サブデータセットのあるラスタ データ
サブデータセットのあるラスタ データでは、1 つの親ファイルに複数のデータセットを含むファイル形式のデータ構造を保持することができます。これは、複数ページ ラスタとも呼ばれます。また、各サブデータセットは、1 つのバンドまたは複数のバンドで構成できます。HDF（Hierarchical Data Format）や NITF（National Imagery Transmission Format）は、1 つのファイル内に複数の画像（サブデータセット）を格納できます。これらのサブデータセットには、異なるバンドの画像、または異なる時点と角度から取得された画像、もしくはオブジェクトの写真が含まれます。
HDF は、ラスタ画像、バイナリ テーブル、多次元配列などの複数オブジェクト データ構造を格納するためのファイル形式です。これは、グラフィックスおよび数値データをコンピュータ間で転送するために使用される形式です。HDF データ モデルには多くの異なるタイプがあり、ArcGIS はラスタ データ モデルに基づく HDF4 および HDF5 データを読み取ることができます。すべての HDF がサブデータセット ファイルを保有しているとは限りません。
NITF は、さまざまなコンピュータ システム間で画像とそのメタデータの配布における相互運用性を実現する標準と仕様に準拠したファイル形式です。これらの NITF の規格と仕様は、NGA（National Geospatial-Intelligence Agency）によって開発されました。NITF ファイルは、サブ画像、シンボル、ラベル、テキスト、およびその他の画像関連情報が付属する画像で構成されます。すべての NITF がサブデータセット ファイルを保有しているとは限りません。
これらのデータ形式は複数のデータセットから構成される場合があるため、ArcGIS でのこれらのデータ形式の表示および処理は、サポートされているその他の多くのデータ形式とは若干異なります。HDF または NITF データセットを ArcMap に追加すると、[サブデータセットの選択] ダイアログ ボックスが表示され、ArcMap のセッションで使用するサブデータセットの選択を求められます。ArcCatalog では、NITF 形式のすべてのサブデータセットのプレビューが表示されますが、HDF 形式はプレビューで最初のサブデータセットのみが表示されます。[サブセット ラスタの抽出（Extract Subdataset）] ツールでは、ユーザ定義のサブデータセットのみを含む新しいラスタ データセットを作成できます。新しいラスタ データセットでは、各サブデータセットがバンドとして表示されます。
このデータをモザイク データセットに追加する際は、1 つめのラスタだけが追加されます。データセット内に他のラスタを追加したいのであれば、[サブセット ラスタの抽出（Extract Subdataset）] ツールを使用して、各ラスタを別のフォーマット（たとえば、TIFF など）に変換してください。