SQL Server に格納されたジオデータベースのラスタ データセットとラスタ カタログ
ラスタ データはセルが行と列の同じサイズの配列として表される空間データです。ラスタ データは 1 つ以上のラスタ バンドで構成できます。ラスタ データとその属性の詳細については、このヘルプの「ラスタ データの概要」をご参照ください。はじめに、「ラスタ データとは」をご参照ください。
ArcGIS for Desktop のラスタ
ArcGIS では、ラスタ データは単一のラスタ データセット、ラスタ カタログ、またはモザイク データセットに格納できます。これらラスタの格納タイプについては、「ラスタ データの整理」をご参照ください。
カタログ ツリーでは、SQL Server の各ラスタ データセットは次のアイコンで表示されます。
ラスタ カタログは、カタログ ツリーに次のアイコンで表示されます。
SQL Server のラスタ カタログとラスタ データセットの名前には、データベースの名前、ラスタ カタログまたはラスタ データセットの所有者の名前、およびラスタ カタログまたはラスタ データセット自体の名前が含まれます。
たとえば、データベース「gdb」でユーザ「rjp」に所有されているラスタ データセット「world」は、カタログ ツリーでは「GDB.RJP.WORLD」と表示されます。
モザイク データセットのジオデータベースへの格納方法の詳細については、「SQL Server に格納されたジオデータベースのモザイク データセット」をご参照ください。
Microsoft SQL Server データベースのラスタ テーブル
SQL Server データベース の ArcSDE ジオデータベースは、ラスタ データを ArcSDE Compressed Binary 格納と同様の方法で SQL Server のネイティブなバイナリ形式で格納するか、または ST_Raster 格納タイプで格納することができます。
ビジネス テーブルにラスタ列が追加され、ラスタ列の各セルに別のラスタ テーブルに格納されたラスタへの参照が含まれます。このため、ビジネス テーブルの各行はラスタ全体を参照します。
ラスタを SQL Server の ArcSDE ジオデータベースにインポートすると、選択したビジネス テーブルにラスタ列が追加されます。SQL Server の列の命名規則に準拠していれば、ラスタ列に任意の名前を付けることができます。ArcSDE では、ラスタ列はビジネス テーブルにつき 1 つに制限されます。
ラスタ データの性質により、ラスタを含んでいるデータベースのサイズは大きくなる傾向があります。ラスタ データセットとラスタ カタログのサイズが数 GB より小さくなることはまれで、DBMS で数 TB を占める場合もあります。したがって、大きなサイズのラスタ データに対処するのは容易ではありません。エンタープライズ ジオデータベースでのラスタ データの管理方法に関するアドバイスとサンプルについては、support.esri.com からダウンロードできる『Raster Data in ArcSDE』をご参照ください。
SQL Server バイナリ形式で格納されたラスタ
バイナリ格納を使用するラスタ データセットは、7 つのテーブル(ビジネス テーブル、フィーチャ テーブル、空間インデックス テーブル、補助テーブル、ブロック テーブル、バンド テーブル、ラスタ属性テーブル)で構成されます。次に、world_TIF という名前のラスタ データセットのビジネス テーブルとラスタ テーブルを示します。破線はテーブル間の暗黙的なリレーションシップを示しています。
ビジネス テーブル
ビジネス テーブルは属性を格納する DBMS テーブルであり、ラスタ列の追加により空間に対応します。ビジネス テーブルは、ラスタのフットプリントを格納(エリアを定義)します。上の例では、ビジネス テーブルは world_tif テーブルです。
ラスタ列を持つビジネス テーブルが、1 つのラスタ データセットまたはラスタ カタログです。ラスタ データセットはビジネス テーブル行を 1 つしか含むことができませんが、ラスタ カタログは複数の行を含むことができます。ラスタ列に関する情報は、SDE_raster_columns システム テーブルで管理されます。すべてのビジネス テーブルに関する情報は、テーブルに空間列またはラスタ列があるかどうかにかかわらず、SDE_table_registry システム テーブルに維持されます。
フィーチャ テーブル(f<layer_id>)
フィーチャ テーブルはラスタ データセットのジオメトリを格納します。このテーブルは、SDE_layers テーブルの layer_id 列の番号によって識別されます。ビジネス テーブルとフィーチャ テーブル間のリレーションシップは、フィーチャ ID(FID)を通じて管理されます。この ArcSDE によって管理されるキーは、空間列において一意です。先の例では、フィーチャ テーブルは f117 です。
空間インデックス テーブル(s<layer_id>)
空間インデックス テーブルは標準のシンプルなグリッドに基づいて、シェープへの参照を格納します。このテーブルは、SDE_layers テーブルの layer_id 列の番号によって識別されます。ラスタ データセット「World」の例では、空間インデックス テーブルは s117 です。空間インデックスには空間検索をサポートするためのシェープとグリッド セルの組み合わせごとに、1 つのエントリが存在します。空間検索を実行すると検索エリアのグリッド セルが特定され、候補ピクセルのリストを取得するために使用されます。
