VMware での ArcGIS Server サイトの展開
VMware を使用して、仮想環境に ArcGIS Server を展開できます。Esri は、vSphere および vCenter バージョン 4 および 5 でこれを公式にサポートしています。サポートされるバージョンの最新のリストについては、「ArcGIS 10.1 for Server のシステム要件」をご参照ください。他の仮想化技術を使用する場合は、下記の一般的な手順が役に立つ可能性があります。
ArcGIS Server を物理ハードウェア上に展開する場合とほとんど同じやり方で、VMware を使用して ArcGIS Server サイトを展開します。Windows と Linux の両方をサポートしています。ワークフローは下記のとおりです。
- インストールした ArcGIS Server を使用して、VMware テンプレートを作成します。
- テンプレートから仮想コンピュータ(VM))を起動し、コンピュータの名前を変えて再起動します。
- VM 上に ArcGIS Server サイトを作成します。
- また、追加の VM を起動してこれらをサイトに参加させることもできます。
- サービス、アプリケーション、必要に応じて ArcGIS Web Adaptor を構成します(ArcGIS Web Adaptor はサイトをエンタープライズ Web サーバに統合します)。
ここでは、VMware 上に ArcGIS Server を展開するときの留意事項の一部を説明しています。
インストールした ArcGIS Server の使用による VMware テンプレートの作成
VMware テンプレートは、仮想コンピュータ(VM)のマスタ コピーであり、このテンプレートを使用して追加の仮想コンピュータを作成しプロビジョニングすることができます。VMware 上に ArcGIS Server を展開するときは、まず ArcGIS Server がインストールされている VMware テンプレートを作成する必要があります。テンプレートを作成する手順は、VMware のマニュアルで説明されています。
テンプレートを作成する際は、次の点に注意してください。
- ArcGIS Server をインストールして認証する必要がありますが、テンプレート上に ArcGIS Server サイトを作成する必要はありません。サイトは、実際の VM を起動した後に作成します。
- 必要に応じて、GIS データをテンプレートに読み込むことができます。これにより、起動した各 VM で使用できるデータのローカル コピーが作成され、データを読み込む時間を節約できます。各 GIS サーバ上のデータのローカル コピーを参照することは、適切なシナリオにおけるパフォーマンスの点で効果的なアーキテクチャでもあります。
- Windows では、ArcGIS Server はオペレーティング システムの起動時に自動的に起動するように構成されています。Linux では、これを手動で構成する必要があります。
ArcGIS Web Adaptor は仮想環境と互換性があり、VMware 上で実行したり、VMware 上で稼働しているサイトに接続したりするために特別な構成は不要です。可能な場合は、組織の既存の Web サーバ コンピュータに Web Adaptor をインストールすることをお勧めします。
テンプレートからの VM の起動とコンピュータの名前の変更
テンプレートを使用して、ArcGIS Server がインストールされた VM を起動します。
VM を展開するときは、VM にはデフォルトでテンプレートの名前が付けられます。続行する前に、コンピュータの名前を変更し、再起動する必要があります。コンピュータの名前を変更する手順については、オペレーティング システムのマニュアルをご参照ください。たとえば、Windows Server 2008 を使用しているコンピュータの名前を変更する手順については、ここをご参照ください。
コンピュータの名前を変更しても、ArcGIS Server や ArcGIS Server アカウントに影響はありません。
この時点で、必要に応じてコンピュータをネットワークに追加できます。これにより、コンピュータはファイル共有、Web サーバ、および他の GIS サーバを参照できます。
ArcGIS Server サイトの作成
以上で、VM 上の ArcGIS Server Manager にアクセスして、[新規サイトの作成] ボタンをクリックして、ArcGIS Server サイトを作成することができます。
サイトに複数の GIS サーバが参加する場合は、構成ストアとサーバ ディレクトリを指定するときに共有ネットワーク パスを使用してください。このシナリオでは、可用性の高いファイル サーバ上に構成ストアとサーバ ディレクトリを置く必要があります。構成ストアが失われるか破損し、回復の可能性がない場合は、新しいサイトをもう一度作成する必要があります。
最初の VM を起動してサイトを作成した後、必要に応じて追加の VM を起動し、Manager を最初に開いたときに表示される [サイトに参加] ボタンを使用してサイトに参加させることができます。
この時点で、サイトで稼働させる必要があるサービスを構成することもできます。必要に応じて、Web Adaptor をサイトに接続し、サービスを参照する Web アプリケーションを展開し、更新できます。
サイトのバックアップと復旧
VMware などの仮想環境の利点は、サイトのバックアップや問題が発生したときの復旧が容易であることです。ArcGIS Server サイトのバックアップと復旧のやり方は、単一コンピュータのサイトと複数コンピュータのサイトでは異なります。
単一コンピュータのサイトでのバックアップと復旧
GIS サーバがある自己完結型サイトでは、構成ストア、サーバ ディレクトリは同一のコンピュータ上にあり、バックアップとして VM のスナップショットを使用できます。サイトを作成した後だけスナップショットを作成し、すべてのサービスとアプリケーションをセットアップしてください。オペレーティング システムの更新プログラムの適用やサービスの新しいグループの公開など、サーバで大きな変更を行う前後にスナップショットを作成することをお勧めします。
サイトが停止または使用不可能になった場合は、スナップショットを復元します。
複数コンピュータのサイトでのバックアップと復旧
複数の GIS サーバを使用してサイトを稼働させている場合は、バックアップにスナップショットを使用する必要はありません。代わりに、応答していないコンピュータが見つかった場合は、ArcGIS Server Manager を使用してサイトからそのコンピュータを手動で削除することができます。
次に、VMware テンプレートを使用して新しい VM を起動します。前述のようにコンピュータの名前を変更して再起動します。次に、Manager を開いたときに最初に表示される [サイトに参加] ボタンを使用して、この VM を ArcGIS Server サイトに参加させます。
新しい VM がサイトに参加したら、VM は必要なすべての情報を構成ストアとサーバ ディレクトリから収集します。構成ストアとサーバ ディレクトリを可用性の高いコンピュータに維持することが重要な理由はこの点にあります。
必要に応じて、ArcGIS Server Administrator API を使用して、サイトからのコンピュータの削除およびサイトへのコンピュータの参加をスクリプト化することもできます。