ArcGIS システム

ArcGIS を古くから使用しているユーザであれば、ArcGIS のことを専門的な GIS 作業に使用するソフトウェア製品と認識していることが多いでしょう。ArcGIS を使用すると、地理情報の作成、マップの作成、および解析を行って、有意義なプロジェクトを実行できます。また、ArcGIS 10.1 for Server を使用して信頼性の高いデータを公開し、それらのデータを他のユーザと共有するために ArcGIS を使用する例も多く見られます。

テクノロジの発展に伴い、GIS に求められる役割は変化しています。そこで我々は、ArcGIS をすべての人が地理情報を操作、活用できるようにする包括的なシステムと考えるようになっています。人々が地理情報を活用しようとするときは、ほとんどの場合、マップの利点を活かしています。紙に印刷されたマップだけではありません。オンラインの対話型マップからは、組織の情報、解析ツール、および主要なタスクとワークフローにアクセスすることができ、組織のスタッフはそれらを利用して日々の業務を効果的に行うことができます。

ArcGIS システムにより、GIS コミュニティが信頼性の高い地理情報を作成したり、その地理情報を組織内外から利用したりすることが可能になります。このシステムには、ソフトウェア、オンライン クラウドベースのインフラストラクチャ、設定可能なリソースが含まれており、たとえば、今すぐ使用可能な Web およびモバイル アプリケーション、今すぐ使用可能なベースマップ、および GIS ユーザ コミュニティで作成および共有される信頼性の高いコンテンツなどが付属しています。このシステムにより、地理情報を生きた情報として活用し、マップを通じて利用することができます。ArcGIS Simple System Diagram

重要な役割を果たすオンライン マップ

ArcGIS Web マップは、マップ サービスと関連の GIS サービスをカプセル化したものであり、データを Web 上で活用できるようにします。

どの Web マップにも通常はベースマップがあり、マップ マッシュアップで操作オーバーレイと結合されます。また、これらのオンライン マップには、操作レイヤ上で実行可能な特化型タスクも含まれています。例を次に示します。

重要情報を表示してマップ ユーザを支援する便利な情報ポップアップ。

米国大都市圏 100 都市における住宅価格の下落マップ
このマップは、2011 年 4 月から 6 月までのさまざまな大都市圏における住宅価格のピーク値と比較した平均下落率を示しています。このマップを起動して使ってみましょう。

フィールドでの観測値と場所対応レポートの収集に使用する編集ツールとシンプルなワークフロー。

公共サービスの要請に使用する市民向け GIS マップ
市民はこのデモ マップを使用して、地方自治体にトラブル レポートやサービス リクエストを送信できます。このマップを起動して使ってみましょう。

新しい結果を作成できる解析モデルへのアクセス。

区画変更通知に示す 100 フィート圏内の土地区画
GIS マップでは、単純でありながら、高度な解析操作にアクセスできます。たとえば、この例では、メールで送信する区画変更通知に示す 100 フィート圏内の周辺土地区画を識別しています。このマップを起動して使ってみましょう。

外部システムとの情報統合。

キャンパスの場所検索ツール
この例では、キャンパス マップが従業員データベースと結合されています。ユーザは特定の社員を検索し、マップ ディスプレイを操作して社員のオフィスにナビゲートできます。サマリ情報へのアクセスには各社員のオフィスの場所が使用されます。このマップを起動して使ってみましょう。

時間対応情報レイヤのアニメーション表示

プロングホーンの 10 か月間の追跡
アニメーション化されたマップから取得されたこの 4 枚の画像は、10 か月間に渡る GPS が取り付けられたプログホーンの動きを示しています。冬季に向けて最初に移動するのは雌で、雄は最終的に雌の後について行きます。

ArcGIS のシステムとしての位置付け

ArcGIS の歴史とルーツはワークステーションおよびデスクトップ コンピューティングにさかのぼりますが、現在は、さまざまなプラットフォームからあらゆる場所にアクセスできるシステムへとその姿を変えています。現在の ArcGIS は、バックオフィスのエンタープライズ テクノロジを大きく越える機能を備え、地理情報をあらゆる場所で共有および使用できるプラットフォームでもあります。

ArcGIS は 1 つのシステム

デスクトップとサーバを使用して GIS 部門とエンタープライズで実行される作業

従来、GIS 専門家は、問題点を提示して状況や計画を解析する GIS プロジェクトに従事しました。プロジェクトを進める中で、GIS 専門家は、地理情報の重要なレイヤを作成して解析を行いました。そして何かの結論に達すると、その結果を発表して共有しました。