ラスタ イメージ テーブル
実際のラスタ イメージは、これらのテーブルに格納されます。
ラスタ テーブルは、ラスタ データがジオデータベースにある場合にのみデータベースに表示されます。
ラスタ補助テーブルには、イメージ カラーマップ、イメージ統計、およびイメージ オーバーレイとモザイク処理に使用されるビット マスク(オプション)が格納されます。
イメージ統計、カラー マップ、ビット マスクなどの既存のイメージ メタデータは、自動的にラスタ補助テーブルに格納されます。ラスタ補助テーブルの rasterband_id 列は、ラスタ バンド テーブルの主キーに対する外部キー参照です。ラスタ バンドのメタデータにアクセスするときに、この主キーと外部キー参照で 2 つのテーブルが結合されます。
フィールド名 |
フィールド タイプ |
説明 |
NULL? |
---|---|---|---|
rasterband_id |
integer |
ラスタ バンドを表す数字。たとえば、2 つのラスタ バンドを持つラスタ データセットでは、このフィールドに 2 つの異なる値(1 と 2)が含まれます。 |
NOT NULL |
type |
integer |
含まれる値 |
NOT NULL |
object |
varbinary(max) |
実際のデータ(カラーマップ インデックス、ラスタ統計情報、または座標変換) |
NOT NULL |
ラスタ ブロック テーブルには、画像の各バンドの実際のイメージ データが格納されます。
ラスタ ブロック テーブルには、各ラスタ バンドのピクセルが格納されます。ユーザ定義の範囲に従って、ピクセルがブロックにタイル分割されます。ジオデータベースにラスタ データをインポートするか作成する ArcGIS アプリケーションには、デフォルトの範囲が設定されています。たとえば、ジオプロセシング ツールと ArcCatalog は、デフォルトで 1 ブロックあたり 128 x 128 ピクセルのラスタ ブロックの範囲を使用します。ラスタ ブロックの範囲と圧縮方法(指定されている場合)により、各ラスタ ブロックの格納サイズが決定されます。ラスタ ブロック テーブルの各行が DBMS に適合するように、ラスタ ブロックの範囲と圧縮方法の組み合わせを選択してください。
ラスタ ブロック テーブルには RASTERBAND_ID 列が含まれます。この列は、ラスタ バンド テーブルの RASTERBAND_ID 主キーに対する外部キー参照です。ラスタ バンドのブロックにアクセスするときに、この主キーと外部キー参照でこれらのテーブルが結合されます。
ラスタ ブロック テーブルの値は、ピラミッドの解像度の低下に従って設定されます。ピラミッドの高さは、アプリケーションによって指定されたレベル数に基づいて決定されます。ジオプロセシング ツールや ArcCatalog などのアプリケーションでは、ユーザがレベルを定義したり、ジオデータベースにレベルを計算するよう要求したり、これらの両方を選択することができます。ピラミッドはベース(レベル 0)から始まり、このレベルには画像の元のピクセルが含まれます。ピラミッドは頂点に向かって進み、前のレベルの 4 つのピクセルが現在のレベルの 1 つのピクセルに結合されます。このプロセスはピラミッドが頂点に到達するまで続けられます。この動作は自動的に定義されるか、ユーザが定義できます。
ピラミッドのレベルを追加すると、ラスタ ブロックの数が 3 分の 1 増加します。ただし、レベルの数を指定できるため、ピラミッドのサイズを小さくすることが可能です。ピラミッドの第 1 レベルは、ベースの 25% になります。ピラミッドの第 1 レベルはスキップできることにも注意してください。これにより、ピラミッドのサイズを大幅に削減することができます。
ピラミッドを構築する場合、前のレベルを順次ダウンサンプリングすることにより、頂点に到達するまでに 2 倍のラスタが作成されます。アプリケーションが表示を縮小してラスタ セルが解像度の閾値より小さくなるたびに、ピラミッドの上位のレベルが選択されます。ピラミッドの目的は、表示のパフォーマンスを最適化することです。
フィールド名 |
フィールド タイプ |
説明 |
NULL? |
---|---|---|---|
rasterband_id |
integer |
ラスタ バンドを表す数字。たとえば、2 つのラスタ バンドを持つラスタ データセットでは、このフィールドに 2 つの異なる値(1 と 2)が含まれます。 |
NOT NULL |
rrd_factor |
integer |
ピラミッド レベル。ピラミッド レベルは 0 から始まり、ここから増えていきます。 |
NOT NULL |
row_nbr |
integer |
タイルの行位置番号 |
NOT NULL |
col_nbr |
integer |
タイルの列位置番号 |
NOT NULL |
block_data |
varbinary(max) |
タイルに格納されるピクセル データ |
NOT NULL |
ラスタ バンド テーブルには、画像のバンドに関する情報が格納されます。ラスタ バンドごとにレコードが 1 つあります。
ジオデータベースは、ラスタ バンドをラスタ バンド テーブルに格納します。RASTER_ID 列でラスタ バンド テーブルがラスタ テーブルに結合されます。ラスタ バンド テーブルの RASTER_ID 列は、ラスタ テーブルの主キーに対する外部キー参照です。
フィールド名 |
フィールド タイプ |
説明 |
NULL? |
