マップ サービス プロパティの設定
このトピックでは、ArcMap の [サービス エディタ] を使用して、マップ サービスについて設定できるプロパティについて説明します。それぞれのカテゴリで利用可能なプロパティの説明については、以下の各セクションをご参照ください。
一般機能
[一般] タブを使用して、マップ サービスに関する情報を収集し、全般的なプロパティを設定します。
接続: マップ サービスを GIS サーバで公開するときに使用する接続タイプが表示されます。サービスを公開するのに十分な権限を付与する次の 2 つのオプションがあります。公開者接続用の [GIS サービスを公開する] または管理者接続用の [GIS サーバを管理する] です。これらの接続タイプの詳細については、「ArcGIS for Desktop での ArcGIS Server への接続について」をご参照ください。
サーバのタイプ: マップ サービスの公開先となる GIS サーバのタイプが表示されます。次の 2 つのタイプがあります。ArcGIS Server および ArcGIS Spatial Data Server です。さらに、ArcGIS Online でホストされるサービスに自身のサービスをホストさせることも選択できます。詳細については、「ArcGIS を使用してサービスを公開する方法」をご参照ください。
サービスのタイプ: GIS サーバへ公開するサービスのタイプです。
パラメータ
[パラメータ] タブを使用して、マップ サービスの基本的なパラメータを設定します。たとえば、次のものがあります。
マップ ドキュメント: サーバに公開されるマップ ドキュメントの絶対パスです。
アンチエイリアス: オブジェクトのエッジ付近の前景色と背景色をブレンドして、境界線が滑らかに見えるようにするグラフィックス手法です。マップ表示に不要なアーチファクト(ギザギザのライン、波状のラインやバンド、モアレ パターンなど)が表示される場合に、このオプションを使用できます。
次のオプションを使用して、マップ サービスのニーズに合ったグラフィックス効果とパフォーマンスを設定します。
なし: アンチエイリアスを実行しません。
最速: 速度の面で最適化された、最小限のアンチエイリアスが実行されます。
高速: 速度の面で最適化され、[最速] で達成されるものよりも品質が高い、部分的なアンチエイリアスが実行されます。
個別: 速度と品質の適度なバランスが取れたレベルです。
高品質: 最高品質のアンチエイリアスが実行されます。このオプションでは、レンダリングには最も長い時間がかかります。
マップ表示を明瞭にするためのアンチエイリアスが不要な場合は [なし] を使用します。このオプションでは最高のパフォーマンスが実現されるからです。
テキストのアンチエイリアス: テキストのアンチエイリアスは、文字のギザギザを減らすために、テキスト フォントのエッジをブレンドするプロセスです。マップ描画のパフォーマンスは、テキストのアンチエイリアスの影響を受けません。
次のオプションを使用して、マップ サービスのニーズに合ったテキスト効果とパフォーマンスを設定します。
なし: テキストのアンチエイリアスを実行しません。
個別: テキストのアンチエイリアスは、フォント タイプによって決定されるとおりに実行されます。個々のフォントには、フォントの描画にアンチエイリアスを使用するサイズを指定するパラメータが、フォント作成者によって作成されています。
すべて(推奨): 個々のフォント パラメータに関係なく、テキストは常にアンチエイリアスを使用して描画されます。これは推奨設定です。
マップ表示を明瞭にするためのテキストのアンチエイリアスが不要な場合は [なし] を使用します。このオプションを使用すると、ディスク上の画像サイズが小さくなるからです。
サーバが返すレコードの最大数: ArcGIS Web API のようなクライアントは、検索操作を実行して、マップ サービスから特定の情報(レコード)を取得することができます。このプロパティでは、検索処理において、サーバがクライアントに返すことのできるレコードの数を指定します。サーバが多数のレコードを返すように指定すると、マップ サービスを利用するクライアント アプリケーション(Web ブラウザなど)と GIS サーバのパフォーマンスが遅くなる場合があります。
高度な設定: [高度な設定] ダイアログ ボックスを開くボタンです。このダイアログ ボックスでは次のプロパティが提供されます。
disableIdentifyRelates: マップ サービスが個別属性検索中にフィーチャに関する情報を関連テーブルおよびフィーチャクラスから返すかどうかを決定するブール値。デフォルトでは個別属性検索で関連情報を返すため、このプロパティは false に設定されています。
