ファブリックの最小二乗アジャストを実行するための最適な方法
このトピックは、ArcGIS for Desktop Standard および ArcGIS for Desktop Advanced にのみ該当します。
プラン(測量記録)と一致しない計測値を持つデータに、最小二乗アジャストを実行することはお勧めしません。計測値がプラン(測量記録)と一致しない場合、計測値が実際に不正確なのか、正確なのかを区別するのは困難です。最小二乗アジャストを実行すると、ネットワークが事前に調査され、ネットワークの最適な解決方法に合わないラインを持つパーセルが特定されます。この最小二乗アジャストの結果は、適用すべきではありません(つまり、[最小二乗アジャスト サマリ] ダイアログ ボックスの [了解] ボタンをクリックしないでください)。
最小二乗アジャストは、単純にパーセル ネットワークをコントロール ネットワークに変換するためにも使用できます。ただし、これが可能なのは、パーセル ネットワークをコントロール ネットワークに変換するときの変換残余または適合確認の残差が小さい場合に限られます。後で最小二乗アジャストを実行し、パーセルのディメンションをチェックします。
品質の低いデータや信頼性の低いデータを使う場合に最小二乗アジャストを実行する
品質の低いデータや信頼性の低いデータを使う場合、最初の最小二乗アジャストを実行して適用する前に、まずパーセル ファブリックに新しいパーセル データを入力することをお勧めします。1 つまたは 2 つの大きな新しいサブパーセルを、プランに一致する計測値とともに入力すると、そのサブパーセルと周囲のデータに最小二乗アジャストを実行できます。このようにして、新しく入力したサブパーセルに適切な正確度カテゴリ(意味のある正確度カテゴリ)を適用し、サブパーセルの周囲のパーセルに低い正確度カテゴリ(正確度カテゴリ 6 など)を適用することができます。これにより、最小二乗アジャストの作業に使用できる正確度を持つ信頼性の高い測量計測値が得られ、適切なデータと周囲の信頼性の低いデータを比較する際の基準にできます。信頼性の高いサブパーセルのデータは、信頼性の低いデータよりもアジャストの結果により大きな影響を及ぼし、より起こりうる、現実的な座標が生成されます。
アジャストの作業に使用できる信頼性の高い測量データの基準があるため、移行されたデータのどのパーセル ラインが正確であるか、つまり、どのパーセル ラインが解決方法に合い、どのパーセル ラインが合わないかを、より適切に特定できるようになります。最小二乗アジャストに、適切なデータという基準がないと、アジャストの結果は信頼性の低いものになります。
このように、最適な方法は、新しいパーセル データを入力する際に、パーセル ファブリックを小さく分けてアジャストすることです。新しいパーセル データを入力していくにつれて、アジャストの結果はより信頼性が高く、正確なものになり、ネットワークが安定します。
ファブリックの品質の評価
アジャストを実行する際には、過失誤差がなく、コントロールの座標が正確であることを、アジャスト サマリで確認することをお勧めします。クローズ ポイントとライン ポイントのエラーを調べることにより、ファブリック ネットワークのデータの不正確さと接続性の問題が明らかになります。クローズ ポイントのエラーは、単一ポイントにマージすべきと考えられるポイントがあることを示します。ライン ポイントのエラーは、ライン ポイントが指定された許容値よりも大きな距離でラインからオフセットされていることが原因で、データが不正確になっていることを示す場合があります。クローズ ポイントとライン ポイントのエラーは、さらにアジャストを行う前に修正する必要があります。
ファブリックの品質やコントロール ポイントの整合性を判断するためのもう 1 つの便利な方法は、2 ~ 3 個のコントロール ポイントを非アクティブにしたままアジャストを実行することです。非アクティブなコントロール ポイントに対応するファブリック ポイントが、予想される許容値の範囲内で非アクティブなコントロール ポイントの位置に合致する場合、アジャストは成功していることを示します。非アクティブなコントロール ポイントで、大きな不一致が見られる場合は問題です。コントロール座標が不正確であるか、パーセルの計測値の一部が誤っているか、ネットワーク ジオメトリの接続性が不十分であると考えられます。一部のパーセルのラインが疑わしい場合は、通常、アジャスト レポートに表示されます。問題の原因が明らかになり、修正されるまでは、作業を継続するべきではありません。大半のアジャスト レポートでは、多くの場合、ファブリック データまたはコントロールの問題が予想外の大きなエラーとなっています。
アジャストが十分に行われると、パーセル ジオメトリが測量計測値の実際の精度に見合うものになるだけでなく、パーセル コーナーの最も起こりうる座標も生成されます。最初の段階で最小二乗アジャストを呼び出し、頻繁に実行することにより、問題があるデータをファブリックに入力するとすぐに警告を受け取ることができます。
収束
アジャストのエラーが解決されたら、アジャストは収束し、ファブリックの計測値の実際の品質についての役立つ情報が表示されます。最小二乗アジャストの収束は、連続してアジャストが繰り返された(アジャストの実行と適用を繰り返した)後に、平均座標シフトがゼロの場合や変化しない場合に発生します。
冗長性
冗長なパーセル ネットワークでは、最小二乗アジャストによって最適な解決方法を決定し、統計的に疑わしいラインにフラグを追加することができます。[アジャストの統計サマリ] の下部にある [最小二乗アジャスト サマリ] ダイアログ ボックスで、[冗長性] の値が [不明の数] の値よりも大きくなっている必要があります。
アジャストのエリア
ファブリックの最小二乗アジャストは、マップで選択されたパーセルのグループ、またはファブリック ジョブのパーセルで実行されます。最小二乗アジャストの実行で最適な結果が得られるのは、アジャスト エリアが冗長な計測値を持つバランスのとれたジオメトリック シェープであり、コントロールが均等に分配されている場合です。適切なコントロールがない細長いエリアや、最小限の冗長性(接続性)しかないエリアの場合、満足な結果が得られません。これらの問題は、コントロールをより系統的に配置し、より高い接続性を持つ密接なパーセル ネットワークにすることによって解決されます。状態の悪いパーセル ファブリックに測量データとコントロールを追加すると、再調整によって、パーセル ファブリックの正確度と安定性が徐々に改善されます。
パーセル ファブリックに新しいパーセルを入力する
一般的に、新しいパーセルをパーセル ファブリックに入力する際、20 ~ 30 のパーセルが完了したら、最小二乗アジャストを実行することをお勧めします。パーセルの閉合差により、パーセルが組み立てられる順序によって、ファブリックの形状が変わります。これは、より多くのパーセルをファブリックに結合すると、結合中に残差が大きくなっていくことからわかります。アジャストを実行することにより、これらのエラーは分散され、新しいパーセルは、アジャストされたファブリックに厳密に合致するようになります。さらに、パーセルの組み立て中にアジャストをかなり頻繁に実行すると、アジャストが収束して最適な解決方法を決定するまでに必要な繰り返し回数が減ります。