ArcGIS 10.1 for Server への移行時の注意事項

ArcGIS 10.1 for Server はアーキテクチャが新しくなったため、サーバの操作方法に少し慣れる必要があります。このトピックでは主な相違点の概要を説明します。移行チェックリストの詳細については、このヘルプセクションの残りのトピックをご参照ください。

インストール手順

ArcGIS 10.1 for Server では、サーバのアーキテクチャが大きく変更されています。バージョン 10.1 では、インストール手順を簡略化するために ArcGIS Server コンポーネントの配布に SOM-SOC モデルを使用しなくなりました。

10.1 のインストール時に、ArcGIS Server をルート アカウントにインストールする必要はありません。製品のインストール用のアカウントを指定できます。選択したアカウントで GIS Server サービスが実行され、ArcGIS Server アカウントが呼び出されます。セットアップによって GIS サーバが 1 つインストールされます。GIS サーバをもう 1 つサイトに追加したい場合は、別のコンピュータ上でセットアップをもう一度実行するだけです。すべてのコンピュータで 64 ビットのオペレーティング システムを使用する必要があります。GIS サーバをインストールした後は、すぐにサービスの公開を開始できます。

多くの場合、ArcGIS Web Adaptor を同時にインストールする必要があります。これは 10.1 の新しいコンポーネントで、企業向け Web サーバを ArcGIS Server サイトに統合することができます。

Web Adaptor を使用すると、デフォルトのポート 6080 やデフォルトのサイト名「arcgis」をユーザに見られたくない場合などに、サイトの URL を管理することができます。Web Adaptor では、外部ユーザに対して ArcGIS Server Manager や ArcGIS Server Administrator Directory へのアクセスを制限できます。Web Adaptor をサイトに配置すると、認証を Web 層で実行できます。さらに、サイトを企業の Web サーバに関連付けることにより、提供するサービスを使用する Web アプリケーションをホストすることができます。

Manager へのログインとサイトの設定

ArcGIS 10.1 for Server では、1 つ以上の GIS サーバの導入環境をサイトと呼びます。GIS サーバをインストールすると、ArcGIS Server Manager が開きます。初めて Manager にログインしたときは、サイトを作成するか、あるいは参加するかをたずねられます。ArcGIS Server の使用を開始した直後であれば、[サイトの作成] を選択します。サイトに追加する残りの GIS サーバでは、[サイトに参加] を選択します。コンピュータを接続する作業は、Manager によって自動的に行われます。

10.1 では、GIS サーバをクラスタと呼ばれる複数のサブグループに整理することができます。これにより、コンピュータの各グループに異なるタスクを割り当てることができます。たとえば、1 つのクラスタはジオプロセシング サービス専用にして、別のクラスタはマップ サービスの公開だけを行うなどです。すべての GIS サーバがいずれかのクラスタに属する必要があります。ほとんどのサイトでは、すべての GIS サーバをデフォルトのクラスタに追加するだけでかまいません。

サービスの公開

サービスは、1010.1 の間で自動的に移行されません。サービスの移行パスは、10.1 の新しい公開パターンを使用して再度作成することになります。

公開の一般的なワークフローは同じです。ArcGIS for Desktop で GIS リソース(マップ ドキュメントやモデルなど)を作成してから、サービスとして ArcGIS Server で公開します。ただし、公開アクションは常に ArcGIS for Desktop で開始するようになりました。通常の手順は、リソースを開いてから [ファイル] [共有] [サービス] の順にクリックします。

10.1 では、公開しようとするアイテムに対してさらに厳しい解析プロセスが実行され、サーバで公開する準備が整っていることが確認されます。以前のリリースでは、[マップ サービス公開] ツールバーを使用してマップ ドキュメントを解析する必要がありました。今度のリリースでは、汎用性の高い [サービス エディタ] ダイアログ ボックスが用意され、公開予定のすべてのサービスを公開前に解析できます。

10.1 では、以前のリリースで MSD に関連付けられていた高速描画エンジンが、すべてのマップ サービスで使われるようになりました。これにより、MXD ベースのマップ サービスと MSD ベースのマップ サービスの区別がなくなりました。10.1 では、ArcMap でマップ ドキュメントを開き、パフォーマンスのボトルネックがないか解析し、ArcGIS Server でマップ サービスとして公開します。この変更により、10.1 では [マップ サービス公開] ツールバーが削除されました。

旧バージョンの ArcGIS Server では、サービスが参照する GIS リソースを変更しても、サービスを再起動することによってその内容はすべてクライアントから利用可能になっていました。変更を GIS リソースまたは 10.1 のソース データに反映するために、次のシナリオではサービスの上書きが必要です。

ArcGIS 10.1 for Server は、サーバに登録されているデータ フォルダとジオデータベースのリストに依存します。10.1 に移行するときは、GIS サーバがアクセスできることをあらかじめ確認した一連のデータの場所を登録する必要があります。これにより、複数のコンピュータにわたって公開するときにデータ パスを調整する方法が GIS サーバに認識されます。登録されていない場所からデータを参照するサービスを公開しようとすると、公開を実行している間にデータがサーバにコピーされます。

Web アプリケーションの作成

ArcGIS 10.1 for Server では、Manager で Web アプリケーションを作成するためのウィザードは用意されていません。Web アプリケーションの作成を開始するには、ArcGIS.comArcGIS Viewer for Flex、または ArcGIS Viewer for Silverlight を使用することをお勧めします。以前のウィザードを使いたい場合は、ArcGIS Web Applications のセットアップをインストールできますが、この場合はもはや使用されなくなった Web ADF が使用されることに注意してください。

サイトの管理

Manager を使用して、ArcGIS Server サイトを管理できます。10.1 では、Manager は外観が向上し、より直観的なユーザ インタフェースを備えています。これにより、以前のリリースで経験したサイトの管理機能と同じ機能を利用できます。

また、10.1 リリースは、REST 上で構築され、選択した言語を使用してサーバの管理をスクリプトに記述できる ArcGIS Server Administrator API も付属しています。

ArcGIS Server 1010.1 の共通点と相違点

共通点

相違点

マップ、ツール、ロケータなどの GIS リソースを作成し、ArcGIS Server で公開します。

サービスの公開は、直接 ArcMap または ArcGlobe から [ファイル] [共有] [サービス] の順にクリックして開始できます。クラウドベースのサーバに公開することができ、公開アクションの一部としてソース データがサーバに自動的にコピーされます。

公開する前に、マップ ドキュメントを解析して、パフォーマンスのボトルネックを調べます。

公開する前に、グローブやツールボックスなど、他の種類の GIS リソースを解析できます。ArcGIS Server の高速描画エンジンが常に使用されるため、このエンジンを使用するための MSD ファイルを明示的に保存する必要がなくなりました。

ArcGIS Server により、サーバで何が起きているかを説明する、ディスク上のログと構成ファイルが管理されます。

Manager または ArcGIS for Desktop を使用してログを表示し、サーバ構成情報を調整します。ログはディスクから直接読み込むのではなく、Manager を通じて表示する必要があります。

さらに大きな負荷をサイトで扱うには、複数の GIS サーバを追加します。

クラスタと呼ばれる複数のグループに GIS サーバを整理して、各グループでサービスの特定のサブセットを処理するように割り当てることができます。

Web サーバを使用して、サイトへのアクセスを管理します。

配置やテストに専用の Web サーバは不要です。ArcGIS Server が Web サービスをリアルタイムで公開します。実際に稼働しているサイトの場合は、Web Adaptor を使用して Web サーバをサイトに接続します。

9/15/2013