また、同様の GIS 組織では、すべての基盤となる重要な情報レイヤを構築しました (これは今後も変わりなく行われます)。GIS 組織は、地理や主題に使用される多数の重要情報を管理するデータ スチュワードとして認識されています。これらの組織にはきわめて重要な情報レイヤを作成および共有することが求められています。オンライン GIS を使用すると、この情報を多数のアプリケーションや設定で使用できます。

オンラインによる他のユーザとの GIS 作業の共有

これらの GIS 専門家は、ArcGIS データセットおよびパッケージを使用して、結果をマップ、データ、および解析モデルとして他の GIS 専門家と共有します。さらに重要なことに、GIS 専門家は、その結果をエンタープライズ内だけでなく、オープン環境である Web 上にも、有用なマップ サービスと関連の GIS サービスとして公開します。これにより、GIS の利点を誰もが利用できるようになります。このように情報を共有する傾向は拡大しています。

この急速な発展の鍵を握るのは、GIS 専門家やオンライン マップ公開者向けの機能です。これらの機能を通じて、豊富な情報サービスを便利なマップベースの情報プロダクトで活用して情報共有を可能にします。こうした Web マップは、特定のユーザとその作業に用途を絞った特化型情報プロダクトとなります。

オンライン共有は、複数のサービスを Web マップおよびアプリケーションに結合します。その結果、使い慣れた一般的なオンライン マッピング ツール (Google、Bing、カーナビゲーション システム、スマートフォンなど) を通じて、誰もが高度な GIS 機能に容易にアクセスして使用することが可能になります。これは大きな意味を持ちます。つまり、初心者や一般ユーザでも、GIS について多くの教育やトレーニングを受けることなく、GIS の価値を引き出すことができる、ということです。

ArcGIS システムの新しい側面は、Web マップおよびアプリケーションを作成および管理して新しいユーザと共有する方法にあります。これらの操作にはオンライン アカウントを使用します。オンライン アカウントを使用することで、情報を作成および公開するスタッフ (便利なマップとアプリケーションを作成するスタッフ) と、それらのスタッフがサポートするエンド ユーザを識別します。

公開スタッフは、マップベースの情報プロダクトを積極的に作成および管理します。また、後で、一連の有用な Web アプリケーション、モバイル アプリケーション、およびランタイム アプリケーションに送られる基本的な GIS サービスやデータについても、積極的に作成および管理します。公開スタッフは、ArcGIS Online 組織アカウントを使用して、これらの有用な情報プロダクトへのアクセスをエンド ユーザに提供します。

有用なマップとアプリケーションへのエンド ユーザのアクセス

エンド ユーザは、Web サイト、アプリケーション、およびモバイル システムを利用して、目的のマップベースの情報プロダクトに接続します。その後、これらの情報プロダクトを開いて使用します。エンド ユーザは、マップをレポートとして使用します。エンド ユーザは、マップを使用して、組織内での操作のために流し込む新しい情報を入力して作成します。エンド ユーザは、マップを使用してモデルと結果を解析し、意思決定を行って結論を導きます。エンド ユーザは、マップを使用して、計画、ステータス、および操作を表します。エンド ユーザは、ArcGIS システムを使用して、多くの業務と日常操作をサポートします。

ArcGIS システムで作成されたマップとアプリケーションにアクセスするエンド ユーザは、ArcGIS に関する知識は必要なく、ArcGIS を使用して作成された情報成果物を使用していると意識する必要さえありません。たとえば、市民はそれぞれの市の Web サイトに組み込まれているマップを見て、その市のサービスのステータスを確認したり、近隣の落書きを報告できるスマートフォン アプリケーションをダウンロードしたりできます。また、Web を検索して、環境上の危険を示している国のマップを見つけ、近所を拡大し、近隣の範囲を表示しているマップへのリンクを電子メール送信したり、ソーシャル メディアのマップへのリンクを投稿したりできます。これらすべての例では、エンド ユーザは ArcGIS の製品を使用していますが、製品に関する知識は一切必要ありません。これは、ArcGIS システムの非常に重要な側面です。GIS 専門家にとっては、GIS フィールドで作業する主な目的は、誰でも簡単にアクセスできて使用できる地理情報を作成することだからです。誰でも簡単にマップにアクセスしてマップの利点を活かせるようになると、科学、教育、ビジネス、および政府における GIS の使用からより多くの利益がもたらされます。

