店舗分布の中心を検索
概要
[店舗分布の中心を検索] 解析では、顧客ポイントの最適地理的中心に重心が作成されます。複数の地理的中心が必要な場合は、クラスタリングを使用することもできます。
この重心は、以下のいずれかに基づいて算出できます。
- 顧客の数(地理的な位置だけを考慮)
- 重み付けされた値(売上や訪問数など)
K 平均アルゴリズムによるクラスタリング
[店舗分布の中心を検索] 解析では、K 平均法と呼ばれるクラスタリング アルゴリズムが使用されます。K 平均法により、ポイント データベースから地理的集中が検出され、その中心点が求められます。クラスタ パーティションの特定が終了した後、すべてのポイントが最近接の地理的中心に関連付けられるまで処理が繰り返されます。シード ポイントがランダムに抽出されるため、同じポイントと範囲で解析を再実行した場合に若干異なる結果になることがあります。
入力の前提条件
数値データを格納できるポイント レイヤが必要になります。
出力例
地理的位置に基づいて単独の [店舗分布の中心を検索] 解析を実施する例
以下の画像は、単独の [店舗分布の中心を検索] 解析の実施例を示します。白のプラス記号で示された位置は周辺の顧客ポイントの地理的位置に基づいており、すべての顧客ポイントの地理的中心になっています。
顧客数に基づく重心の算出方法の詳細
顧客数に基づいて重心を算出すると、それぞれの顧客ポイントが同じ値になります。重心はすべての顧客の均衡点を意味するため、顧客のおおまかな中心点に配置されます。顧客が一方に密集している場合は、重心がその方向に引っ張られます。
実際の例:既存顧客の居住地に基づいて新しい店舗の場所を探す
スポーツ用品店のチェーンを新しい市場となる地域に展開しようと考えているとします。既存顧客のプロファイルから、人口統計的に限られた層の人々(ゴルフをしている高収入で教育水準の高い人々)が商品を購入していることが判明しています。
まず、展開する市場の中で人口統計プロファイルが似ている世帯の郵送先名簿を購入し、[顧客の設定ウィザード] を使用してジオコーディングを実施した後、見込み客の数に基づいて重心を算出します。この結果として求められる重心が新しいロケーションを探し始めるのに適した場所になります。
地理的位置に基づいてクラスタ化された [店舗分布の中心を検索] 解析を実施する例
以下の画像は、ターゲットで示された 4 カ所の異なるポイントにクラスタ化された [店舗分布の中心を検索] 解析の実施例を示します。
以下の画像では、クラスタ化されたそれぞれのポイントから均等に分布された地域がティーセン ポリゴンで視覚化表示されています。
加重値に基づいてクラスタ化された [店舗分布の中心を検索] 解析を実施する例
以下の画像は、クラスタ化された地理的位置(ターゲットで示す)に基づく [店舗分布の中心を検索] 解析と重み付け因子が適用された位置(黒色の点で示す)に基づく [店舗分布の中心を検索] 解析の違いを示しています。この例では、それぞれの顧客ポイントで定められた金額(ドル)が重み付け因子になっています。黒色の矢印は、重み付け因子により、顧客ポイントのクラスタ化された地理的中心が大きいフィーチャに向かって「引っ張られる」ことでどのように移動していくかを表しています。緑色の円で示された大きいフィーチャは、それぞれの数値属性(売上高)を単純に図形で表現したものです。売上高が多いほど、緑色の円が大きくなります。これは [店舗分布の中心を検索] ツールに組み込まれていませんが、シナリオをより明確に表現する機能として ArcGIS レイヤ シンボルに導入されています。
加重値に基づく重心の算出方法の詳細
加重値に基づいて重心を算出する場合は、それぞれの顧客が個別の値を持っていることが考慮されます。この場合の重心は、すべての顧客の中心点になるのではなく、加重値を満たす顧客の中心点になります。
たとえば、顧客売上に基づいて重心を算出するとします。顧客が 100 ドルを支払った店舗のある場所は、顧客が 1 ドルしか支払わなかった店舗のある場所よりも 100 倍の価値があると見なされます。重心を算出すると、この重み付けにより、重心が重要度の高いポイントに向かって引っ張られます。
加重値(このケースでは、売上)に基づいて重心を算出する場合は、図中の重心の位置に注目してください。重心がすでに顧客ポイントの中心に存在せず、多額の金額を支払った顧客の方向に移動しています。
実際の例:加重値に基づいて新しい店舗の場所を探す
2 店の銀行支店の建物賃貸借期間が本年度末で満了になるとします。賃貸借期間を延長する価値があるかどうかを判断したいと考えています。各支店の顧客群を使用して、訪問回数または総預金で重み付けされた重心を算出します。結果として求められた重心と実際の支店の場所を比較することができます。支店の場所が重心から極端に離れている場合は、賃貸借期間を延長するのではなく、別の物件を探した方が賢明な対応であると判断できます。
ビジネス面で重心を活用する別の例を以下に挙げます。
- ある高級紳士服店が賃貸契約の満了に伴い、長年にわたって営んできた場所から立ち退くことになりました。この紳士服店は、新しい場所を探す基準として、年間総売上高で重み付けされた顧客データベースを使用しています。
- 迅速な自動車のオイル交換を行っているフランチャイズ店では、既存顧客の勤務先住所を活用し、顧客の職場の近辺に最適な場所を探して新しい店舗を構えるようにしています。
- ある銀行では、住宅担保ローン、自動車ローン、CD、投資など、製品の種類ごとに重み付けされた重心を算出し、それぞれの重心に近い場所に支店を置いてその製品を専門に扱っています。