リニア平均方向の算出(Linear Directional Mean)ツールの詳細
一連のライン フィーチャのトレンドは、ラインの平均角度を算出することで計測されます。トレンドを算出するために使用される統計は、「平均方向」と呼ばれます。この統計の名称は平均方向ですが、この統計は方向または向きのどちらかを測定するために使用されます。
多くのリニア フィーチャが 1 つの方向を指し、それには開始ポイントと終了ポイントがあります。このようなラインは、通常、台風などの移動するオブジェクトの経路を表します。断層線などのその他のリニア フィーチャには、開始ポイントと終了ポイントがありません。これらのフィーチャには、向きはありますが、方向はありません。たとえば、断層線には北西から南西への向きがあったりします。[リニア平均方向の算出(Linear Directional Mean)] ツールを使用すると、一連のラインの平均の方向または向きを算出できます。
方向または向きの測定
GIS では、すべてのラインに開始ポイントと終了ポイントが割り当てられ、それには方向があります。方向は、ライン フィーチャが座標のリストをデジタイズまたはインポートすることによって作成されるときに設定されます。各ラインの方向は、それを矢印シンボルで表示することで確認できます。平均の方向を算出する場合、ラインの方向が正しいことを確認する必要があります。平均の向きを算出する場合、ラインの方向は無視されます。
平均の方向は、暴風などの開始ポイントから終了ポイントに移動するフィーチャについて算出されますが、平均の向きは、断層線などの静止フィーチャについて算出されます。移動を表すラインの平均の向きを算出する必要がある場合があります。たとえば、野生生物学者は、シカが季節移動を開始および終了する場所を特定するためには、季節ごとにシカが移動する経路の平均の方向を算出するでしょう。しかし、シカが移動を開始および終了する場所ではなく、最適な経路が決定される要因を特定するために移動経路の特性について調べる必要がある場合は、平均の向きを算出するでしょう。この場合、シカの両方の方向(往復)の経路を使用して平均の向きを算出し、その移動に関するより詳細な情報を取得することができます。
ほとんどのラインの開始ポイントと終了ポイントの間に多くの頂点がありますが、このツールは開始ポイントと終了ポイントのみを使用して方向を特定することに注意してください。
演算
出力
[リニア平均方向の算出(Linear Directional Mean)] ツールは、すべての入力ベクタの平均の長さと同じである長さ、およびすべての入力ベクタの平均の向きまたは平均の方向のどちらかを持つ、すべての入力ベクタの重心の平均中心を中心とするライン フィーチャが含まれる新しい出力フィーチャクラスを作成します。新しいライン フィーチャの属性値には、コンパス角度(時計回りに真北から)、平均方向(反時計回りに真東から)、円分散(平均方向から方向または向きが逸脱している程度)、平均中心の X 座標と Y 座標、および平均の長さが含まれます。
適用例
- 複数のライン セットを比較できます。たとえば、川や谷におけるアカシカとヘラジカの移動を研究する野生生物学者は、2 種類のシカの移動経路の方向トレンドを算出できます。
- 複数の異なる期間のフィーチャを比較できます。たとえば、鳥類学者は、月ごとのハヤブサの移動のトレンドを算出できます。このツールは、複数の個々のハヤブサの飛行経路を集計し、日ごとの移動を平均化します。これにより、ハヤブサの移動がどの月に最も遠距離であるか、およびいつ移動が終了するかを簡単に確認できます。
- 森林の伐採された樹木を評価することで、風のパターンと方向を把握できます。
- 氷河移動を示す氷河の削痕を分析できます。
- 自動車盗難と盗難車両の回収の一般的な方向を特定できます。
参考資料
Mitchell, Andy, The Esri Guide to GIS Analysis, Volume 2, (Esri Press, 2005).