マップ ストーリー ギャラリー ビュー
Esri Storytelling with Maps Web サイトには、一般市民が関心を持つ情報や話を率直に、魅力的な方法で伝えられるように設計されている一連のマップとアプリケーションが含まれています。新しいマップベースの情報は頻繁に追加されるので、過去に遡ってチェックして最新の追加情報を確認してください。このサイトは、さまざまな GIS アプリケーションで使用できる地理情報を Web に提供する方法についての刺激的で新鮮な外観を提供します。サイトには、独自の情報と地理情報を同じ形式で提供するために使用できるテンプレートが用意されています。

ArcGIS システム コンポーネント

次に、ArcGIS システムの一部として含まれるいくつかの重要なコンポーネントを示します。

ArcGIS 10.1 for Desktop: GIS 専門家が Windows PC 上で使用する包括的なソフトウェア。データ作成、マッピング、モデリング、空間解析、ジオプロセシングなど、あらゆる種類の GIS 操作を実行できます。ArcGIS 10.1 for Desktop エクステンションは、驚くような 3D ビジュアライゼーション、ネットワーク解析、Schematics、地球統計学などの付加機能を備えています。組織に GIS を配備するときは、ArcGIS 10.1 for Desktop を起点かつ基本とします。ArcGIS 10.1 for Desktop は、GIS 専門家によってデスクトップ マッピング、レポート、および解析に使用されます。また、データ作成を担当するスタッフも、他の GIS アプリケーションを利用する重要な基本データ レイヤの作成と保守に ArcGIS 10.1 for Desktop を使用します。このデータ スチュワードとしての機能は非常に重要です。

ArcGIS 10.1 for Server: 一元的なエンタープライズレベルのジオデータベース管理と、サーバベースのマップ公開および地理情報サービスの提供を可能にする強力な GIS バックオフィス ソフトウェア。エンタープライズ全体で利用することも、インターネット上で Web サービスとして利用することもできます。ArcGIS 10.1 for Server は、次のような主要なエンタープライズ DBMS (データベース管理システム) をサポートしています。Oracle、SQL Server、DB2、Informix、および PostgreSQL。ArcGIS 10.1 for Server は、Windows または Linux サーバのオンサイトまたはクラウド構成で使用できます。ArcGIS 10.1 for Server は、大規模な GIS を世界中の組織とビジネスに実装するコア テクノロジです。

ArcGIS Online: 共同作業に対応した、完全なクラウドベースのコンテンツ管理。地理情報の操作に使用します。ArcGIS Online プラットフォームは ArcGIS の重要な機能であり、ArcGIS システム全体で利用されます。誰でも次の Web サイトにアクセスすることで、ArcGIS Online を使用してマップを検索、作成、および共有できます。 www.ArcGIS.com Web サイト。この Web サイトでは、Esri、Esri のパートナー、および GIS コミュニティによって公開されている信頼できるマップとデータに自由にアクセスできます。誰でもログインして、このデータを美しい組み込みベースマップでマッシュアップして独自の Web マップを作成でき、ファイルやスプレッドシートから自分のデータを読み込んだり、描画ツールを使用してフィーチャを作成したりできます。Web マップは、ArcGIS.com マップ ビューア、または、マップベースのプレゼンテーションを作成する能力などの追加機能を加える ArcGIS Explorer Online で作成できます。Web マップは、Web ページに直接組み込まれているクライアントで表示できます。また、無料の ArcGIS 10.1 アプリケーションを使用してスマートフォンやタブレットで表示したり、ArcGIS 10.1 for Desktop クライアントで開いたりできます。

組織向けの ArcGIS Online: サブスクリプションすることで組織は、クラウド内でホストされた GIS サーバとして ArcGIS Online を使用して、それぞれのマップとデータをオンラインで公開できます。組織のプラットフォーム向けの ArcGIS Online は、Web でアクセス可能なマップとデータを検出、組み立て、格納、および公開するためのオンデマンドのセキュアでスケーラブルなインフラストラクチャを提供します。ユーザ、アクセス レベル、およびストレージの管理能力を含む、組織に関する完全な制御が提供されています。情報は一般に公開して共有ことも、アクセスをエンタープライズ内のユーザに限定することもできます。ArcGIS Online Web サイトは完全にカスタマイズ可能で、プライベートまたはパブリック ポータルとして構成できます。また、ユーザと顧客向けのマップとデータ ギャラリーを作成することもできます。組織向けの ArcGIS の詳細については、ここをクリックしてください

