グローブ サービスのオーサリングのヒント
グローブを ArcGIS Server で使用できるようにするには、ArcGlobe でグローブをオーサリングし、サーバに公開してから、作成したグローブ サービスをクライアント アプリケーションで使用する必要があります。グローブ サービスを使ってできることの多くは、初期のオーサリング段階で準備する必要があります。グローブをサービスとして公開する際に役立つ注意事項を以下に示します。
グローブ ドキュメントを公開したら、グローブを調査して、見落としてしまったオーサリングの問題やパフォーマンスの問題がないかを確認できます。「グローブの解析」を使用すると、公開前にパフォーマンスの改善点を迅速に特定できます。
デフォルトの ArcGIS Online レイヤを含む、グローブ サービス レイヤの削除
グローブ サービスを別のグローブ サービス内に埋め込むことは、一般的にパフォーマンスに悪影響を及ぼし、古いキャッシュに問題が生じる原因にもなります。別のグローブサービスをエンドクライアントのアプリケーションに追加したい場合、アプリケーション内でそのサービスに直接接続する必要があります。
ArcGlobe のデフォルト グローブには、ArcGIS Online サービスのグローブ サービス レイヤが含まれることに特に注意してください。組み込みの解析ツールでは、グローブ サービスを公開する前にこれらのレイヤを削除する必要があります。
ビューアに、独自のレイヤとともに ArcGIS Online コンテンツを表示したい場合は、ArcGlobe ドキュメント、3D ArcReader ドキュメント、または ArcGIS Explorer マップを作成して、次のレイヤを追加する必要があります。
- 公開したグローブ サービス
- ArcGIS Online レイヤ(ArcGIS Online サービスへの接続方法とグローブへのレイヤの追加方法に関する情報を取得します。)
- その他追加したいサービス
このドキュメントは Web ページにポストしたり、ArcGIS Online を介して共有したりすることができます。このワークフローにより、クライアントが最も効率的な方法で各グローブ サービスを取得するようになります。
公開するグローブ サービスの数が多い場合は、デフォルト グローブが ArcGIS Online レイヤで始まらないように、ArcGlobe の設定を変更する必要があります。これを実行するには、[カスタマイズ] → [ArcGlobe オプション] → [デフォルト レイヤ] の順にクリックします。
レイヤに縮尺範囲を指定したレンダリングを設定
レイヤに距離範囲を設定して、グローブが拡大/縮小されたときに不要なレイヤが描画されないようにします。データ量が多いレイヤや非常に詳細なレイヤを描画させるのは、グローブが大きな縮尺に拡大されたときだけでよいでしょう。[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [一般] タブを使用して、距離範囲を設定します。
レイヤのシンボルの単純化
複雑なシンボルは描画に時間がかかります。可能であれば、シンプル ライン シンボルとシンプル塗りつぶしシンボルを使用し、マルチレイヤ シンボル、複雑な破線パターン、アウトラインを含むシンボルは避けてください。
ラスタ圧縮の使用
[レイヤ プロパティ] ダイアログ ボックスの [キャッシュ] タブには、ラスタ圧縮のためのオプションが含まれています。ArcGlobe は、JPEG と DXT の 2 種類の非可逆圧縮を提供します。イメージ データに圧縮を使用すると、イメージの色の分布が空間的に平均化され、キャッシュが占有するストレージ領域が少なくなります。
JPEG 圧縮形式は、データ タイルを JPEG 形式で圧縮することにより、生成されるキャッシュのサイズを減らします。ArcGlobe では、使用する圧縮率を制御することができます。これは、イメージ データの相対品質として示されます。通常は、デフォルトで推奨される 75% の品質で妥当な結果が得られます。
DXT 圧縮は、もう 1 つの非可逆圧縮形式であり、グラフィック カード ハードウェアのドライバによって直接サポートされています。DXT で圧縮されたタイルは、高解像度のイメージ データに最適です。DXT で圧縮されたタイルは、メモリに読み込まれたときにサイズが増えないのでビジュアル パフォーマンスを向上させ、メモリ容量に制限のあるクライアントの使用を可能にします。ただし、ディスク上の DXT 圧縮データのタイル サイズは、品質によっては、JPEG で圧縮されたタイルよりもかなり大きい場合があります(通常、DXT 圧縮データは対応する JPEG 圧縮タイルの 8 ~ 12 倍の大きさです)。