---|---|---|---|
rasterband_id |
integer |
ラスタ バンドを表す数字。たとえば、2 つのラスタ バンドを持つラスタ データセットでは、このフィールドに 2 つの異なる値(1 と 2)が含まれます。 |
NOT NULL |
sequence_nbr |
integer |
ラスタ データセット内のラスタ バンドの順序 |
NOT NULL |
raster_id |
integer |
ラスタ データセットの一意の識別子。ビジネス テーブルのラスタ列の値に対応します。 |
NOT NULL |
name |
nvarchar(65) |
オプションのラスタ バンド名 |
|
band_flags |
integer |
バンドに関するプロパティを含むビットマスク |
NOT NULL |
band_width |
integer |
バンドのピクセル幅 |
NOT NULL |
band_height |
integer |
バンドのピクセルの高さ |
NOT NULL |
band_types |
integer |
バンドに関するプロパティを含むビット マスク |
NOT NULL |
block_width |
integer |
ブロックのピクセル幅 |
NOT NULL |
block_height |
integer |
ブロックのピクセル高さ |
NOT NULL |
block_origin_x |
float |
ラスタの原点の X 座標 |
NOT NULL |
block_origin_y |
float |
ラスタの原点の Y 座標 |
NOT NULL |
eminx |
float |
ラスタ バンドの X 座標の最小値 |
NOT NULL |
eminy |
float |
ラスタ バンドの Y 座標の最小値 |
NOT NULL |
emaxx |
float |
ラスタ バンドの Y 座標の最大値 |
NOT NULL |
emaxy |
float |
ラスタ バンドの Y 座標の最大値 |
NOT NULL |
cdate |
integer |
ラスタ バンドの作成日 |
NOT NULL |
mdate |
integer |
ラスタ バンドの最終更新日 |
NOT NULL |
ラスタ説明テーブルは、ラスタ列内の画像の説明を格納します。
フィールド名 |
フィールド タイプ |
説明 |
NULL? |
---|---|---|---|
raster_id |
integer |
ラスタ データセットの一意の識別子。ビジネス テーブルのラスタ列の値に対応します。 |
NOT NULL |
raster_flags |
integer |
将来使用するために予約済み |
|
description |
nvarchar(65) |
ラスタ データセットの説明 |
ラスタの管理に使用するその他のシステム テーブル
他のタイプのデータと同様に、ラスタ カタログとラスタ データセットは GDB_ITEMS テーブルと SDE_layers テーブルで管理されます。ラスタ タイプの列は SDE_raster_columns テーブルで管理されます。ラスタ列を含むテーブルごとに 1 つのエントリがあります。
ラスタ データセットまたはラスタ カタログの一部として、属性テーブルを追加できます。ラスタ データセットにはラスタ属性テーブルを 1 つしか追加できませんが、ラスタ カタログには複数のテーブルを追加できます。ラスタ属性テーブルは、特定のラスタ セル値の属性を定義するために使用されます。これらのテーブルの使用方法については、「ラスタ データセットの属性テーブル」をご参照ください。
[データ管理] ツールボックスの [ラスタ] ツールセットで、[ラスタ プロパティ] ツールセットの [ラスタ属性テーブルの構築(Build Raster Attribute)] ツールを使用できます。このツールの詳細については、「ラスタ属性テーブルの構築(Build Raster Attribute Table)(データ管理)」をご参照ください。
ラスタ データセットでは、追加の属性テーブルの名前は SDE_VAT_<raster_column_ID> という形式になります。ラスタ カタログでは、テーブル名は SDE_VAT_<raster_column_ID>_<Object_ID> という形式になります。
ST_Raster 形式で格納されたラスタ
ST_Raster は、サブタイプで構成されるユーザ定義のオブジェクト タイプです。ST_Raster 格納を使用するラスタ データセットは、3 つのテーブル(ビジネス テーブル、補助テーブル、ブロック テーブル)で構成されます。ジオデータベースで ST_Raster 格納を使用する場合、ラスタ内やバイナリ ラスタのラスタ バンド テーブルに格納される情報と同等の情報が、ベース テーブルの ST_Raster オブジェクト内に格納されます。ST_Raster オブジェクトは、ラスタのジオメトリも格納します。
ST_Raster 形式で格納されるラスタには、補助テーブル(SDE_aux_<raster_ID>)とブロック テーブル(SDE_blk_<raster_ID>)があります(このトピックの「ラスタ イメージ テーブル」を参照)が、ラスタ バンド テーブル(SDE_bnd_<raster_ID>)やラスタ テーブル(SDE_ras_<raster_ID>)は使用しません。
View a diagram of a raster dataset using ST_Raster storage in SQL Server.
