータを使用して BDS レイヤが作成されます。このオプションを使用する場合は、データセットに含まれている地理的IDを使用して、前の手順で選択したベースとなる境界レイヤを結合可能であることを確認してください。
- オプション 2: 集計するポイントレイヤを選択します。このオプションでは、ポイントベースのデータ（ポイントシェープファイルに保存された売上データのポイントなど）を使用して BDS レイヤが作成されます。選択したポイントレイヤのデータは、前の手順で選択したベースとなる境界レイヤに空間的に結合されます。この方法は、売上などの集計可能なデータのみで推奨されます。中間値などの事前に計算された変数ではお勧めしません。
注意:

作成する BDS レイヤは、追加するカスタムデータと同じディレクトリに保存することをお勧めします。この操作ではカスタムデータが境界レイヤに永続的に結合されないため、ファイルの保存先は重要になります。これらのファイルを移動するとリンクが無効になり、Business Analyst でファイルを使用できなくなります。
データを選択したら、[次へ] をクリックします。

目的の変数を選択して、新しい BDS レイヤを作成します。カスタムデータまたは Business Analyst データセットに含まれるデータから、任意の変数の組み合わせを選択できます。

注意:

Business Analyst の変数を選択するときに、選択した変数を計算するために別の変数の追加が必要であることが通知される場合があります。

[割当て方法] では、区画の部分に応じて変数を按分する方法を決定します。区画を横切るように分析を行う場合は、分析エリア内にある変数の値だけが使用されます。変数に応じて、面積で按分するか、ブロックポイントレベルの 3 つの主要人口統計（人口、世帯数、または住戸数）のいずれかで按分するかを選択できます。標準の Esri 変数を選択した場合は、[割当て方法] が自動的に選択されます。独自のデータを選択した場合は、データのソースを反映するように [割当て方法] を変更してください。たとえば、変数が郵便番号別の売上で、世帯データをベースにしている場合は、[Households 2010（世帯 2010）] を選択します。
[利用可能な変数] には、使用可能な変数（カスタム変数を含む）がすべて表示されます。
独自のデータセットを構築している上級ユーザは、[カスタムデータパラメータのインポート] を使用して、メタデータの形式で保存されたデータを簡単にインポートできます。

オプション	説明
変数	変数の名前（最大 10 文字）。このフィールドには一意の値が含まれます。
カテゴリ	変数が属しているグループを識別する名前（たとえば、変数の「2010 Average Household Income（世帯平均収入（2010 年））」は「2010 Income（収入（2010 年））」カテゴリに含まれます）。
変数の説明	Business Analyst にデータを表示する際に使用される変数の説明（32 文字）。
代替変数の説明	Business Analyst にデータを表示する際に使用される変数の別の説明（32 文字）。アプリケーションの第 2 言語用に使用できます。
詳細説明	変数の詳細な説明。
集計	カスタムエリアでデータを集計する方法を示します。値は SUM または CALC のいずれかです。SUM は加算可能な集計項目（総人口）を表し、CALC は計算が必要であることを表します（世帯平均収入）。
割当て方法	ブロックをまたぐグループの按分に使用されます。値は、POPWGT_CY、HHWGT_CY、HUWGT_CY、または BUSWGT_CY のいずれかです。この変数は、カスタムエリアを作成するときに重み付けする場合に使用します。たとえば、0 〜 4 歳の人口では人口ウェイトの POPWGT_CY を使用し、農業事業ではビジネスウェイトの BUSWGT_CY を使用します。
使用されるフィールド	関連する計算式で必要な変数のリスト。10 文字の変数名を使用します。計算式が使用可能な場合に必要です。
式	カスタムエリアの計算に使用される計算式。集計方法が CALC の変数のみで必要です。
ウェイト	別の変数に基づいて、変数に重み付けします。
小数点以下の桁数	表示する小数点以下の桁数。
表示形式	レポートでデータの表示を書式設定するために使用されます。値は、COUNT、CURRENCY、PCT、または TEXT のいずれかです。小数部を除いてデータを表示する場合は COUNT を使用します。データに通貨記号を付加して小数点以下 2 桁まで表示する場合は、CURRENCY を使用します。データを小数点以下 1 桁まで表示してパーセント記号を付加する場合は、PCT を使用します。データをそのまま表示する場合は TEXT を使用します。
パーセントベース	パーセントを計算する際の分母。
インデックスインジケータ	変数をインデックス化できるかどうかを示します。値は TRUE または FALSE のいずれかです。
インデックスベース	変数のインデックスを計算する際のベースとなるエリア値。10 文字の変数名を使用します。

上級ユーザは、右側のボックスを右クリックして [上級モード] を選択し、追加の変数オプションにアクセスできます。3 つの上級カテゴリがあります。

[カテゴリ] - Business Analyst のウィザードで変数リストに変数を表示する方法を決定するテキストの説明。
[ウェイト] - 別の変数に基づいて変数に重み付けを行います。たとえば、ブロックグループレイヤで、世帯総数に基づいて家具に対する消費支出を重み付けできます。これにより、商圏における世帯あたりの家具への支出額を確認できます。
[集計方法] - 変数値を組み合わせます。選択できるのは、値の集計、平均値の計算、最小値の使用、最大値の使用、中間値の計算、標準偏差の計算、または偏差の計算です。

手順:

新しい計算フィールドを作成します。

たとえば、総人口を面積で除算して人口密度フィールドを作成できます。新規フィールドの計算に必要なすべての変数が、前のダイアログボックスの選択したフィールドのリストに表示されることを確認してください。このウィザードでカスタム計算式を作成する際に、VBScript の関数を使用する必要があります。

新規変数を作成するオプションでは、次に示す [新規変数を作成] ダイアログボックスの各ボタンを使用して、カスタム変数を作成、編集、およびインポートできます。
標準のフィールド演算機能または VBScript を使用して、新しい計算を作成します。

次に示す 2 つの例は、BDS レイヤを作成するために計算された変数のサンプルです。

1 つ目の例は、2 つの人口群の単純な加算です。
```
ReturnValue ( GetValue("POPU5_CY") + GetValue("POP5_CY") )
```

2 つ目の例はもう少し複雑で、占有率を計算しています。これは、ゼロ除算のエラーを防ぐ簡単な関数です。

Dim hh
hh = GetValue("TOTHH_CY")
Dim sales
sales = GetValue("SALES")
if (hh > 0) then
ReturnValue ( 100 * (sales / hh) )
else
ReturnValue(0)
end if

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