一部のサーバ クラス コンピュータ(特に古いコンピュータ)では、ハードウェアベースの DXT タイルの圧縮をサポートするグラフィック カードが搭載されていない場合があるので注意してください。このため、ArcGlobe アプリケーションと ArcGIS Server には、データ キャッシュを DXT 圧縮タイルとして圧縮できるソフトウェアベースのエミュレータが搭載されています。
ピクセル値階級の 16 ビットへの圧縮
ピクセル値階級の 16 ビットへの圧縮は、ラスタ表示を 65,536 色に制限するデフォルト設定です。画像のレイヤ プロパティを開いて、[キャッシュ] タブをクリックし、ラスタ データ設定にアクセスします。この設定を使用することが推奨されます。Hi-Fi(高画質)イメージが必要な場合は、24 ビット色解像度のみを使用してください。
この設定を使用して、ラスタ サーフェスの標高範囲を 16 ビットに圧縮します。この設定を選択せずに、32 ビットの範囲を使用することが適しているのは、標高ソースの垂直方向の誤差が 1 メートル未満の場合に限られます。
[ArcGlobe オプション] ダイアログ ボックスの [圧縮] タブを使用すると、デフォルトで、すべての新しい画像および標高レイヤが 16 ビット圧縮で追加されます。この設定は、レイヤベースの設定ではなくアプリケーション設定であるため、この設定を変更すると、これ以降のすべての ArcGlobe ドキュメントに適用されます。
ラスタ レイヤのセルの最小サイズを大きくする
ラスタ データの解像度が非常に高い場合には、セルの最小サイズを徐々に大きくして、データ キャッシュのサイズを減らすことができます。画像のレイヤ プロパティを開いて、[キャッシュ] タブをクリックし、ラスタ解像度設定にアクセスします。セルの最小サイズを、データとユーザのニーズに適したサイズのうち、最も大きい値に設定します。
使用しないレイヤの削除
グローブ サービスの一部としてふさわしくないレイヤがグローブ ドキュメントに含まれていないことを確認します。ドキュメントの目的に関係ないデータがグローブに含まれていないことを確認すると、他のユーザの操作性と全体のパフォーマンスが向上します。
ArcGIS Server の権限の確認
ArcGIS Server でグローブ サービスを公開する前に、次のことを明示的に実行する必要があります。
- ArcGIS Server アカウントに、グローブ ドキュメントのレイヤが参照するデータへの権限を割り当てます。このプロセスの詳細については、「データを ArcGIS Server でアクセス可能にする」をご参照ください。
- ArcGlobe でデータを ArcGIS Server に登録します。データを登録すると、グローブ ドキュメントが参照するデータに ArcGIS Server がアクセスできることを確認できます。未登録の場所からデータを参照するグローブ サービスを公開しようとすると、公開処理中にデータがサーバにコピーされます。これらの各シナリオの詳細については、「ArcGIS Server へのデータ登録について」をご参照ください。
グローブ キャッシュの作成
現実的で適用可能な最大のデータ キャッシュを生成する必要があります。データ キャッシュにタイルがすでに存在する場合は、サービス時点で ArcGIS Server はタイルを作成する必要がなく、クライアントの要求時にタイルをサービスします。実際のキャッシュは、マップをサービスとして公開した後に実行されます。これが、サービスに最適なモードです。
ArcGlobe ドキュメントをサービスとして公開したら、次のキャッシュ方法をお勧めします。
- 標高としてのラスタ レイヤは、グローブ サービスとして使用される前に完全にキャッシュされる必要があります。標高レイヤは、オンデマンドのタイル作成をサポートしていません。
- グローブ サービスとして使用される前に、フィーチャ レイヤの完全なデータ キャッシュをベクタとして作成することを強くお勧めします(ベクタとして描画される立ち上げポリゴン、マルチパッチ、2D ラインおよびポイント フィーチャなど)。フィーチャの完全なデータ キャッシュをベクタとして作成することは、高速プロセスであるため、最適な結果を得るためにもお勧めします。ただし、これらのレイヤには、オンデマンドのキャッシュも利用可能です。
- 画像としてのラスタおよびラスタ化されたフィーチャの場合、必要に応じて、パフォーマンスを最適化するためにキャッシュを作成します。ラスタ化されたフィーチャでは、部分キャッシュの作成が可能で、ユーザが最も頻繁に使用すると思われる詳細レベルを含める必要があります。
マップ サービスおよびグローブ サービスのオーサリングに関するその他の一般的な注意事項については、「ArcGIS Server のためのマップ作成の注意事項」をご参照ください。