LIDAR ポイントからのデータ領域の作図

調査対象の LIDAR または写真測量データは、詳細なデータ領域の境界なしで配布されるのが一般的です。多くの場合、調査対象領域である XY の範囲が、対象領域をカバーするタイル システムによって定義され、これらのタイルにデータが格納されます。以下の図は、あるプロジェクトの LIDAR データ タイルを示しています。これらのタイルの範囲は、実際の調査領域境界のおおよその範囲になります。

調査領域のタイル システム

プロジェクト領域の周縁部にある個々のタイルにおいては、多くの場合、LIDAR データでカバーされずに余る部分が存在します。データは最小範囲をカバーしていることのみが保証され、以下の図に示すように、推定できるものを除き、明示的または絶対的な境界は存在しません。以下の画像はこの種の 1 つのタイルを中心に配置されています。

LIDAR ポイント データのカバレッジ

いずれにしても、カバレッジの領域は、通常、きれいに塗りつぶされた四角形ではありません。

問題点

サーフェスが、事前にデータ領域を宣言せずに(つまり、テレイン データセットまたは TIN の定義時にクリップ ポリゴンを追加して)作成されている場合は、実際には周辺部の隙間であるデータの一部がデータ領域と見なされます。これらの領域の解析結果は、高さの推定値がはるか遠方にあるサンプルをベースとしているため信頼性に欠けます。

以下の左側のグラフィックスは、密集した LIDAR ポイントのコレクション(緑色で表示)を示しています。内部のギャップは水域です(通常、LIDAR が省略されています)。不規則な形状のデータ境界はわかりやすく表示されていますが、明示的な範囲がクリップ ポリゴンの形式で指定されない限り、TIN/LAS データセット/テレイン データセット関連のツールでは隙間が塗りつぶされて、実際のデータ範囲が過度に単純化されてしまいます。

LIDAR ポイントクリップ ポリゴンのないサーフェス

データが収集されなかった部分は、サーフェスから除外すべきです。問題は、この範囲を正確に表現できるポリゴンを作り出すことにあります。

解決策

適切なポイントから、内挿範囲を囲い込むための境界を作成します。以下の左の図は LIDAR ポイントを示しています。中央の図はポイントから境界線が合成されたポリゴンを示しています。右の図は、それらの LIDAR ポイントとクリップ ポリゴンから作成されたサーフェスです。

LIDAR ポイントクリップ ポリゴン境界線が適用されたサーフェス

ポイント間隔は、データ領域を求めるときに使用する基本変数です。測量では、通常、内挿法を制御するために、ポイント間隔について最小値が明示的に指定されます。この例外は、密度の要件を満たさない領域であり、通常は、水域であるか、遮蔽物の影響が大きいか、データの欠落が考えられます。場合によっては、修復のためにデータをプロバイダへ送り返します。データの大部分はサンプル密度の仕様に適合します。ポイント間隔は通常、メタデータで指定されます。LIDAR データのポイント間隔がわからない場合は、「LIDAR カバレッジおよびサンプル密度の評価」を参照して、その判定方法を確認してください。または、LAS データセットを使用してポイントの拡大ビューを表示し、ArcMap の [計測] ツールを使用してポイント間隔を概算します。ポイント間隔の詳細については、「平均ポイント間隔」をご参照ください。

LIDAR ポイントからのデータ領域の作図

LIDAR データのポイント間隔がわかったら、次の手順に従ってデータ領域を作図します。

手順:
  1. [LAS ポイント統計をラスタに出力(LAS Point Statistics As Raster)] ジオプロセシング ツールを使用して LIDAR ポイントをラスタ化します。

    LIDAR ポイントをラスタ化すると、LIDAR ポイントがカバーする領域の集約に役立ちます。ラスタ化により、以降の手順で操作するのに適したデータ構造になります。このジオプロセシング ツールでは、使用する集約タイプと出力セル サイズを指定する必要があります。セルを割り当てる [方法] の値として [PULSE_COUNT] を使用します。[セル サイズ] には、LIDAR データの平均ポイント間隔よりも数倍大きい値を指定します。そうしないと、ポイントの間隔が均等ではなくなるため多量のノイズが含まれることになります。処理の効率性とノイズ削減の観点から、使用するセル サイズが大きいほど、より有効な出力が得られますが、結果としてデータの格納が密接すぎるというトレードオフを伴います。平均ポイント間隔の 4 倍の値から使用を始めることをお勧めします。

    [LAS ポイント統計をラスタに出力(LAS Point Statistics As Raster)] ジオプロセシング ツールのダイアログ ボックス
  2. [Con] ジオプロセシング ツールを使用してすべてのデータ セルに 1 つの値を割り当てます。