maxDomainCodeCount: マップ サービスですべてのフィールド、サブタイプ、レイヤ、およびテーブルから返されるドメイン コードの最大数を表す整数。デフォルト値は 25,000 です。
オンラインの ERP(Enterprise Resource Planning/企業資源計画)システムなど、大規模なマルチユーザ マップ サービスでは、MaxDomainCodeCount プロパティによって返されるドメイン コードの数がデフォルト値を超えることがあります。このような場合、サービスは正常な動作を継続しますが、MapServer ではサーバのパフォーマンスを維持するためにすべてのドメインが削除されます。さらに、このイベントを示すエラーがサーバ ログに記録されます。マップ サービスで MapServer がデフォルト値よりも多くのドメイン コードを返すようにする必要がある場合は、必要な値を指定します。MapServer が 25,000 を超えるドメイン コードを返す必要がある場合は、マップ サービスのパフォーマンスに影響する可能性があることに注意してください。
maxImageHeight: マップ サービスがエクスポートする画像の最大高さ(ピクセル単位)を表す整数。デフォルトは 2048 です。
maxImageWidth: マップ サービスがエクスポートする画像の最大幅(ピクセル単位)を表す整数。デフォルトは 2048 です。
schemaLockingEnabled: 参照されるデータベースのマップ レイヤに対するスキーマ ロックを、マップ サービスが取得するかどうかを決定するブール値。デフォルトでは、このプロパティは、エンタープライズ データベースのデータ、シェープファイル、およびカバレッジに対して有効(true)に設定されています。ただし、ファイル ジオデータベースの場合は、デフォルトでロック解除(false)されています。ロックがワークフローの妨げになる場合は、この値を false に設定して、スキーマ ロックを無効にすることができます。詳細については、「マップ サービスに対するスキーマ ロックの無効化」をご参照ください。
サービスをホストするクラスタの選択: マップ サービスをホストするクラスタ。クラスタとは、一緒に機能してクライアントにサービスを提供する 1 台以上の GIS サーバのグループです。詳細については、「GIS サーバ クラスタについて」をご参照ください。
出力ディレクトリ: サービスで必要になるテンポラリ ファイルを格納するために GIS サーバが使用する出力ディレクトリ。出力ディレクトリは、マップ サービスには必要ありません。出力ディレクトリが指定されていない場合、マップ イメージは MIME データを使用してクライアント アプリケーションに返されます。
レイヤの順序とシンボルのリクエストごとの変更を許可する: 必要に応じて、ArcGIS Web API のようなクライアントがマップ サービスでのレイヤの外観と振舞いを変更できるように選択することができます。さらに、マップ サービスにワークスペースが登録されている場合、クライアントはワークサービスに含まれているレイヤをマップ サービスに追加することができます。詳細については、「ダイナミック レイヤについて」をご参照ください。
機能
[ケーパビリティ] タブを使用して、マップ サービスで有効にするケーパビリティを選択します。各ケーパビリティは、マップ サービスから操作するか、マップ サービスを基にした追加サービスが作成されます。これにより、ユーザはさらに多くのアプリケーションやデバイス内で自分のマップにアクセスできるようになります。ケーパビリティを使用して、マップ サービスでネットワーク解析やフィーチャ アクセスなどさまざまな作業を実行することができます。
次の表に、マップ サービスで利用可能なケーパビリティと、そのケーパビリティを有効にするための要件をまとめます。各ケーパビリティに固有のプロパティの設定の詳細については、以下のリンクをご参照ください。
ケーパビリティ | 機能 | 具体的な要件 |
---|---|---|
SOAP URL および REST URL を使用して、マップ ドキュメントのコンテンツへのアクセスを可能にします。 | すべてのマップ ドキュメントについて常に有効 | |
マップ ドキュメント内のラスタ レイヤを使用して、OGC(Open Geospatial Consortium, Inc.)の WCS(Web Coverage Service)仕様に準拠したサービスを作成します。 | ラスタ レイヤが必要 | |