ArcGIS for Mobile: マップの使用、GIS へのアクセス、および移動時のデータ収集を可能にするアプリケーションの包括的なセット。アプリケーションは、スマートフォンやタブレット (Apple、Android、および Windows Phone)、およびモバイル デバイス (Windows Mobile、Windows、Android、または Qt を実行する、特化型プロフェッショナル GPS およびデータ収集タブレットなど) で使用できます。用途には、現場での専門的なデータ収集、活動に関する最新共通認識の社員への提供、および消費者や一般市民との情報の共有が含まれます。ArcGIS Online を使用して作成されたマップは、スマートフォンやタブレットからすぐにアクセスできます。

ArcGIS Explorer: GIS データを表示および視覚化する無償のクライアント。ArcGIS Explorer は、誰にとっても GIS を操作するための優れた手段です。主な特長は、ユーザが対話型のきれいなマップベースのプレゼンテーションを作成できる点です。ArcGIS Explorer は 2 つの形式で提供されます。

  • ArcGIS Explorer Online は、Web ブラウザで ArcGIS Online の一部として実行され、Web マップを作成して操作することができます。Explorer Online を使用して作成した Web マップは、Web ページに組み込み、他の ArcGIS クライアントで表示することもできます。
  • ArcGIS Explorer Desktop は、3D ビジュアライゼーション、ディスクへのデータのローカル保存、および ArcGIS Online、エンタープライズ データベースを介したパッケージ データの共有のサポートを追加する Windows アプリケーションです。

ベースマップとデータ: 優れたマップには必ず優れたベースマップがあります。ArcGIS Online には、画像、地形、道路、テレイン、海など、信頼性の高いきれいなベースマップが用意されています。これらのベースマップには、Esri とそのパートナーからのデータと、世界中のユーザ組織によって構築され、コミュニティ マップ プログラムを通じて Esri から公開されるコミュニティ データがあります。また、Esri は、シンボル表示して今すぐ使用可能な、多種多様で重要なデータセットも用意しています。さらに、特化されたマップ、データ、およびツールも豊富に用意され、ArcGIS Online を通じて GIS コミュニティで使用できます。

業界固有のテンプレートとデータ モデル: ArcGIS を使用する際には、さまざまな技術コミュニティやユーザ コミュニティと連携して、マップ、アプリケーション、および主要コンテンツの構築および共有を共同で行います。これらのリソースは組織に GIS を実装する基盤となります。これらは地方自治体の地籍から防衛および情報収集にいたるまでのあらゆる業界に対応し、ArcGIS ユーザ コミュニティと連携する Esri 専門家によって作成されます。これらのリソースは今すぐ配備可能で、構成も簡単です。たとえば、情報モデルの 1 つを使用して GIS データベースを実装し、データの組み立てと収集を行って、そのデータに一連のマップとアプリケーション テンプレートを適用して、豊富な機能を備えた美しいインテリジェント マップを作成できます。これらのリソースの起点となるのが ArcGIS コミュニティ ページで、ドキュメント、ブログ、サンプル、ユーザ フォーラム、およびビデオを利用できます。

開発者ツール: ArcGIS には、カスタム アプリケーションとワークフローの実装に使用する開発者向け API (アプリケーション プログラミング インタフェース) の豊富なセットが付属しています。これらの API は、Web アプリケーション、デスクトップ アプリケーション、およびモバイル アプリケーションに使用できます。また、外部アプリケーションに GIS とマッピング機能を組み込むときにも使用できます。これは ArcGIS システムの重要な点です。ArcGIS システムでは、特定のユーザやワークフローに特化された要件を満たし、従来の GIS ユーザ基準を超える新しいタイプの GIS ユーザ (スマートフォンを使用するユーザなど) を顧客ユーザとして対象にできるため、ArcGIS システムが持つこうした特長が重視されます。

結論

ArcGIS システムでは、他のシステムを使用する場合と同様に、目的の操作を達成するのに必要なパーツを簡単に選択できます。たとえば、Web ページに追加する、ある都市の人口傾向を示す マップを作成する場合は、ArcGIS Online Web サイトを使用します。一方、組織の GIS 部門に所属する専門的な GIS ユーザであれば、ほとんどの時間を ArcGIS 10.1 for Desktop および ArcGIS 10.1 for Server ソフトウェアと業界固有のリソースの操作に費やすでしょう。また、特定の業界や市場に特化されたアプリケーションを作成する開発者であれば、開発者向け API などを使用するでしょう。各種機能を備えたさまざまな ArcGIS 製品がありますが、最終的には、包括的な ArcGIS システムを使用して作業を支援し、差別化を図ることが重要です。