    このワークフローで [Con] ジオプロセシング ツールを使用すると、ラスタに属するすべてのデータ セルを 1 つの値を持つセルに簡単に変換できます。この値は、ステップ 3 で拡張されるラスタ ゾーンを定義します。必要とされる操作は、[LAS ポイント統計をラスタに出力(LAS Point Statistics As Raster)] ツールからの出力を取得して、正の表現で定数値を指定するだけです。0 以外の値のセルはすべて正と見なされ、定数値が割り当てられます。ラスタ化の際に集約タイプとして PULSE_COUNT が使用されているため、ポイントを含むセルはすべて 0 より大きい値を保持している必要があります。

    [Con] ツールのダイアログ ボックス
  3. [拡張(Expand)] ジオプロセシング ツールを使用して小さい NoData エリアを塗りつぶします。

    平均ポイント間隔と比べて非常に大きなセル サイズを使用した場合を除き、多くの NoData セルが残っている可能性があります。これらのセルの大部分は、[拡張(Expand)] ジオプロセシング ツールを使用して削除できます。これらを取り除いておけば、以降のステップのベクタ変換で生成されるポリゴンがホールで一杯になることはありません。ポリゴンにホールが多く含まれていると、不必要にコストが高くなります。

    [拡張(Expand)] ツールのダイアログ ボックス

    [拡張(Expand)] ツールは対象のゾーンを外側に押し出します。この場合の対象ゾーンは、値 1 でコード化されたすべてのデータ セルであり、結果として、内部に存在する小さなギャップが削除されます。

    白色の NoData セル[拡張(Expand)] の結果

    左側の図は、NoData セル(白色)を示す多数の個々のセルといくつかの小さなクラスタを示しています。右側の図は、[拡張(Expand)] ジオプロセシング ツールを使用した結果、NoData セル(白色)の大部分が取り除かれていることを示しています。この出力でいくつかの孤立した NoData エリアが残っていても問題ありません。残っている NoData セルは最後のステップで処理します。

  4. [縮小(Shrink)] ジオプロセシング ツールを使用してデータ セルの範囲全体を縮小します。

    [拡張(Expand)] によって、孤立した NoData セルが削除されるときに、データ領域もまた外側に拡張されるため、実際にはデータ領域をほんの少し内側へ引っ込める必要があります。テレイン データセットまたは TIN でポリゴン境界に沿って Z 値が推定されるときにポイントの検出が両側で可能なように、クリップ ポリゴンは実際のポイントの範囲よりも狭い範囲である必要があります。これは、適正な Z 値の推定を得るために必要です。ラスタのデータ境界を縮小するには、[縮小(Shrink)] ジオプロセシング ツールを使用します(以下の図を参照)。

    ステップ 5 で生成されるポリゴンが、ポイントの実際のデータ範囲よりも小さくなるように、範囲を少し縮小します。これにより、ソフトウェアはポリゴン境界に沿って、より適正な Z 値を推定できるようになります。

    [縮小(Shrink)] ツールのダイアログ ボックス

    この段階では、データ セルの範囲が LIDAR ポイントの範囲よりも少しだけ内側にある比較的クリーンなラスタが作図されます。

  5. [ラスタ → ポリゴン(Raster to Polygon)] ジオプロセシング ツールによってラスタをベクタ変換します。

    [ラスタ → ポリゴン(Raster to Polygon)] ジオプロセシング ツールは、ラスタをポリゴン フィーチャクラスに変換します。[ポリゴン単純化] オプションがオンになっていることを確認します。オンでない場合、滑らかというよりはぎざぎざの出力に、必要以上に多くの頂点が含まれることになります。

    [ラスタ → ポリゴン(Raster to Polygon)] ツールはポリゴン フィーチャクラスを出力します。その結果、出力は、この処理の冒頭で使用されたポイントのデータ範囲を表しています。

    [ラスタ → ポリゴン(Raster to Polygon)] ダイアログ ボックス

    この段階で、処理はほとんど完了です。出力の正確さを再確認する必要があります。さらにもう 1 つ、生成されたクリップ ポリゴン内部に残っているホールを削除するというステップが残っています。

  6. [ポリゴン パートの削除(Eliminate Polygon Part)] ジオプロセシング ツールを使用して、残っている小さいホールをすべて取り除きます。

    [ポリゴン パートの削除(Eliminate Polygon Part)] ジオプロセシング ツールは、外部境界線を残して、内部のリングすべてを削除します。

この段階で、LAS データセット、テレイン データセット、または TIN に追加できるクリップ ポリゴンが生成されます。このクリップ ポリゴンは LIDAR ポイントのデータ範囲に一致し、かつ、ほんの少し範囲の内側になければなりません。左の図は、結果として得られたクリップ ポリゴンを示し、右の図は、ソース ポイントを基準としたポリゴンの範囲を拡大表示したものです。クリップ ポリゴンがソース ポイントの境界線よりほんの少し内側に存在していることに注意してください。

結果のクリップ ポリゴンクリップ ポリゴンと LIDAR ポイント
5/10/2014