マップ ドキュメントを使用して、OGC(Open Geospatial Consortium)の WMS(Web Map Service)仕様に準拠したサービスを作成します。 | なし | |
マップ内のベクタ フィーチャへのアクセスを可能にします。ArcGIS Web API(JavaScript、Flex、Silverlight)での編集でよく使用されます。 | ベクタ レイヤが必要 | |
スケマティック ダイアグラムの表示、生成、更新、編集を可能にします。 |
スケマティック レイヤが必要 | |
マップ ドキュメントからモバイル デバイスへのデータの抽出を可能にします。 | なし | |
ArcGIS Network Analyst エクステンションを使用して交通ネットワーク解析を行います。 | ネットワーク データセットを参照するネットワーク解析レイヤが必要 | |
マップ ドキュメントを使用して、KML フィーチャを作成します。 | なし | |
マップ ドキュメント内のレイヤを使用して、OGC(Open Geospatial Consortium)の WFS(Web Feature Service)仕様に準拠したサービスを作成します。 | ベクタ レイヤが必要(WFS の目的はベクタ フィーチャ ジオメトリの提供にあるため、このサービスにラスタ レイヤは含まれません) |
プールの設定
[プール] タブを使用して、マップ サービスでのユーザに対処する方法を指定します。「ユーザ数の予測と対処」では、インスタンスの最小数と最大数のプロパティを調整することにより、ユーザに適切に対処する方法について説明しています。タイムアウトのプロパティを設定する操作のヒントについては、「サービスのチューニングと構成」をご参照ください。
プロセス
[プロセス] タブでは、マップ サービスをサーバ上のプロセスとして実行する方法を指定します。「サービスのチューニングと構成」には、分離、リサイクル間隔、および無効なデータ接続をチェックするかどうかを設定する際に考慮すべき注意点が記載されています。
キャッシュ
[キャッシュ] タブを使用して、サービスでキャッシュを使用するかどうか、およびキャッシュをどのような構造で構築する必要があるかを指定します。このタブの使用方法については、「マップ キャッシュの作成」をご参照ください。
アイテム説明
[アイテム説明] タブを使用して、マップ サービスに関する情報メタデータを作成します。次のような情報があります。
サマリ: マップ サービスの概要。
タグ: マップ サービスに関するキーワードまたは用語をカンマで区切って入力します。
あるいは、[タグを選択...] ボタンをクリックして、これまでに ArcGIS Online で使用したタグの一覧を表示することもできます。詳細については、ArcGIS.com ヘルプの「アイテムの追加」をご参照ください。
説明: マップ サービスに関する詳細説明(任意)。
アクセスと使用の制限: 必要に応じて、マップ サービスへのアクセスと使用に関する制限や法的条件を説明するテキストを入力します。たとえば、「社外秘、配布禁止」などのメッセージを入力します。
著作権: マップ サービスの作成に寄与した関係者(任意)。
マップ ドキュメントのプロパティに入力した情報は、自動的に [アイテム説明] タブに表示されます。マップ ドキュメントのプロパティには、ArcMap のメイン メニューの [ファイル] → [マップ ドキュメント プロパティ] の順にクリックしてアクセスできます。新しいマップ ドキュメントを作成するたびに、この方法で情報メタデータを追加する習慣をつけることをお勧めします。
共有
[共有] タブを使用して、作成したサービスを ArcGIS.com に登録し、共有するためのプロパティを設定します。マップ サービスを共有するにはいくつかの方法があります。
- マイ コンテンツ: このオプションは、公開したマップ サービスを [マイ コンテンツ] と呼ばれる個人の ArcGIS Online ワークスペースで参照する場合にのみ選択します。他の ArcGIS Online ユーザおよび Web 上のクライアントは、マップ サービスにアクセスできません。
- すべての人に公開(パブリック): このオプションを選択すると、マップ サービスが「パブリック」になります。つまり、Web 上のユーザを含め、すべてのユーザが ArcGIS Online のサービスにアクセスしてデータを参照できます。
- 以下のグループのメンバー: マップ サービスを「セミプライベート」にして、ArcGIS Online 上で、自分が属しているグループでのみ共有できます。このオプションを選択すると、現在、自分が属しているグループがリスト表示されます。