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破線はテーブル間の暗黙的なリレーションシップを示しています。
XML ドキュメントのラスタ
XML ドキュメントでは、ラスタ データセットは DataElement タグで囲まれます。タグには、「esri:DERasterDataset」の値が含まれます。
<DataElement xsi:type="esri:DERasterDataset">
<CatalogPath>/V=sde.DEFAULT/RD=gdb.RJP.world_TIF</CatalogPath>
<Name>gdb.RJP.world_TIF</Name>
<Children xsi:type="esri:ArrayOfDataElement">
<DataElement xsi:type="esri:DERasterBand">
<CatalogPath>/V=sde.DEFAULT/RD=gdb.RJP.world_TIF/RB=Band_1</CatalogPath>
<Name>Band_1</Name>
<DatasetType>esriDTRasterBand</DatasetType>
<DSID>-1</DSID>
<Versioned>false</Versioned>
<CanVersion>false</CanVersion>
<HasOID>true</HasOID>
<OIDFieldName>ObjectID</OIDFieldName>
<Fields xsi:type="esri:Fields">
<FieldArray xsi:type="esri:ArrayOfField">
<Field xsi:type="esri:Field">
<Name>ObjectID</Name>
<Type>esriFieldTypeOID</Type>
<IsNullable>false</IsNullable>
<Length>4</Length>
<Precision>0</Precision>
<Scale>0</Scale>
<Required>true</Required>
<Editable>false</Editable>
</Field>
<Field xsi:type="esri:Field">
<Name>Value</Name>
<Type>esriFieldTypeInteger</Type>
<IsNullable>true</IsNullable>
<Length>0</Length>
<Precision>0</Precision>
<Scale>0</Scale>
</Field>
<Field xsi:type="esri:Field">
<Name>Count</Name>
<Type>esriFieldTypeInteger</Type>
<IsNullable>true</IsNullable>
<Length>0</Length>
<Precision>0</Precision>
<Scale>0</Scale>
</Field>
</FieldArray>
</Fields>
<Indexes xsi:type="esri:Indexes">
<IndexArray xsi:type="esri:ArrayOfIndex" />
</Indexes>
<IsInteger>true</IsInteger>
<MeanCellHeight>0.175996089009095</MeanCellHeight>
<MeanCellWidth>0.176000337991447</MeanCellWidth>
<Height>1024</Height>
<Width>2048</Width>
<PixelType>U8</PixelType>
<PrimaryField>1</PrimaryField>
<TableType>esriRasterTableValue</TableType>
<Extent xsi:type="esri:EnvelopeN">
<XMin>-179.906382261841</XMin>
<YMin>-90.1303147686327</YMin>
<XMax>180.542309944643</XMax>
<YMax>90.089680376681</YMax>
<SpatialReference xsi:type="esri:GeographicCoordinateSystem">
<WKT>GEOGCS["GCS_WGS_1984", DATUM["D_WGS_1984", SPHEROID["WGS_1984",6378137.0,298.257223563]], PRIMEM["Greenwich",0.0], UNIT["Degree",0.0174532925199433]]</WKT>
<XOrigin>-400</XOrigin>
<YOrigin>-400</YOrigin>
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</Extent>
</DataElement>